2024年09月09日(月) 18:00
【Pick Up】クリスマスパレード:1着
ノーザンファームで1歳時からこの馬にまたがっていた古賀慎太郎さんは、同じキタサンブラック産駒のイクイノックス担当でもありました。もちろん、どちらもベタ褒めで、クリスマスパレードについては「柔らかさ、素軽さは今まで乗った馬でもトップだと思います。軽く走って14秒を切って力感もなく動けています」と、2歳6月の段階で自信満々でした。トレセンに入厩後、加藤士津八調教師も絶賛していたようです。
今回、5番人気での重賞初制覇でしたが、この馬に関わってきた方々にとっては、さほど意外性はなかったのではないでしょうか。これまでに出走したキタサンブラック産駒の牝馬のなかでは一、二を争う素質馬でしょう。
母の父ブレイムは、アメリカのBCクラシックにおいて、女傑ゼニヤッタ(通算20戦19勝)に生涯唯一の黒星をつけた馬です。種牡馬としては仏オークス馬センガ、本邦輸入種牡馬ナダル(アーカンソーダービー)などを出しており、ロベルト系らしい成長力と底力に特長があります。ひと夏を越してグンと成長してきましたが、まだまだ強くなる余地を残しています。秋華賞でも好勝負が見込めます。
【Pick Up】トウシンマカオ:1着
父ビッグアーサーは高松宮記念とセントウルSの勝ち馬。セントウルSは親子2代制覇となります。高松宮記念はミッキーアイルを破ってレコード勝ち(1分06秒7)しました。
父系をさかのぼると1967年に輸入されたテスコボーイに到達します。ここ半世紀あまりの間に、数えきれないほどの種牡馬が輸入されましたが、テスコボーイ系は「スピード」という一芸に賭け、生き延びてきました。2代父サクラバクシンオーは1400m以下で12戦11勝。スプリンターズSを2連覇したほか、ちょうど30年前のスワンSで、日本競馬史上初めて芝1400mで1分20秒の壁を破りました(1分19秒9)。同馬はキタサンブラックの母の父でもあります。
3代父サクラユタカオーは、1800mと2000mで日本レコードを樹立。時計勝負に強い、というのがこの系統の特長で、サクラユタカオーと同じくテスコボーイを父に持つトウショウボーイは、芝1600mと芝2000mの日本レコードを樹立しました。
トウシンマカオの母の父スペシャルウィークは、エピファネイア、リオンディーズ、サートゥルナーリアの三兄弟や、ディアドラ、ジュンライトボルトなど、ブルードメアサイアーとして定評があります。
トウシンマカオの出現によってテスコボーイ系はまだまだ伸びていく可能性が高まりました。
【バステッド】
3歳時にアイルランドでガリニュールSを勝ったものの、取り立てて目立つところのない馬でした。しかし、4歳を迎えて転厩すると一変。コロネーションS、エクリプスS、キングジョージVI世&クイーンエリザベスS、フォワ賞と4連勝。残念ながら故障を発症し、凱旋門賞制覇の夢を果たせぬまま引退しました。
イタリアの天才馬産家フェデリコ・テシオが生産したドナテッロは、イギリスで種牡馬生活を送り、アリシドン、クレペロという2頭の大物を送り出しました。バステッドは後者の仔で、この系統らしいスタミナ、切れ味、成長力を伝える種牡馬となりました。
日本ではディープインパクトの2代母の父として知られています。バステッドの特長はディープインパクトの個性の一部となり、その子孫に脈々と受け継がれています。
「ノーザンテーストのリーディングサイアー回数は?」
資料によって「10回」「11年連続」と回数に違いがある、というご指摘です。結論から申し上げればどちらも間違いではありません。「10回」というのは中央と地方を合算した総合リーディングサイアーの回数。一方、「11年連続」は中央のみを集計したものです。
この食い違いが起こった原因は1989年の成績にあります。この年、地方競馬でミルジョージ産駒のロジータ、ホウニンメゴヒメ、ダイタクジーニアス、シナノジョージなどが大活躍。中央のみの集計ではノーザンテーストがトップとなったものの、中央と地方を合算するとミルジョージが上回りました。
一国のランキング、という観点では合算したものが正しいのではないか、というのが個人的な見解です。
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栗山求
netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG
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