テーオーロイヤルが天皇賞(春)を完勝 驚異の成長力を裏付ける血統背景とは

2024年04月29日(月) 18:00

血統で振り返る天皇賞(春)

【Pick Up】テーオーロイヤル:1着

 1着テーオーロイヤルの父はリオンディーズ、2着ブローザホーンの父はエピファネイア。いずれもシーザリオの息子です。長距離適性はエピファネイアのほうが長く、産駒の平均勝ち距離は1815m。リオンディーズは1660mです。

 リオンディーズ産駒は、2歳戦を除けばマイラー寄りの中距離タイプがスタンダードで、2000mを超えると活躍馬が減っていく、という傾向が見られます。テーオーロイヤルが長距離で活躍したのは、母方にロベルト系のクリスエスが入ることによりスタミナが強化された影響でしょう。母メイショウオウヒの半弟メイショウカドマツは、マイラー型種牡馬ダイワメジャーの仔であるにもかかわらず、アルゼンチン共和国杯2着、ダイヤモンドS3着などの成績があります。

「母の父マンハッタンカフェ」は、ドイツ血統が優れた影響を及ぼしているのか、タスティエーラ、テーオーケインズ、メイショウハリオ、ペプチドナイル、ソウルラッシュ、セラフィックコール、ミスニューヨークなど、芝・ダートを問わず多くの活躍馬が誕生しています。2024年ブルードメアサイアー(母の父)ランキングは現在第3位。じわじわと成長して高齢でも頑張るものが目立ちます。

 テーオーロイヤルは骨折による1年のブランクがあったものの、復帰後は能力が低下するどころかむしろ上昇していました。今回の勝利はそうした成長力の賜物でもあったと思います。6歳馬の優勝は2015年のゴールドシップ以来9年ぶりでした。

血統で振り返る青葉賞

【Pick Up】シュガークン:1着

 名馬キタサンブラックの半弟です。父はブラックタイドからドゥラメンテに替わりました。

 母シュガーハートは、キタサンブラックのほかに、すでに中日新聞杯2着のショウナンバッハ、ダイオライト記念2着のエブリワンブラックを出しています。さらにシュガークンを出したことで、素晴らしい活力を秘めた繁殖牝馬であることをあらためて印象づけました。

 ドゥラメンテ産駒は東京芝2400mで連対率32.8%。2014年以降、当コースで産駒が20走以上した35頭の種牡馬のなかでナンバーワンの成績です。2位が27.8%なので数値的に突出しており、スターズオンアースとリバティアイランドがオークスを勝っているように重賞実績も優秀。青葉賞の舞台設定はシュガークン向きだったといえます。

 次走の日本ダービーに関しては、皐月賞組のレベルが高いので、そう簡単ではないでしょう。ただ、キタサンブラックも3歳春の時点で歴史的名馬だったわけではありません。シュガークンにも大きな伸びしろがあるはずです。

知っておきたい! 血統表でよく見る名馬

【マキャベリアン】

 名牝アルマームード3×3、という特異な配合構成から成るクドフォリは、現役時代に芝1600mの仏G3を勝ち、引退後は稀代の名繁殖牝馬となりました。仏2歳牝馬チャンピオンのクドジェニー、ジャックルマロワ賞を勝ったイグジットトゥノーウェア、そしてマキャベリアンを産みました。

 マキャベリアンは仏2歳G1を2勝。種牡馬としても大成功し、ストリートクライ(ドバイワールドC、スティーブンフォスターH)、ヴェットーリ(仏2000ギニー)、メディシアン(エクリプスS、ロッキンジS)、アルムタワケル(ドバイワールドC、ジャンプラ賞)など、芝・ダート、距離の長短を問わず数多くの一流馬を出しました。基本的には芝のマイラーで、スピードと切れ味を武器とします。

 母方に入っての影響力も素晴らしく、シャマーダル、ダークエンジェル、ヴィクトワールピサ、シュヴァルグランなどの母の父となっています。

 息子のストリートクライはややパワー寄りの血で、ゼニヤッタとウィンクスという歴史的名牝2頭や、ニューイヤーズデイ、ストリートセンスなどの父となっています。

血統に関する疑問にズバリ回答!

「ラヴェリータ牝系のラムジェットが重賞を勝ちました。将来性は?」

 ラヴェリータは2歳夏から5歳暮れまで走り、ダートグレード競走を7勝。牡馬相手のかしわ記念はフリオーソの2着に食い込み、エスポワールシチーに先着を果たしました。故障知らずでタフに走り続けた元気娘で、ファンの多い馬でした。

 名種牡馬アンブライドルズソングの娘、という血統は魅力的で、出走を果たした6頭の産駒のうち5頭が勝ち上がっています。まだ重賞クラスの馬は出ていませんが、先に孫世代から重賞ウィナーが誕生しました。

 ラムジェットは母方にゴーンウェストを持つマジェスティックウォリアー産駒。父の代表産駒ベストウォーリア(南部杯2回、プロキオンS2回、ユニコーンS)、エアアルマス(東海S)と同じパターンです。また、シアトルスルーのクロスを持つマジェスティックウォリアー産駒は父の平均値を上回っており、母の父ゴールドアリュールはダート王ですから、パワー型の配合としては上々です。成長力も感じられるので、まだまだ強くなるでしょう。

 ラヴェリータの娘は、ラムジェットの母ネフェルティティを含めて3頭繁殖入りしています。他にも活躍馬が出てくる可能性は高いと思います。

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栗山求

netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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