メイショウタバルが神戸新聞杯を制覇 菊花賞も大歓迎のスタミナ型血統

2024年09月23日(月) 18:00

血統で振り返る神戸新聞杯

【Pick Up】メイショウタバル:1着

 6馬身差で勝った3月の毎日杯もそうでしたが、今回も雨の影響で馬場が渋り、後続の追撃をしのいで逃げ切りました。

 父ゴールドシップは三冠馬オルフェーヴルと同じく「ステイゴールド×メジロマックイーン」の組み合わせ。両馬とも現役時代はスタミナ型で、渋った馬場になればさらに強い、という共通点がありました。

 本馬は「ゴールドシップ×フレンチデピュティ」という組み合わせ。ステイゴールドの系統は基本的にフレンチデピュティ牝馬との相性が良く、「ステイゴールド×フレンチデピュティ」から天皇賞(春)を勝ったレインボーラインが、「オルフェーヴル×フレンチデピュティ」からBCディスタフを勝ったマルシュロレーヌが出ています。「ゴールドシップ×フレンチデピュティ」は、メイショウタバルの他にステイヤーズS2着馬プリュムドールが出るなど、出走4頭中3頭が勝ち上がるという好成績です。

 血統的に3000mの菊花賞は歓迎。馬場が渋ればなおいいでしょう。

血統で振り返るオールカマー

【Pick Up】レーベンスティール:1着

 父リアルスティールは、種牡馬ランキングの首位を走るキズナと同じく「ディープインパクト×ストームキャット」の組み合わせ。キズナと同じく芝・ダートを問わず活躍馬を出せる種牡馬であり、ダートの代表馬はフォーエバーヤング(全日本2歳優駿、UAEダービー、サウジダービー、ケンタッキーダービー3着)、芝の代表馬はレーベンスティールです。

 母トウカイライフは「トウカイテイオー×リアルシャダイ」というニックス(トウカイポイント、チタニックオー、アースシンボル、トウカイオスカー、トウカイアローなどが出る)から誕生しました。母の父トウカイテイオーは、皐月賞と日本ダービーの二冠のほか、ジャパンC、有馬記念などを制覇しています。

 レーベンスティールは母方にトウカイテイオーの血を受け継ぐ馬のなかでは過去最強でしょう。昭和末期から平成初期にかけてわが国で活躍した牡馬は、サンデーサイレンスをはじめとするハイレベルな輸入種牡馬の攻勢にさらされ、種牡馬としてはファンが期待するほどの実績は残せませんでした。

 ただ、1992年の天皇賞(春)でトウカイテイオーと人気を二分したメジロマックイーンは、母の父としてオルフェーヴル、ゴールドシップなどの名馬を出しました。トウカイテイオーの血を受け継いだ名馬が見てみたい、というのはオールドファンが抱く夢のひとつでしょう。秋のGI戦線が楽しみです。

知っておきたい! 血統表でよく見る名馬

【ディクタス】

「サンクタス×ワードン」という組み合わせは、同じくフランスから輸入された種牡馬サンシー(ハギノトップレディなどの父)と同じ。父系はゲインズボローにさかのぼるスタミナタイプですが、このラインは気性の激しさも同居しているため、その出方によってステイヤーに出たりマイラーに出たりと掴みどころがなく、ディクタス自身は芝1600mのジャックルマロワ賞を勝ち、その父サンクタスは芝3000mのパリ大賞を勝ちました。

 ちなみに、サンクタスと同じくファイントップの代表産駒となったトピオは凱旋門賞馬で、三冠馬ミスターシービーの母の父となりました。最後方から行くという同馬の癖のあるレーススタイルは、この血の難しさも関連しているのではないかと思います。

 ディクタスはフランスで種牡馬入りしたあと、1981年から社台スタリオンステーションに移り、9年間供用されました。幸運だったのは、偉大なノーザンテーストがひと足早く種牡馬入りしていたこと。ディクタスは同馬の娘たちと抜群の相性を示し、サッカーボーイ、イクノディクタス、ムービースター、ディクターガール、クールハートなど多くの活躍馬が誕生しました。ディクタスは非主流のフランス血統で固められ、ノーザンテーストはノーザンダンサーの息子でレディアンジェラ3×2という主流血統の塊。対照的な個性がぶつかり合ったことが成功の要因でしょう。この配合は仕上がりが早く、切れ味があり、平坦巧者が目立ちました。

 サッカーボーイの全妹がステイゴールドの母となり、ステイゴールドはオルフェーヴルやゴールドシップなどを通じて父系を繋げています。

血統に関する疑問にズバリ回答!

「ダート戦のナダル産駒の狙い方は?」

 2歳のダート戦線でナダル旋風が吹き荒れています。

 ナダル産駒は現時点でJRA9勝。新種牡馬のJRA勝利数ランキングでは、1位サートゥルナーリア(11勝)、2位アドマイヤマーズ(10勝)に次ぐ第3位です。9勝の内訳は、芝3勝、ダート6勝。芝連対率が23.3%であるのに対し、ダートは倍以上の55.0%。掲示板に載れなかったのは20走中わずか2回です。

 ダートの成績が素晴らしい、というのは周知の事実となっているため、馬券的にはまったく妙味がありません。あえていえば、芝の新馬戦で1秒以上離されて負けた馬がダートに転じた、というケース。このパターンは現時点で5回走って1勝、2着2回、3着1回。複勝回収率は116%です。

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栗山求

netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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