2025年06月02日(月) 18:00
【Pick Up】クロワデュノール:1着
キタサンブラック産駒は日本ダービー初制覇。これまでイクイノックスとソールオリエンスが2着に甘んじていたのですが、ついに頂点を極めました。
日本ダービーは2012年のディープブリランテから13年連続で「父が日本ダービーで1〜3着だった馬」が勝ち続けていました。父キタサンブラックは2015年の日本ダービーで14着。この例に当てはまりません。
ちなみに、キタサンブラックが敗れた年の日本ダービーを勝ったのはドゥラメンテ。今回2着と敗れたマスカレードボールの父です。もし同馬が勝っていれば、キングカメハメハ→ドゥラメンテ→マスカレードボールと、3代連続日本ダービー制覇の新記録が実現するところでした。
キタサンブラック産駒は日本ダービーに計4頭出走して[1-2-0-1]。日本ダービーに滅法強い血統といえるでしょう。イクイノックス、ソールオリエンス、クロワデュノールも、いずれ種牡馬として日本ダービー向きの特長を伝えるのではないかと思います。
母ライジングクロスはパークヒルS(英G2・芝13ハロン197ヤード)を勝ったステイヤー。ヨーロッパ各国とアメリカを転戦し、他に英オークス2着、愛オークス3着という成績があります。海外のサイトによれば体高がわずか14.3ハンド(約145cm)しかなく、現役時代のレース映像を見てもその小ささは見て取れます。
ライジングクロスの産駒成績を見ると、オークス(GI)で4着と好走したアースライズ(父マンハッタンカフェ)を産んでいますが、同馬を含めて産駒のサイズは総じて小さめです。キタサンブラックが交配相手に選ばれたのは、体高が172cmと社台スタリオンステーション繋養の種牡馬のなかで最も背が高いことも理由のひとつでしょう。アースライズの父マンハッタンカフェも170cmの大型馬でした。
クロワデュノール自身は、父キタサンブラックのスラリとした体形を受け継ぎ、今回の馬体重は504kg。十分なサイズを備えています。
母の父ケープクロスは、シーザスターズ、ゴールデンホーン、ウィジャボード(いずれもカルティエ賞年度代表馬)などの父で、大レース向きのスタミナと底力に定評があります。
(有)サンデーレーシングの吉田俊介代表によれば、現時点では未定ながら今秋は海外遠征も視野に入れているとのこと。血統的にヨーロッパの洋芝は合うタイプでしょう。
【Pick Up】アドマイヤテラ:1着
父レイデオロは日本ダービー、天皇賞(秋)の勝ち馬。種牡馬としては、“短距離=不振、長距離=天才的”という際立った特徴を備えています。
芝2500m以上では勝率26.1%、連対率43.5%、複勝率52.2%。2015年以降、芝2500m以上で産駒が20走以上した62頭の種牡馬のなかで、勝率、連対率、複勝率のいずれにおいてもナンバーワン、という凄まじい成績です。単勝回収率109%、複勝回収率110%と、馬券的にも妙味があります。
その一方で、芝1000〜1200mでは過去30戦未勝利。5着が最高着順です。芝短距離では馬券から外し、芝長距離で買い続ける、という狙いの分かりやすい種牡馬です。
アドマイヤテラは昨年秋の菊花賞で7番人気ながら3着と好走しました。長距離適性の成せる業でしょう。
母アドマイヤミヤビはクイーンCの勝ち馬で、オークス3着。こちらもスタミナ十分ですから、長距離路線におけるアドマイヤテラは前途洋々です。
本馬は「ウインドインハーヘア4×4」という牝馬クロスが施されています。おもしろいことに、その息子ディープインパクト、またはブラックタイドを経ない形でのクロスとなっています。アドマイヤテラの4代母、父レイデオロの3代母がウインドインハーヘアで、同馬の娘2頭を通じて血を引いているという珍しい形です。
【ドミニオン】
パース賞(仏G3・芝1600m)、バーナードバルークH(米G3・芝9ハロン)を含めて通算48戦14勝。英仏独米と国境をまたいでタフに走り続けました。英2000ギニー(G1・芝8ハロン)では3着と健闘しています。
父デリングドゥーは、イギリスでクイーンエリザベスII世S(現G1)を勝ったマイラー。種牡馬としてはドミニオンの他にハイトップ(英2000ギニー)、ハンターコム(本邦輸入種牡馬。皐月賞馬ダイナコスモスの父)を出しました。
ドミニオンは種牡馬として成功。ファーストアイランド(英G1サセックスS、英G1ロッキンジS)、エンブラ(英G1チェヴァリーパークS)など多くの重賞勝ち馬を出しました。優れたスピードと仕上がりの早さを武器とし、1984、85年に英愛2歳種牡馬チャンピオンとなっています。何頭かの後継種牡馬のうち、リッチモンドS(英G2・芝6ハロン)など4つの短距離重賞を勝ったプリモドミニーが成功しました。ドミニオンを母の父に持つ馬にはゼンノエルシド(マイルCS)がいます。
ドミニオンの仔ノミネーションは、後の名種牡馬グリーンデザートを破ってリッチモンドSを快勝。引退後、種牡馬となったものの、まったくの失敗に終わりました。しかし、娘のウッドライジングがライジングクロス(英G2パークヒルS、英オークス2着、愛オークス3着)を産み、ライジングクロスはわが国に輸入され、キタサンブラックとの交配で日本ダービー馬クロワデュノールを産みました。
「現3歳世代限定のJRA種牡馬ランキングの首位は?」
2022年生まれのサラブレッドは、昨年6月の新馬戦からデビューし、先週の日本ダービーまで丸一年走り続けました。その間、JRAで39レースの重賞を消化し、7頭のGI馬が誕生しました。
この世代限定のJRA種牡馬ランキングは以下のとおり(JBIS集計)。
1位 キズナ 2位 キタサンブラック 3位 エピファネイア 4位 ドゥラメンテ 5位 サートゥルナーリア
日本ダービー終了時点の集計ではキズナが2年連続の首位です。GI馬こそ出していませんが、サトノシャイニング、エリキングなど7頭の重賞勝ち馬を出し、安定した強さを見せつけました。このランキングには反映されませんが、南関東に遠征して羽田盃(JpnI)と京浜盃(JpnII)を圧勝したナチュラルライズもキズナ産駒です。JRA限定ではなく地方競馬を合わせた総合種牡馬ランキングではさらに差が開きます。
2位キタサンブラックはダービー馬クロワデュノールの父。1位キズナが62勝したのに対し、わずか29勝で2位となったのは、クロワデュノールがクラシック戦線の高額賞金レースで活躍したことが効いています。
3位エピファネイアはジョバンニ、エリカエクスプレス、ヤンキーバローズ、4位ドゥラメンテはマスカレードボール、エネルジコ、5位サートゥルナーリアはショウヘイ、ファンダムが活躍しました。
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栗山求
netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG
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