2020年10月10日(土) 12:00
秋の王道と呼ばれる3レース、天皇賞・秋、ジャパンカップ、有馬記念。この3大レースのどれに目標を定めるか。それを見極めるのが、この時期のテーマと言っていい。
そのおもしろさは、街の路地で風が運んでくるキンモクセイのかおりに気づくのに似ている。路地には緑が生きている。鉢植えの木や草があり、そこにキンモクセイのかおりが流れてくるのだ。もしかしたら街のおもしろさは、こうした路地の風情にささえられていて、それは、毎日王冠や京都大賞典を戦う馬たちの成り行きを見極めることで、その先の王道を味わい深いものにしているのに似ている。
この5年間の中からステップレースと本番が結びついたケースではっきりしていたのが、2015年の秋の天皇賞馬ラブリーデイだ。
能力はあったが、気持が前に出すぎてコントロールしにくかったのが、5歳をむかえて落ちつきが出て、中山金杯で初めて重賞を勝つと半年の間に重賞4勝、宝塚記念でGI馬になっていたのだ。そして、秋の始動に京都大賞典をえらび、ここで快勝。最も得意とする2000米の秋の天皇賞を1番人気で圧勝し期待に応えていた。そのあとジャパンカップでは3着、やはり東京の2400米は長かったのだが、充実期に見せた姿は立派だった。
京都大賞典組では他に、4歳時のキタサンブラックがここで勝ってジャパンカップを、シュヴァルグランが5歳時、ここで3着してジャパンカップで初のGI馬になっていた。本質的には、距離2400米を意識して考えるのが先決ということだ。
一方の毎日王冠組は、秋の天皇賞のステップレースととらえて出走している。
この5年間をみると、多いときには8頭が、少なくとも3頭がここから秋の天皇賞に向っている。ただ毎日王冠を勝ってそのまま天皇賞馬になったケースは、この5年ではない。
順に毎日王冠の着順と秋の天皇賞3着以内に入った馬を列挙すると、2015年ステファノスが7着から2着、イスラボニータが3着から秋の天皇賞も3着に、16年ステファノス5着から3着、18年キセキも3着から3着、昨年のアエロリットが2着から本番3着に入っていた。毎日王冠の着順にとらわれず、このひと叩きに意味をもたせるということになる。
今年の毎日王冠には、3歳馬サリオスとサトノインプレッサに興味がわく。ダービー2着で東京は走りなれたコースのサリオス、春はソエを気にしながらだったサトノインプレッサが他の世代にどう通用するか。あとレースの勝利数、出走回数最多の藤沢(和)きゅう舎が出走させてくるコントラチェックは展開ひとつで注目馬にしたい。
京都大賞典は、力の要る馬場に向く3年前の菊花賞馬キセキの復活に期待する。あとは古豪のパフォーマプロミス、京都はいい。これらが次のGI戦でどう走るか見届けたい。
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長岡一也
ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。
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