2022年08月10日(水) 18:03
▲武英智師(右)とNFしがらき松本康宏場長(左)による対談が実現(撮影:稲葉訓也)
可愛い顔とは対照的に、レースでは豊富なスピードを見せ、時に制御が困難になるほどあり余るポテンシャルを有するメイケイエール。個性的な馬にファンも多く、秋はGI初制覇の期待が寄せられます。
そんなメイケイエールは、栗東トレセンからほど近いノーザンファームしがらきで英気を養っています(7/15の取材時)。その夏休みの様子にnetkeibaが潜入取材。第2弾は武英智調教師とノーザンファームしがらきの松本康宏場長による対談を、前編・後編に分けて行います。
デビュー前はあまり期待されていなかったという意外な事実、そしてある出来事を境にメイケイエールが快感を覚えた疑惑など、次々と知られざるエピソードが飛び出します。
(取材・構成=大恵陽子)
──コラムの第1弾では馬房でのメイケイエールの様子を中心に見てきましたが、ツンデレが激しい子だとか?
武英調教師 はい、めちゃくちゃ激しいです。トレセンでは普通の馬は追い切りをするとテンションが上がったり、カイバを少し食べなくなったりして、競馬へ向けて少しずつ仕上がっていくイメージなんですけど、あの子はもう、追い切りをした日にすっごくデレデレしてきたり、乗らなかった日にイライラして近づくなオーラを出していたりと、他の馬とはちょっと違う感じです。
パーッと走らせた方が、ガス抜きされて落ち着いていますね。変わっているんですよ(苦笑)。あの子、ここでは怒ったりしないんじゃないですか?
松本場長 うん、大人しいですね。
武英調教師 さっき見たら、トレセンにいる時と目つきが全然違いました。馬は目と耳に感情が表れるのですが、穏やかで、それでいて目の奥が光っていました。
▲穏やかで、それでいて目の奥が光っていました(撮影:稲葉訓也)
松本場長 ここはトレセンじゃないよっていうのをある程度理解させて、心の底からリラックスしてもらうようにしています。そうして心身ともにオフにした状態で、いつでも上げていける状態をキープします。
こういう馬は体が緩んだりするわけでもないですし、根っからのアスリートで、常にいい体をキープしやすいです。先ほども見た通り、いまトレセンへ連れて行ったら、ひと月もかからないうちにいい状態で競馬に使えると思います。
武英調教師 簡単におっしゃっていますけど、めちゃくちゃ難しいことなんです。
松本場長 それはうちの主任と厩舎長、スタッフが素晴らしい仕事をしてくれるので、任せています。
武英調教師 元々あの子、去年の夏を迎えるくらいまではずっと冬毛が抜けなかったんです。皮膚感がちょっと重たく見えて、見た目がなかなかパッとしませんでした。調教でパンプアップされて、体も少し膨らんではくるんですけど、肉付きもそんなに良くなくて。
それで、よく「距離はもつんじゃないか」とか「1200mの馬じゃないよな」と言われていましたけど、今は見るからにムキムキして、お尻も結構大きくなっています。“松本マジック”が入ったな、と。
松本場長 いやいや、松本マジックじゃない(笑)。しがらきマジック!
「競馬を使って、しがらきで休養する」という繰り返しの中で心身のバランスが取れてくると、特に牝馬は顕著で・・・
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武英智調教師
武英智調教師は1980年12月31日、滋賀県生まれ、JRA栗東所属の調教師。2018年に開業し、重賞初制覇はメイケイエールで制した2020年小倉2歳S。
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