2022年07月01日(金) 12:00
▲今回は社台ファームへの訪問記
今回は社台ファーム訪問記です!放牧中の馬たちの様子や、坂路の調教コースなど貴重な写真とともに紹介しています!
まずは先日行われた、上半期最後のGIにふさわしい宝塚記念。タイトルホルダー、優勝おめでとうございます! 独走する強い脚を見ました。関係者の尽力に乾杯です。凱旋門賞が楽しみです。
▲宝塚記念を圧勝したタイトルホルダー(c)netkeiba.com
今年はどの馬が勝っても…というメンバーだったので悩みましたよ。阪神の2200mのレース、先行馬が多い中のレースはタフな競馬です。強豪対決は見応えがあり応援に力が入りました。一番小さな馬体で懸命に走るメロディーレーンがとっても印象的でついつい「がんばれ!がんばれー」と応援していました。1年に1度だけ演奏されるオリジナルファンファーレは、優雅でありながら強さもあり素敵です。
さて今月は、北海道牧場巡り旅第3弾。社台ファームへ。
新千歳空港からレンタカーで走ると社台のトレードマークの看板が目に入ってきました。どこまで行っても広大な牧場が広がり…こんな風景ドイツへ行ったときも見たなと思いました。
社台ファームの門に到着。えっ! これが牧場? 高級ホテルに来たような雰囲気です。
▲社台ファームの門
早速、場長の東さん、石田さんに出迎えていただき、お話を聞きました。
玄関に入ると飛び込んできたオメガパフューム号の口撮り写真。
▲社台ファームの東場長とお話をうかがった石田さん
来訪したときは午後だったので、調教見学は残念ながらできませんでしたが、牧場内をカートに乗って案内してくれました。牧場はとっても広く、有名な直線坂路は壮大でした。色々環境なども考えて馬たちが安全に放牧されている感じがしました。
常石 とっても広くて綺麗な環境で、いろんな施設が沢山ありますね。
東 牧場は、馬と接する仕事が多いですが、他にも放牧地や馬場の管理等、施設を管理する業務もあって、ライセンスをもっている人が行っています。
調教坂路には、調教の様子を見守ったり、タイムを計ったりできる建物やスタッフの宿舎などもあります。
▲坂路の様子
常石 厩舎もたくさんありますね。
石田 25棟あります。生産から調教まで一貫の総合牧場です。優れた技術と豊富な実績で幅広く経験を積んでいます。山元トレセンとも連携しています。
常石 当歳馬から調教をする難しさはどんなところですか?
石田 何もわかっていない馬に鞍をつけて、その上に人が乗ることはとっても難しいですね。
常石 でしょうね。競走馬としてトレセンに来た馬でも振り落とされることがよくありました。私は育成については知らないことがたくさんあります。
石田 まずは、体力をつけるのが大切なので昼と夜に放牧します。夜の暗い時間帯に放牧に出すと、心身ともにかなり強くなっていきます。
常石 とっても勇気のいる放牧ですね。馬は草食動物ですから怖がりな面もありますよね。精神的にかなり強くなるのがよくわかります。
石田 馬をアスリートにするために、小さい時から体力・メンタルが強くなるよう柔軟に対応し、実践に近い育て方をしています。坂路コースも有効に使っています。
▲放牧されている馬たち
常石 坂路コースの調教は、効果的でしょうね。
石田 馬の後ろ脚が鍛えられバネの効く強い脚に育っていきます。
常石 坂路は、どれくらいの長さですか?
石田 1kmあります。
常石 栗東トレセンの坂路は800mですから、とってもいいトレーニングになりますね。私はジョギングをしているのですが1kmの坂路は、走れませんね(笑)。2歳の頃からトレーニングを積み重ねていくから体力も精神面も強くなっていくんですね。
石田 メンタル面は大事ですよね。牧場では、特に力を入れています。
常石 社台ファームで育てられた馬は、新馬からすごく乗り易く安心して乗ることができました。活躍馬も多いですね。
石田 ありがとうございます。しかしここ数年はノーザンファームに追い越されているのでスタッフ一同頑張ります。
常石 レースに使うと精神面や体力も疲れるので、放牧に出すと馬体の疲れがとれ、メンタル面もリセットされて一回り大きく成長して帰ってくるので楽しみです。
石田 山元トレセンとも連携をとって放牧時にいろいろな面で調整しています。
常石 牧場で細やかな調教をしてくれるからまた元気になって一回り成長して帰ってくるんですね。感謝です。
▲広大な牧場内の様子
石田 馬の成長のためにコミュニケーションがとっても大事です。
常石 そのおかげで乗り役は、安心してレースに挑むことができます。
この仕事をしていて一番楽しみなことは何ですか?
石田 自分が乗っていた馬が無事に競走馬としてデビューしてくれた時がうれしいですね。思い入れがあります。競走馬としてデビューして走るまでには、多くの人が携わっています。成長し、活躍して無事に帰ってくるまで見守っています。
コロナ禍の中でも開催できて、競馬が盛り上がっているのはうれしいです。JRAの体制がきちんとされていることにも感謝です。馬は生き物ですから動いていないと体調不良になってしまいますからね。
常石 栗東トレセンでも、調教後もしっかり運動させて丁寧に手入れをしています。だからいつも馬体が艶々していますね。
長い時間、いろいろなお話を聞かせていただきありがとうございました。
牧場での1日は、いい経験になりました。
***
オカン 広大な牧場巡りは、心も体も広大になるくらいいい体験をすることができました。4月だったので雪もなく青草が出始めフキノトウがいっぱい芽を出していました。天ぷらにしたら美味しそうだな。
少し肌寒い気候でしたが、雪の多い時は大変な仕事だろうと思う。
馬のことはよく知らなかったですが、牧場巡りの中で人と共存する、お互いが助け合い求め合っているのだと感じました。武豊騎手のダービーへの思いや53歳でも馬に跨る瞬間がいい、というのがほんの少しわかるような気がしました。(妄想)多くの騎手たちの思いも同じでしょうね。
息子の同期の柴田未崎騎手が2度目の騎手引退を決め、調教助手になると聞き、彼の再チャレンジの勇気に拍手。やっぱり花の12期生は、すごいなー。その1人であることを誇りに思います。未崎さんの馬への思いを楽しみにしています。取材時にはよろしくです。
息子が、馬が好きで馬に夢中になり、馬から生きるエネルギーをもらっている意味が少し理解できました。また栗東トレーニングセンターでの取材するのが楽しみになってきました。日本を代表する牧場での貴重な体験に感謝です。
多くの人が携わり育てている馬や動物を大切にしたいと思います。
次回は、オグリキャップに会ってきたコラムです。楽しみにしてください。
PS.びわこみみの里「ぽんぽこ祭り」での講演が無事に終わり、高次脳機能障害のことを少し理解してもらえたように思います。
▲ぽんぽこ祭りにて、常石さんの講演の様子
NHK「もう一度 人馬一体の境地へ 〜パラ馬術選手 常石勝義さん〜」を見た後、ひとことひとこと、ゆっくり自信をもって話す姿…。ちょっとだけ成長したかな。騎手はできなくなったけど、今一番大切な居心地の良い場所がびわこみみの里と話す息子と、一緒に過ごす仲間への感謝の気持ちを伝えることができました。手話でも少し表現することができました。
コロナ禍もあり参加は50名くらいの予定でしたが、70名くらい参加してくれました。特に嬉しかったことは、「もう一度 人馬一体の境地へ 〜パラ馬術選手 常石勝義さん〜」という番組を作ってくださったNHKの方が来場してくださったこと。
「私のこと覚えてる?」
「んー。顔は見たことがあるけど名前はわかりません」
「じゃーおばさんとでも覚えて挨拶してくれるまで、私から売り込んでいくわ(笑)」
こんな素敵な方と巡り合うことができ心が豊かになりました。
つねかつこと常石勝義&オカン
(文中敬称略、次回の更新は8/1(月)を予定しています)
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常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っている。
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