【俺の騎乗論2】「俺がJRAに来たとき、安藤勝己さんに“それじゃあアカンで”って言われてさ」岩田康誠騎手(7)

2023年03月13日(月) 18:01

yasunari

▲前回に引き続きテーマは「俺の騎乗論」(撮影:桂伸也)

“斤量がゼロになる”という衝撃の理論が飛び出た前回から引き続き、今回も「俺の騎乗論」をお届けします。

園田競馬時代を含め、様々な経験から培われた岩田騎手の騎乗技術。今でもジョッキー仲間から吸収することもあるとのことですが、今のスタイルを形成したのは安藤勝己元騎手の存在が大きいのだとか。JRAに移籍し、「不安しかなかった」という岩田騎手に影響を与えた安藤勝己元騎手のある言葉とは。

(取材・構成=不破由妃子)

「俺にはきっと無理や」達することのできない“安藤さんの境地”

──前回の騎乗論の続きです。以前、ある調教師さんが話してくれたのですが、「岩田くんには、“掛かるかもしれない”という恐怖心がない」と。実際、ゲートからポジションを取りにいくときも、「掛かったらどうしよう…」という不安はあまり抱かない?

岩田 今はないね。今の自分には、どんな馬でも乗ったる、どんな馬にでも乗れるという自信があります。でも、3年前くらいまでは不安やったよ。それこそ、中央にきたばかりの頃なんて、不安しかなかった。

──それはちょっと意外。なぜなら、岩田さんは昔から、“掛かっているように見えて、実は脚が溜まっている”というケースがすごく多かったから。で、実際に勝つと。

岩田 あ、それはあるな。ノースブリッジがそうやん。AJCCでもさ、向正面で掛かっているように見えたかもしれんけど、あれね、それほど掛かってないねん。引っ張っているように見えて、引っ張ってない。

──岩田さんの拳と膝を見ればわかります。拳は常に小さな円を描くような感じで動いているし、膝も馬の振動に合わせてリズムを取るような感じで、衝撃を吸収している。前回、福永さんに岩田さんの騎乗を解説してもらったことがあると言いましたが、これもそのときに教えてもらって、「ああ、なるほど」と思ったんです。

岩田 祐一くん、すごいな。まさにその通りで、たとえ馬が行きたがったとしても、拳や膝をガッチガチに固めたりしない。馬のリズムに合わせて、常に動いてるんちゃうかな。

yasunari

▲掛かっているように見えて、実は脚が溜まっている(撮影:桂伸也)

──だから、掛かっているように見えても脚が溜まると。

岩田 そうそう、それやそれや(笑)。俺も進化しているけど・・・

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岩田康誠

1974年3月12日、兵庫県生まれ。1991年に公営・園田競馬でデビュー。4度の兵庫リーディングに輝き、2004年にはデルタブルースで菊花賞を勝利、地方所属騎手として初の中央クラシック制覇を達成した。2006年にJRAに移籍。2012年にはディープブリランテと日本ダービーを制覇、ロードカナロアとは日本馬初となる香港スプリントを勝利している。歯に衣着せぬ物言いと直線での「イン突き」は常に多くのファンを魅了している。

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