【ダイオライト記念】サウンドトゥルーとアナザートゥルースの兄弟対決に注目

2020年03月10日(火) 18:00

実力とスタミナが問われる伝統の一戦

 3月11日(水)、船橋競馬場で行われる『第65回ダイオライト記念』。ダイオライトは千葉県成田市の宮内庁下総御料牧場に繋養されていた種牡馬で、日本競馬史上初のクラシック三冠馬セントライト(1941年に達成)らを輩出。偉大な種牡馬の名を冠した伝統の一戦に今年はJRAから4頭、船橋6頭、大井・兵庫・愛知・笠松から各1頭の計14頭が出走し、多くの名馬たちが制してきた戦いに挑みます。

 何といっても今回注目が集まるのはついに実現したサウンドトゥルーとアナザートゥルースの兄弟対決。

 兄のサウンドトゥルー(父フレンチデピュティ)はご存知の通りJRA時代に2015年東京大賞典、2016年チャンピオンズC、2017年JBCクラシックを制したGIホース。2018年冬、船橋へ移籍しその後9戦2勝【2-0-1-6】。前走・大井の金盃を8馬身差の圧勝で連覇。しかも前年より1kg重い負担重量での勝利で、10歳にして衰え知らずの底力を見せてくれました。

 昨年のダイオライト記念は5着でしたが、勝ったチュウワウィザード以下上位にきた馬たちが今回不在で、格の違いを見せたいところ。長年に渡り幾多のトップホースたちと戦ってきたキャリアを考えれば、もうひと花咲かせることも夢ではありません。

10歳にして衰え知らずの底力を見せているサウンドトゥルー(写真は20年金盃優勝時、撮影:高橋正和)

 対する4歳下の弟・アナザートゥルース(父アイルハヴアナザー)。昨年、オープンに昇級して2戦目のアンタレスSを勝利し重賞初制覇。地方競馬のダートグレード競走では名古屋大賞典3着、浦和記念2着、名古屋グランプリ3着と勝利まであと少しのところまで来ています。昨年1月のアレキサンドライトS(中山・1600万下・1着)以来となるC.ルメール騎手とのコンビで、重賞2勝目を狙います。

C.ルメール騎手とのコンビで重賞2勝目を狙うアナザートゥルース(写真は19年浦和記念出走時、撮影:高橋正和)

 ウェスタールンドは2018年のチャンピオンズCでルヴァンスレーヴの2着(0.4秒)という成績が光る8歳馬。ここまでの対戦相手(クリソベリル、オメガパフュームら)を見ると、初めての地方競馬参戦でいきなり好走の可能性大。長く良い脚を使えるのが魅力で、スタミナが問われる2400m戦にも向いていそう。

長く良い脚を使えるのが魅力であるウェスタールンド(写真は19年チャンピオンズC出走時、ユーザー提供:みらこーさん)

 ジョーダンキングはこれまで重賞でマーチS8着、平安S6着、シリウスS4着という成績。母は2003年のスパーキングレディーC3着があるフューチャサンデー。昨年7月の名鉄杯(中京・L)ではダート1800mでスマハマが記録したレコードタイムの2着(0.1秒差)に好走。左回りコースでも好成績を挙げており、初めての地方競馬のダートグレード競走参戦で新味を出すことができれば上位争い可能。

ジョーダンキングは初めての地方競馬のダートグレード競走参戦で新味を出すことができるか(写真は19年シリウスS出走時、ユーザー提供:あすりさん)

 ジュンスターホースは3勝クラスで近走の成績不振。船橋コースは3歳時に2戦1勝(JRA交流)していて経験済み。格上挑戦で、初めてのダートグレード競走というのはちょっと厳しいが、長距離戦のペースなら上位浮上も。

長距離戦のペースなら上位浮上の可能性もあるジュンスターホース(写真は20年金蹄S出走時、ユーザー提供:B500さん)

 兵庫のタガノゴールドはJRA時代にオープンまで進み、2018年夏に移籍後15戦8勝【8-2-1-4】、うち重賞7勝。現在、金沢・北國王冠、園田・園田金盃、姫路・白鷺賞と重賞3連勝中。改めてダートグレード競走でどこまでやれるか大注目の一戦になります。

重賞3連勝中の勢いのまま優勝を狙うタガノゴールド(写真は20年白鷺賞優勝時、撮影:稲葉訓也)

 船橋のヤマノファイトは2018年の羽田盃を含む地方競馬の重賞6勝馬。2019年1月の報知オールスターC以来、重賞での勝利は遠ざかっていますが、前走・報知グランプリC3着と復調気配。今回の鞍上は、先週エンプレス杯で8番人気のナムラメルシー(大井)を2着に持ってきた御神本訓史騎手というのも無視できない存在。

前走の報知グランプリCで復調気配をみせたヤマノファイトは御神本訓史騎手とのコンビで挑む(写真は20年報知グランプリC出走時、撮影:高橋正和)

【今回のイチオシ馬】

・サウンドトゥルー

実力・実績ともにナンバーワンは周知の事実。10歳という年齢を思えばピーク時の力には及ばないのかもしれませんが、それでも現在ここまで戦えているのは立派。もし勝てば、レース史上最高齢での勝利という偉業達成です。

【気になる馬】
・ウェスタールンド
初コースでサウンドトゥルーとの末脚勝負が楽しみ!

 サウンドトゥルーとアナザートゥルース、初めて実現する兄弟対決を制するのは?そこに待ったをかけるウェスタールンドをはじめとするJRA勢。ヤマノファイトら地方勢の出番は?実力とスタミナが問われる2400m戦の勝利の行方はいかに?!

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荘司典子

埼玉県出身。フリーアナウンサー。競馬好きが高じてこの世界へ。2001年から15年間、グリーンチャンネルで「中央競馬全レース中継」のキャスターを務める。2016年度から「グリーンチャンネル地方競馬中継」のコメンテーターとして出演。さらに全国各地の競馬場のトークイベントに参加するなど、中央競馬・地方競馬の垣根を越えて活躍中。

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