2025年05月31日(土) 12:00
こちらのコラムでは、レース質予想のパイオニア・立川優馬氏が著書である『「今週勝つ!」を叶える馬券カレンダー』を基に週末の展望を解説していくものとなります。
人気予想家の見解を、ぜひ予想の参考にお役立てください!
(取材・文・構成=編集下M)
編集下M(以下、M) 先週のオークスは「差しが届くレースだと考えてOK」という言葉通り、4コーナー11番手のカムニャックが勝利。3着にも17番手からタガノアビーが追い込みました。
立川(以下、立) テンに流れて中盤緩んでの3F戦の差し決着で、桜花賞上位組と今年は差し決着だったフローラS組での1〜3着。基本的に前走先行好走馬を消せばよい、わかりやすいレースでした。実際、重賞レース質診断(サロンや「ウマい馬券」内で発表しているレース質に合致した馬の表)で残った馬での決着だったのですが、本命対抗のエンブロイダリー、リンクスティップが2頭とも馬券外に沈むとは…。
オークスの重賞レース質診断
M 気を取り直して、今週の話題に移りましょう。いよいよ、競馬の祭典・日本ダービーです。
立 ということで、『「今週勝つ!」を叶える馬券カレンダー』の5月第5週のテーマは、ズバリ「ダービーで穴をあける馬の条件」。直球勝負です。
M 私が編集に携わった『POG直球勝負』の告知のための前フリですね。ありがとうございます!
立 違いますよ。いくら「勝てるならGIよりローカル」の私でもダービーだけは特別です。POGのオススメ馬は、あとでこっそり教えてください(笑)。
5月第5週の狙い方。『「今週勝つ!」を叶える馬券カレンダー』(画像は電子版)より
立 まずはカンタンに近年の東京芝2400mの傾向をまとめておきましょう。
●近年はそれほど内枠有利のコースではなく、多頭数や上級条件で初めて若干内枠有利 ●以前にあった1枠最強神話はもはや存在しない ●12頭立て以下の少頭数ではむしろ外枠有利で、6〜8枠の複勝率が30%超 ●上がり上位の馬が昔から変わらず強く、基本は差し有利
M 以前、元の職場の上司が白帽子を買い続ける作戦でロジャーバローズの単勝(2019年・93.1倍)を当てていたのですが、今は傾向が違うのですね。
立 そうですね。ただ、少頭数下級条件で外枠からの差しが届いたのを見て、今の東京芝2400mは外がよいと判断すると内枠にやられてしまうケースがある点は注意が必要です。また、オークスとの違いは、牝馬と違って距離経験のある馬が多いため、ペースが落ち着きやすく、上がりが使える馬であれば先行馬でも走れることになります。
M オークスみたいに「差しが届くレースだと考えてOK」とまでは言い切れないということか。
立 枠の偏りが小さくなり、展開の紛れが少ないレースになると、純粋な能力勝負になりやすいので、人気馬が人気どおりに走りやすいのが特徴の一つと言えます。こうしたレースで穴があくとすれば、コースや馬場、展開に恵まれる馬ではなく、能力は高いけれどなにがしかの理由でオッズ妙味がある馬になります。
M 能力以外の要素で人気を落としているということですね。
立 競馬はパリミュチュエル方式を採用しているので、オッズとはいわゆる人気投票。したがって、ここで言う「なにがしかの理由」とは「過去戦績や血統面などが嫌われて人気を落としている」ことがほとんどで、その筆頭がいわゆる“前走不利馬”ですね。
M 読者の皆さんに念のため説明しておくと、ここでいう“不利”というのは前が塞がったなどの物理的な不利だけでなく、「不利な枠順だった」「不利な流れだった」といった枠順や脚質に恵まれなかったことも含まれます。
立 ダービーの前哨戦が行われるコースで枠や脚質面で不利を被る可能性が最も高いのが中山芝2000m。皐月賞、弥生賞、京成杯、ホープフルSが行われるコースで、ここで不利を覆して好走している馬や不利を受けて人気を落としている馬は、しばしばダービーで人気の盲点になります。
例えば、2024年のダービー勝ち馬ダノンデサイルは、8枠不利を跳ね返して勝利した京成杯が秀逸だったにもかかわらず、(皐月賞の)競走除外を挟んだことでダービーは9番人気で迎えることになりました。また、2023年の勝ち馬タスティエーラは、外枠差し有利の皐月賞を唯一先行して2着に粘っており、ダービー当日4番人気は不当に低い評価であったことが分かります。
このように、不利判定が分かりやすく、主要レースが詰まっている中山芝2000m経験馬は穴の宝庫。近年は前走不利馬が人気を背負いやすいので、不利で凡走している馬よりも、不利の中で好走したのに思ったよりも人気をしない馬がねらい目だと考えています。
M 今年の皐月賞は3頭に制裁が課される激しい競馬になりました。
立 差し有利の流れの皐月賞を先行して2着したクロワデュノールは人気でも評価せざるを得ません。人気薄なら、京成杯の内枠差し有利を外枠から早仕掛けで2着に粘り、差し有利の皐月賞を前受けして大敗したドラゴンブーストになりますが、デビューから4戦続けて1600mを使われていた馬で、距離経験は心許ないですね。
「ホープフルS8枠不利→弥生賞と皐月賞を先行不利で大敗」のジュタの大駆けや、「差し有利の弥生賞を先行して2着→皐月賞で控える競馬に対応できず大敗」のヴィンセンシオが先行して巻き返すパターンなどが穴候補でしたが出走してきませんでした。
M 穴候補の不出走は残念です。
立 そこで改めて、皐月賞のレース展開から数字面で現れにくい不利を見ていくと、序盤に位置を取り、道中不利を受けて後方に下げ、大外ぶん回しのロスがある競馬で4着だったジョバンニが浮上してきます。少なくとも、「上がり最速で追い込んで差して届かず」という内容がいかにもダービー向きということで人気になりそうな3着馬マスカレードボールより上位の評価をしてよいはずです。
M 今年のダービーは、人気馬の壁が高そうですね。
立 そうですね。1番人気のクロワデュノールは堅いという前提で入り、オッズ次第でジョバンニが人気馬の1角を崩す形に妙味ありというのが最適解かなと考えています。ところで下Mさん、来シーズンのPOGなのですが…。
M 実はドラフトが迫っている方に向けて、『POG直球勝負』とnetkeibaさんとのコラボ企画『POGドラフト土壇場逆転リスト』を公開しています。オーパーツ・パブリッシングさんのホームページでは直前情報の『魔球』も公開しているので、立川さんもここから選べば安心ですよ!
立 無理やり告知に繋げましたね…。
<枠順確定後の追記>
全体的な印象としては、馬券的には面白い枠の並びになったかなと。人気どころではミュージアムマイルとファンダムという少し距離不安のある馬が内枠に、クロワデュノールとマスカレードボール、サトノシャイニングという距離に不安の少ない馬が外枠に入って、あとは日曜までに雨がどこまで乾くかがポイントになるので、事前に予想しなくてはならない身としては困ってしまいますね。
馬場がどうあれ、Cコース替わりで8枠がプラスになる要素はあまりないので、今回は位置を取りたいマスカレードボールとサトノシャイニングは評価を下げることになりそう。クロワデュノールは進出するとき少しマクリ気味になるので、13番枠は悪くなく、自身の外枠にファウストラーゼンがいるのも僥倖。状態面に問題があるケース以外では軽視する要素はありません。
注目していたジョバンニは9番枠を引いてくれて、枠の差でまずマスカレードボールには先着してくれそうという前提でフォーカスを組むことができます。馬連ワイド派にはそれだけで結構ありがたいところですね。
この枠並びで一発あるならショウヘイでしょうか。乾いて昨年のようなラチ沿い先行馬が恵まれる馬場になれば、ラチ沿い2列目を確保できる優位性、そして鞍上ルメール騎手、スロー時の末脚性能の高さと、ほかの馬に比べて高いパフォーマンスを叩き出せる要素がそろっていると思います。その上積みで皐月賞上位勢にどこまで迫れるか。
ミュージアムマイルとファンダムは、距離不安を払拭するには内枠がよかったですが、末脚性能を生かすには直線外に持ち出してスムースに加速する必要があるので、あと少し外枠でもよかったかなという印象。ファウストラーゼンの仕掛け次第ですが、マクリが入ればラストは持続戦になるので、ラップ的にあまり噛み合わないのではないかとは思っています。
バックナンバーを見る
このコラムをお気に入り登録する
お気に入り登録済み
お気に入りコラム登録完了
立川優馬「馬券カレンダー 実践編」をお気に入り登録しました。
戻る
※コラム公開をいち早くお知らせします。※マイページ、メール、プッシュに対応。
立川優馬
人気予想家の立川優馬氏が著者である『「今週勝つ!」を叶える馬券カレンダー』を実践していくものとなります。 その週の重賞で勝つために参考になる情報が満載となるコラムとなっておりますので、ぜひご覧ください!
予想
日本ダービー、プロの◎は?
枠順確定
日本ダービー
オッズ
日本ダービーの人気をチェック!
調子偏差値
日本ダービーの調子偏差値をチェック!
特集
日本ダービーを完全攻略!
競輪
競輪を気軽に楽しもう!全レース出走表・競輪予想、ニュース、コラム、選手データベースなど。