2024年05月20日(月) 18:00
【Pick Up】チェルヴィニア:1着
父ハービンジャーはオークスと相性が良く、モズカッチャンが2着、ナミュールが3着、ジェラシーとディアドラが4着、プレサージュリフトが5着と、これまで多くの産駒が掲示板に載ってきました。勝ったのはチェルヴィニアが初めてです。この6頭はすべて人気よりも着順が上回っています。ハービンジャーはオークスで頼りになる種牡馬といえるでしょう。
チェルヴィニアは「ハービンジャー×キングカメハメハ」。この組み合わせは東京芝2400mで勝率35.5%、連対率41.2%と成績抜群。ハービンジャー産駒の当コース実績(勝率11.2%、連対率20.1%)を大きく上回り、オークスでは2017年にモズカッチャンが6番人気で2着に食い込んでいます。ハービンジャー産駒の配合のなかでもとくに東京芝2400m向きといえるでしょう。
母チェッキーノは2016年のオークスでシンハライトの2着。半兄ノッキングポイントは新潟記念の勝ち馬で、昨年の日本ダービーは15番人気ながら5着に食い込みました。母方の血も東京芝2400mに高い適性を示しています。
ステレンボッシュの落鉄があったとはいえ、チェルヴィニアにとって東京芝2400mは能力を十全に発揮できる舞台だったといえるでしょう。いずれジャパンCに出走することがあれば注目してみたいところです。
【Pick Up】ミトノオー:1着
父ロゴタイプは、現役時代に皐月賞、安田記念、朝日杯FSと3つのGIを勝ちました。種牡馬としては、仔の性別によって産駒のタイプが異なり、牡はダート向き、牝は芝向き、という傾向が出ています。牡は、ミトノオーのほかに東海SとレパードSで2着となったオメガギネス、牝は、ラブリイユアアイズ(阪神JF2着)、シカゴスティング(ファンタジーS3着)が出ています。
以前は、先に行って粘り強いものの、自分の競馬ができないと脆い、というタイプでしたが、今回は同型のメイショウフンジンに絡まれながらも、最後まで闘志が衰えることなく逃げ切りました。松山騎手の好騎乗と同時に、気性面の成長もうかがえます。
【シングスピール】
輸送技術の発達とともに、高額賞金レースを求めて国から国へ渡り歩く馬が現れ始めましたが、シングスピールはその一頭です。アイルランドで誕生し、イギリスを拠点に世界5ヵ国で走り、インターナショナルS、ジャパンCなどGIを4勝しました。
母の父に素軽いヘイロー(サンデーサイレンスの父)が入る影響か、重厚なサドラーズウェルズ系ながら日本の軽い芝にも対応しました。その一方でダートもこなしたのは、米古牝馬チャンピオンに選出された母グローリアスソングの影響でしょう。
母はカナダ生まれの歴性的名牝で、デヴィルズバッグ(タイキシャトルの父)、セイントバラード(米チャンピオンサイアー)の全姉にあたる良血。繁殖牝馬としてはシングスピールのほかに、ラーイ(ジャイアンツコーズウェイの母の父)、グランドオペラ(メイセイオペラの父)などを産みました。
シングスピールは種牡馬としても大成功。日本で重賞を勝ったアサクサデンエン、ローエングリン、ライブコンサートは、いずれもマイル前後を得意としました。シンハリーズ、サマーハ、プチノワールといった娘たちが優れた繁殖牝馬となり、わが国の馬産に大きく寄与しています。スピード、スタミナ、底力を兼ね備えた万能型です。
「2024年のダート種牡馬ランキングは?」
中央ダートと地方競馬を合算した全日本ダート種牡馬ランキングは、現在、1位ヘニーヒューズ、2位シニスターミニスター、3位ドレフォンの順です。
昨年は1位シニスターミニスター、2位ヘニーヒューズ、3位ドレフォンだったので、1位と2位が入れ替わった形です。
1位ヘニーヒューズは、地方競馬でアマンテビアンコが羽田盃を勝ちました。6、7月と地方競馬を中心にビッグレースが目白押しなので、まだまだランキングは流動的です。アマンテビアンコは骨瘤により東京ダービーを見送ることになりました。
来月行われる帝王賞には、ヘニーヒューズ産駒のセラフィックコールや、シニスターミニスター産駒のキングズソードが出てくるかもしれません。ランキングが変わってくる可能性があります。
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栗山求
netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG
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