多くの重賞活躍馬出す“名門牝系”から新たなGIホースが誕生

2024年04月01日(月) 18:00

血統で振り返る大阪杯

【Pick Up】ベラジオオペラ:1着

 ここまでの8戦、唯一大敗した昨年の皐月賞(10着)は、上村調教師がレース前に「ダービーや将来性を見据えて90点ぐらいの仕上げ」とコメントし、なおかつ前潰れのハイペースに巻き込まれて本来の実力を発揮できませんでした。それ以外は[5-1-0-1]という成績。連対できなかった日本ダービーにしてもタイム差なしの4着ですから、地力の高さがうかがえます。ロードカナロア産駒のGI制覇は、昨年秋のエリザベス女王杯(ブレイディヴェーグ)以来です。

「母の父ハービンジャー」は成功しており、ほかにレガレイラ(ホープフルS)、メイケイエール(重賞6勝)などが出ています。連対率15.5%、1走あたりの賞金額180万円は、一流のブルードメアサイアーといえる数値で、スタミナや成長力に特長があります。「ロードカナロア×ハービンジャー」の成績はとくに素晴らしく、出走8頭中4頭が勝ち上がり、連対率41.4%、1走あたり871万円です。父ロードカナロアのスピードと、母の父ハービンジャーが伝えるスタミナや成長力がうまくマッチするのでしょう。

 ファミリーは、エアシャカール(皐月賞、菊花賞)をはじめ多くの活躍馬が出ている名門アイドリームドアドリーム系で、母エアルーティーンはエアアンセム(函館記念)の半妹、2代母エアマグダラはエアメサイア(秋華賞、ローズS)とエアシェイディ(AJCC)の全妹、3代母エアデジャヴーはクイーンSの勝ち馬です。

 千葉サラブレッドセールの取り引き馬からGI勝ち馬が出たのはオメガパフューム(東京大賞典4回、帝王賞)以来となります。今年は5月10日に船橋競馬場で開催されます。

血統で振り返るダービー卿CT

【Pick Up】パラレルヴィジョン:1着

 父キズナは土曜日に5勝の固め打ち。今年の獲得賞金を10億円の大台に乗せました。全種牡馬のなかで一番乗りです。日曜日に大阪杯を勝ったロードカナロアに僅差逆転されたとはいえ、芝とダート、いずれにおいても稼ぐ力がある種牡馬で、これからデビューする2歳世代のレベルも上々。この調子を維持できれば初のチャンピオンサイアーの座も見えてきます。

 母アールブリュットは現役時代に3勝クラスまで出世したマイラー。本馬はグリーンデザートとサドラーズウェルズを併せ持つキズナ産駒なので、バスラットレオン(ゴドルフィンマイル、ニュージーランドT、1351ターフスプリント)と配合の骨格が似ています。キズナ産駒は基本的にサドラーズウェルズ-ガリレオのラインと相性が良好です。

「母の父マクフィ」は、オウバイトウリ、チェルシー、パラレルヴィジョンと3週連続で勝ち星を挙げました。ブルードメアサイアーとしてのマクフィは要注目です。ちなみにこの3頭は、父がすべて「ディープインパクト×ストームキャット」の組み合わせ(リアルスティール、サトノアラジン、キズナ)なので、配合構成の4分の3近くが同一。この配合パターンも忘れずに覚えておきたいところです。

知っておきたい! 血統表でよく見る名馬

【キャンディライド】

 現役時代はアルゼンチンとアメリカで6戦全勝。うち3戦がレコードタイムでした。3戦目のホアキンS・デアンチョレーナ国際大賞(亜G1・芝1600m)は、“アルゼンチン版安田記念”といえるレースで、8馬身差圧勝の勝ちタイム1分31秒01は、リトンが持つ当時の世界レコード(1分31秒00)に100分の1秒と迫るものでした。アメリカでのラスト2戦、アメリカンH(米G2・芝9ハロン)とパシフィッククラシックS(米G1・ダ10ハロン)もレコードで、後者のベイヤー指数は123と、2003年に北米でおこなわれたすべての競走のなかでトップという優秀なものでした。芝・ダートを問わず圧倒的な強さを示し、6戦の合計着差は35馬身。稀代のスーパーホースといって差支えないでしょう。

 種牡馬としてはダート寄りの適性を伝えて成功。距離適性は配合によって幅広く出ています。米年度代表馬ガンランナー、米2歳牡馬チャンピオンのゲームウィナーとシェアドビリーフをはじめ、多くのG1ホースを出しており、ガンランナーはアメリカ有数の人気種牡馬となっています。キャンディライドを父に持つマスタリー(米G1キャッシュコールフュチュリティなど4戦全勝)は、今年からレックススタッドで供用を開始しています。

血統に関する疑問にズバリ回答!

「この厩舎はこの血統の馬が走る! といった相性ってある?」

 イクイノックス(2年連続年度代表馬)を管理した木村哲也厩舎は、同馬を含めてキタサンブラック産駒を計4頭管理し、すべて勝ち上がらせています。他の3頭は、スキルヴィング(青葉賞)、ヒップホップソウル(紫苑S-2着)、ルージュサリナス(2戦1勝)ですから、重賞級の素質馬を任され、その期待に応えていることが分かります。同厩舎に入厩するキタサンブラック産駒はPOGでも狙い目でしょう。

 ロードカナロア産駒と堀宣行厩舎、エピファネイアと安田翔伍厩舎、モーリスと松永幹夫厩舎も注目です。

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栗山求

netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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