【無料・ヴィクトリアマイル予想】◯◯質の馬を評価するなら「選びやすい大穴」は…&新潟直線1000mのメカニズム

2025年05月17日(土) 12:00

こちらのコラムでは、レース質予想のパイオニア・立川優馬氏が著書である『「今週勝つ!」を叶える馬券カレンダー』を基に週末の展望を解説していくものとなります。

 人気予想家の見解を、ぜひ予想の参考にお役立てください!

(取材・文・構成=編集下M)

あの人気馬は大きく評価を落とす

編集下M(以下、M) 先週のNHKマイルCは「大波乱をねらってもよいのでは」という見立てこそ合っていましたが…。

立川(以下、立) 私はコートアリシアン本命だったので、1秒で終わってしまいました…。道中、あれだけ離されながら上がり2位で勝ち馬から0.7秒差ですから、能力があるのは間違いないので、どこかで返してもらおうと思います。

M それにしても、前半3ハロン33.4秒のハイペースとは想像できませんでした。

立 逃げ候補がおらず、先行経験のあまりない馬が押し出される形で逃げると、ペース判断が難しくなることは少なくありません。高速馬場でテンに速い流れになると、1400m質の馬が恵まれるということで、マジックサンズ以外の上位勢は1400m重賞で連対歴のある馬になりました。このパターンは高速決着になるヴィクトリアマイルでよく起こるのですが、今年は馬場がよすぎてNHKマイルCにも当てはまってしまいましたね。これは今週末のヒントになるはずです。

M では早速、今週のヴィクトリアマイルについて…といきたいところですが、『「今週勝つ!」を叶える馬券カレンダー』の5月第3週のテーマは「新潟芝1000mの外枠差し馬で高配当をねらい撃つ」。東京5週連続GIが佳境というのに、またローカルですね。

立 しつこいようですが、「今週勝つ」ためのテーマを取り上げたいんですよ。ただ、そんなに難しい話ではないので、簡単に説明してヴィクトリアマイルの検討に移りましょう。

M 新潟に直線1000mのコースができたのが2001年。「新潟芝1000mで外枠を狙え!」なんて、今さらにもほどがありますよ。

立 そう思いますよね。日本の競馬はパリミュチュエル方式なので、有用な情報が知れ渡ってしまったらオッズに反映されてしまい、馬券術としては成立しなくなってしまいます。ところが、直線1000mは違うんですよ。

立川優馬

新潟芝1000mの枠順別成績(2024.1.1〜2025.5.11)

M 綺麗に外枠の回収率が出ていて、8枠にいたっては単複回収率がプラスですね。

立 ということで、外枠が人気を背負うことになってもまだ7〜8枠の回収率は平均以上なので、今後も外枠を軸に据えるのは正しい作戦です…だけでは味気ないので、『レース質マトリックス』らしく、そのメカニズムまで分析してみましょう。

M 馬場の良い外ラチ沿いを確実に走れる外枠の先行馬を狙えばいいんじゃないですか?

立 そう考える人が多いので外枠先行馬は過剰人気になりがちです。実は外枠の回収率を引き上げる立役者は差し馬なんです。条件戦以上、特に2勝クラス以上のレースでは外ラチ沿いの2〜3列目を追走できる差し馬が穴パターン。

M 今開催でも2日目に行われた2勝クラスの邁進特別は4枠のニシノコニャックが外ラチ沿いを通して7番人気で差し切り。3勝クラスの駿風Sでも内枠ながら差したエコロレジーナが9番人気3着と穴をあけていますね。

立 これには明確な理由があって、この時期の新潟開催は第3場なので、減量騎手や若手騎手が集まっているから。彼らが直線競馬で前へ前へという一本調子なレースをすることで先行馬が垂れ、差し馬が台頭するのです。日曜の飛竜特別はGIの裏で騎手は手薄、1勝クラスながら特別戦ではあるので、外ラチ沿いを差せる馬をねらうつもりです。

M 『「今週勝つ!」を叶える馬券カレンダー』では、直線競馬の得意な騎手についても紹介しているので、ぜひ、ご覧ください。ちなみに、さきほどの穴馬2頭(ニシノコニャック、エコロレジーナ)はともに菊沢騎手でしたが、もちろん菊沢騎手も千直得意騎手として挙がっていましたよ。

立川優馬

5月第3週の狙い方。『「今週勝つ!」を叶える馬券カレンダー』(画像は電子版)より

M さて、ここからはヴィクトリアマイルについて伺います。今週からBコース替わりでもありますし、高速決着になりそうですね。

立 そうですね。今年は近年でも屈指の高速馬場なので、1分30秒台での決着も視野に入れて予想を組み立てる必要があるでしょう。近年で1分32秒を切ったレースの勝ち馬を見ていくと以下のとおりです。

2024年テンハッピーローズ(新馬戦以外、勝ち星全て1400m)
2021年グランアレグリア(スプリンターズS1着)
2020年アーモンドアイ
2019年ノームコア
2016年ストレイトガール(スプリンターズS1着)
2015年ストレイトガール(スプリンターズS2着)

 能力上位の名牝アーモンドアイや、高速巧者だったノームコアなどを除くと、1400m以下に実績がある馬が好走していることがわかります。 

M 先週のNHKマイルCがまさにその決着でしたね。1400mの京王杯2歳S勝ち馬パンジャタワーが9番人気で1着。

立 本来、東京芝1600mは「テンに流れる→中盤緩む→末脚勝負」の流れになりやすく、そのため外枠からの押し上げが利いて、外枠差し有利になるとともに、距離短縮ローテが走りやすいのですが、1分32秒を切るような高速決着になると「中盤緩む」の部分の緩みが小さくなります。つまり、外枠差し馬が押し上げるタイミングがないので、差し馬には前に届く位置で競馬をして、なおかつ末脚が削がれない追走力が求められる。その結果、(追走力のある)1400m質の差し馬が恵まれるというメカニズムになっています。

M 昨年のメンバーを見返すと、1400m質の差し馬はテンハッピーローズぐらいしかいませんね。

立 先週のNHKマイルCの時点で1400m質の馬有利になっているので、今年もこのパターンで穴がねらえそうです。

M 今年の出走馬でいうと…?

立 今年も、どちらかと言えば1600m以上の距離に適性がある馬が多く、昨年に近いイメージですね。近走で1200〜1400mの重賞を好走している差し馬は、アスコリピチェーノ(海外)、シングザットソング、ソーダズリング、ワイドラトゥールぐらい。条件戦まで広げたらバウンシーステップ、マサノカナリアでしょうか。このうち、コンスタントに上がり上位を使っている高速上がり巧者となるとワイドラトゥールが該当。高速上がり経験まで考慮するとアスコリピチェーノ、マサノカナリアはこなせそう。あと、前走同距離で、今回唯一距離延長ローテにならないのがソーダズリングですね。

M あとは枠次第ですね。

立 そうですね。超高速馬場で1分30秒台の決着を想定すればさすがに内枠有利に傾くので、1400m実績のある馬のうち内目の枠を引いた馬を評価することになりそうです。

<枠順確定後の追記>
 東京の天気予報を見ると、週中に想定されていたほどの雨は降らないようで、水捌けのよさとBコース替わりを考慮すれば、ほとんど影響がない超高速馬場でよさそうです。東京芝1600m自体は外枠有利のコースですが、その大きな要因は中盤が緩みやすいラップ形にあるので、超高速馬場のBコースで緩みにくい今週は内枠有利で間違いありません(東京で最も外枠有利になりやすい東京芝1600mが内枠有利ということは、ほかのコースも内枠有利であると考えてOK)。

 このことを前提に内枠に入った1400m質の馬を評価するのであれば、大穴なら4枠に入ったワイドラトゥールでしょう。ほかの1400m質の馬が外枠に入ってしまったので、選びやすくはなりましたね。

 実は今年の枠並びを見ると、内枠の馬の多くが短縮ローテになっています。追走力を問われるここは同距離ローテのほうが有利。2枠から前走1600mを使っているアルジーヌとサフィラは上位に評価したいところ。あとは、前走先行の短縮馬という点で1枠のクリスマスパレードは高速巧者でもあり面白いかもしれません。

 海外帰りかつ距離延長ローテのアスコリピチェーノが17番枠を引いてしまったので大きく評価を落とし、1400m質の馬の中で唯一前走1600mが魅力だったソーダズリングも7枠で3列目まで。

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立川優馬

人気予想家の立川優馬氏が著者である『「今週勝つ!」を叶える馬券カレンダー』を実践していくものとなります。 その週の重賞で勝つために参考になる情報が満載となるコラムとなっておりますので、ぜひご覧ください!

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