2025年05月05日(月) 18:00
【Pick Up】ヘデントール:1着
ルーラーシップ産駒はこの春、ソウルラッシュがドバイターフ(G1・芝1800m)でロマンチックウォリアーを破り、ヘデントールが天皇賞(春)を制覇しました。現在、総合種牡馬ランキングは第6位。2023年にリーディングサイアーとなったドゥラメンテと4分の3同血(父が同じで母同士が親仔)で、母が牝馬ながら年度代表馬に選出されたエアグルーヴという良血です。サンデーサイレンスを持たず、基本的にはスタミナ豊富なタイプで、産駒の芝平均勝ち距離は1857mと長めです。
ちなみに、ルーラーシップを父に持つ菊花賞馬キセキ、トルコに渡って種牡馬となったメールドグラース(豪G1コーフィールドC)は、今年、初年度産駒がデビューする予定です。
母コルコバードはオープンクラスまで出世した活躍馬。全5勝のうち3勝を2400mで挙げ、牝馬にしては珍しく芝3000mの阪神大賞典に出走しました。母の父ステイゴールドはオルフェーヴル、ゴールドシップ、フェノーメノの父で、芝3000m以上のGIを計6勝。産駒の芝平均勝ち距離が1940mという日本屈指の長距離型種牡馬でした。ヘデントールのスタミナと成長力に大きく関わっているのは間違いないでしょう。
ヘデントールは芝3000m以上で3戦2勝(2着1回)。昨年の菊花賞はアーバンシックの2着でしたが、当時よりも成長したいまなら巻き返す可能性は十分あるでしょう。現4歳はダノンデサイル、レガレイラ、アーバンシック、ビザンチンドリームと、芝中長距離のタレントが豊富なので、これから先、国内外で見ごたえのある競馬を見ることができそうです。
【Pick Up】カナルビーグル:1着
父リアルスティールは、国内外でGIを4勝した名牝ラヴズオンリーユーの全兄で、2代母はキングマンボの全妹モネヴァッシア、3代母は80年代の世界最強マイラーのミエスク、という良血です。現役時代にドバイターフを勝ちました。キズナ、ダノンキングリー、エイシンヒカリなどと同じく「ディープインパクト×ストームキャット」の組み合わせです。
芝・ダートを問わず活躍馬を出せる種牡馬で、ダートの代表馬はフォーエバーヤング(サウジC、東京大賞典、ジャパンダートクラシック、全日本2歳優駿)、チカッパ(東京盃、北海道スプリントC)。芝の代表馬はレーベンスティール(セントライト記念、オールカマー、エプソムC)、オールパルフェ(デイリー杯2歳S)です。
ストームキャットのクロスを持つリアルスティール産駒は成功しており、とくに牡馬はチカッパ、スナークラファエロといった優れたダートホースが出ています。
同じく「ディープインパクト×ストームキャット」の組み合わせから誕生したキズナにおいても同様で、ストームキャットのクロスを持つ同産駒の牡馬にはナチュラルライズ、ハピ、モンブランミノルといったダート巧者が出ています。
母ソブラドラインクは南米アルゼンチンの3歳牝馬チャンピオン。芝2000mのGIを2勝していますが、パワーを秘めた血統なので、ストームキャットのクロスが生じるリアルスティールとの配合ではダート向きの仔が出たということでしょう。ドゥラメンテとの間に誕生した4歳のドゥレイクパセージ(現2勝クラス)は芝馬です。
【ミルジョージ】 ノーザンテーストのリーディングサイアー記録は、中央競馬のみの集計では11年連続ですが、地方競馬を合算すると計10回となります。1989年の総合種牡馬ランキング(中央+地方)でミルジョージが首位を奪取し、ノーザンテーストが2位となったからです。
1989年の中央競馬は、ミルジョージ産駒のイナリワンが天皇賞(春)、宝塚記念、有馬記念を制覇。地方競馬でも同産駒の女傑ロジータが南関東三冠や東京大賞典を制覇したほか、ホウニンメゴヒメ、ダイタクジーニアス、シナノジョージなどが大活躍。中央ではノーザンテーストがトップとなったものの、中央と地方を合算するとミルジョージが上回りました。
1975年にアメリカで誕生し、同国で走って4戦2勝。重賞の晴れ舞台を踏む前に骨折により引退しました。1979年にわが国で種牡馬入りし、競走成績が乏しかったこともあり当初は地方競馬に入厩する仔も少なくなかったのですが、最初期の産駒であるロッキータイガー(東京大賞典-2着、帝王賞、ダイオライト記念、ジャパンC-2着)などが南関東を中心に大暴れし、中央に入厩した馬からもユキノローズ、スーパーグラサード、エビスジョウジ、モガミヤシマなど次々と重賞勝ち馬が誕生しました。
父が英愛リーディングサイアーのミルリーフで、母の父がリボー系のラグーサ。底力あふれるステイヤー血統です。気性は激しく、芝・ダートを問わない万能性がセールスポイントでした。オークス馬エイシンサニー、牝馬三冠の最終関門だった時代のエリザベス女王杯(芝2400m)を勝ったリンデンリリーも忘れがたい馬です。
後継種牡馬のミルコウジ(東京ダービー)が地方競馬のリーディングサイアーとなり、ホワイトシルバー(東京大賞典)やセントリック(東京ダービー)の父となっています。母の父としてはセイウンスカイ(皐月賞、菊花賞)やカネツフルーヴ(帝王賞、川崎記念)などを出しています。
オジュウチョウサンやニシノデイジーの母方に含まれており、障害に強い血としても注目です。
「今年産駒がデビューする海外の注目種牡馬は?」
ヨーロッパで注目したいのはカルティエ賞年度代表馬に選出されたセントマークスバシリカ。仏2000ギニー、仏ダービー、エクリプスS、愛チャンピオンS、デューハーストSを制覇した名馬です。半兄に英2000ギニー馬マグナグリーシアがおり、父シユーニも評価が定まった名種牡馬。クールモアが将来のエース候補と期待しているだけに繁殖牝馬の質・量も十分すぎるほどです。
アメリカではエッセンシャルクオリティとシャーラタン。前者はアメリカで10戦8勝の成績を残し、最優秀2歳牡馬、最優秀3歳牡馬に選ばれました。父はタピットで、牝系はコントレイルと同じ。この春、乗りに乗っているゴドルフィンの所有馬で、2歳戦から突っ走りそうです。後者はアーカンソーダービーやマリブSを勝つなど5戦4勝。「スパイツタウン×クワイエットアメリカン」という魅力的な血統構成で、産駒の評価が高く、すでにデビュー戦を勝ち上がった仔も出ています。
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栗山求
netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG
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