極端な戦法は母父由来? マーメイドS制したアリスヴェリテの血統背景に注目

2024年06月17日(月) 18:00

血統で振り返るマーメイドS

【Pick Up】アリスヴェリテ:1着

 キメラヴェリテ(北海道2歳優駿)の全妹、リアンヴェリテ(かきつばた記念-4着、エルムS-5着)の半妹。母ルミエールヴェリテはアメリカ生産で未勝利に終わった競走馬でしたが、繁殖牝馬として成功しました。母の父Cozzeneは気性的に難しいところを伝え、産駒は逃げたり追い込んだりといった極端なレースぶりで成功するものが目立ちました。アリスヴェリテ、キメラヴェリテ、リアンヴェリテはいずれも逃げタイプですが、そうした部分が影響しているのかもしれません。

 キズナ産駒は今年JRA重賞8勝目。エピファネイアと並んで現在トップです。3位は3勝なので、キズナとエピファネイアの突出ぶりが目立ちます。母方にDanzigを持つパターンは、ジャスティンミラノ、パラレルヴィジョン、シックスペンスと同じで、重賞で馬券圏内に入ったライトバック、ウエストナウ、サヴォーナもこのパターンです。

血統で振り返る関東オークス

【Pick Up】アンデスビエント:1着

 6月12日、川崎競馬場で行われた関東オークス(JpnII・ダ2100m)は、好スタートを決めたアンデスビエントがマイペースの逃げに持ち込み、最後の直線で後続を突き放して優勝しました。田口貫太騎手は重賞初制覇。

 母アンデスクイーンは、同じ川崎ダ2100mで行われたエンプレス杯(JpnII)を含め、3つのダートグレード競走を制覇した名牝です。初仔からいきなり大物を出し、繁殖牝馬としても優れた資質を秘めていることを示しました。アンデスビエントの1歳下の妹レイナデアルシーラはナダル産駒。同産駒は先週、ダート戦に初めて姿を現し、2頭出走してワンツーフィニッシュを決めました。優れたパワーを伝える種牡馬なので、妹にもダート戦で大きな期待をかけられそうです。

 アンデスビエントの父ドレフォンは、皐月賞馬ジオグリフの父でもあります。ジオグリフの母アロマティコと、本馬の2代母レイナカスターニャは全姉妹なので、ジオグリフと本馬はほぼ4分の3同血といっていい関係です。芝向きとダート向きで適性は異なるものの、配合構成はよく似ています。

知っておきたい! 血統表でよく見る名馬

【ロペデヴェガ】

 フランスの名門アンドレ・ファーブル厩舎に所属し、仏2000ギニー、仏ダービーを制覇しました。父はダーレーグループの至宝シャマーダル。父系はジャイアンツコーズウェイを経てストームキャットにさかのぼります。

 引退後は種牡馬として大成功を収め、世界各国で多くのG1勝ち馬を出しています。今年の春は仏ダービーをルックドヴェガが、仏1000ギニーをルーヒヤが制覇しました。ちなみに前者は、2代父シャマーダル、父ロペデヴェガに次ぐ親子孫3代の仏ダービー制覇となります。

 マキャヴェリアン3×3というインブリードの効果か、芝1600〜2000mあたりがベストのスピード型。アメリカやオーストラリアでの活躍馬も多く、時計の速い馬場を苦にしません。マーメイドSで6番人気ながら3着に食い込んだホールネスはロペデヴェガ産駒。海外での実績のわりに日本で走る産駒は少なかったのですが、これを機に増えてくるかもしれません。

血統に関する疑問にズバリ回答!

「宝塚記念向きの血統を教えて」

 注意したいのは、今年レースが行われるのは京都競馬場であることです。阪神競馬場はスタンドリフレッシュ工事により開催休止中。京都で宝塚記念が行われるのは2006年以来18年ぶりで、過去のレースデータは使えません。

 京都芝2200mに適性のある種牡馬はキズナ。2014年以降、当コースで産駒が20走以上した15頭の種牡馬のなかで連対率44.4%はナンバーワン。2位ルーラーシップ(26.2%)を20ポイント近く引き離した断然の成績です。単勝回収率163%、複勝回収率129%も素晴らしく、今年5月に当コースで行われた京都新聞杯は、1着ジューンテイク、2着ウエストナウと、キズナ産駒がワンツーフィニッシュを決めました。それぞれ8番人気、5番人気だったので、適性の高さがうかがえます。今年の出走馬のなかでキズナを父に持つものはディープボンドだけです。

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栗山求

netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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