【無料・安田記念予想】本来のレース質とは反する可能性… 今週見るべきポイントはどこ?

2025年06月07日(土) 12:00

こちらのコラムでは、レース質予想のパイオニア・立川優馬氏が著書である『「今週勝つ!」を叶える馬券カレンダー』を基に週末の展望を解説していくものとなります。

 人気予想家の見解を、ぜひ予想の参考にお役立てください!

(取材・文・構成=編集下M)

直近の傾向に振り切ってしまうほうがよい

立川優馬

6月第1週の狙い方。『「今週勝つ!」を叶える馬券カレンダー』(画像は電子版)より

編集下M(以下、M) 『「今週勝つ!」を叶える馬券カレンダー』の6月第1週のテーマは、「レースやコースがもつレース質と直近の傾向が反するときの対処法」。安田記念攻略法!みたいな内容ではないのですね。

立川(以下、立) 『「今週勝つ!」を叶える馬券カレンダー』は単純な重賞本ではありません。その週に馬券に役立つヒントが書かれていて、読み終わった一年後には馬券力が劇的に向上している、というのがコンセプトなんです。ただ、今回のテーマは安田記念に通じていますし、後半で安田記念への生かし方についても触れるので最後まで読んでくださいね。

M 単行本の宣伝をしつつコラムへの興味を失わせない。素晴らしい前振りです(笑)。では早速、内容について教えてください。

 直近の傾向とは、「馬場状態」「天候」「芝の荒れによる直線進路」「風の影響」「騎手意識」など、レースの結果の影響を及ぼす、再現性の小さい要素の集合を指しています。つまり、今年のレースでは考慮に入れなければならないが、来年の同レースで同じように考慮する必要があるわけではない要素とも言えます。

M もう少し、具体的に教えていただけますか?

 東京ダート1600mを例にとって考えてみましょう。東京ダート1600mの基本レース質(そのコースが本来もっている性質)は何でしたか?

M (単行本の246ページを見ながら)「外枠・先行・短縮」ですね。

 そうですよね。ですが、ご存じの通り、2回東京はほぼ毎週週末が雨で、ダートが良だった日は1日だけしかありませんでした。含水率が高く脚抜きの良い馬場になったことで、東京ダート1600mは例年より内枠有利、差し有利の傾向が続いています。

 正直、このようにコースがもつレース質と、直近の傾向(馬場状態など)が乖離している場合には勝負を避けるのがベターですが、こうも毎週雨が続くといつまでも避けているわけにはいきません。

M 馬券は毎週買いたいです。

 結論から言えば、直近の傾向のほうを重視するのがオススメです。雨で含水率の高い東京ダート1600mで内枠が走っているようなら、過去10年の枠順別データで1枠の成績が振るわなくとも1枠を買って構わないということです。ただし、フォーカスの組み方については少々注意が必要です。

M どういうことでしょう?

 直近の傾向を重視して内枠を狙うのであれば、内枠へのフォーカスでまとめることが重要です。含水率が高いから内枠も走っているけれど、外枠有利のコースだから手広く買おうというのではなく、内枠が走れると考えるのであれば、内枠ねらいに振り切ってしまうほうがよいということです。

M あー、なるほど。その気持ちはわかります。「いくら内有利といっても、東京ダート1600mなら3列目は外を中心に押さえておくか」となりますよね。実は先週土曜の東京11RアハルテケS(ダート1600m)も、2番◎で、11番人気3着の1番も評価していたのですが、3列目を外枠中心に流したところ、2→3→1の決着で3連複がすり抜けてしまいました。

 本来絶対的に不利な1枠が走れると考えてフォーカスを組むのであれば、もう少し縛りの緩い2〜4枠はより走りやすいわけですし、芝発走による外枠の優位性を否定して入ることにもなります。理論の整合性を考えれば、外まで手を広げるよりも、内枠決着を逃さないようにするべきなのです。

M 先週、この話を聞いておきたかった…。

立川優馬

東京芝1600mの立川式コース図。『「今週勝つ!」を叶える馬券カレンダー』(画像は電子版)より

 安田記念がもつレース質は「外枠・差し・短縮」。テンに流れて、中盤に緩むことで外枠差し馬の押し上げが利き、直線の追い比べでブレーキ要素なくスムースに末脚を伸ばせる馬が恵まれます。2024年は7番枠のロマンチックウォリアーと5番枠のナミュールのワンツーでしたが、直線進路は外に持ち出す形。2023年は馬群の外を通した大外枠のソングラインが差し切り、3着にも14番枠のシュネルマイスター。2022年は13番枠のソングライン、9番枠のシュネルマイスターが差してワンツーしたほか、3、4着も7、8枠の差し馬でした。

立川優馬

安田記念、枠順別成績(過去10年)

M 直近3年をみるかぎり、今年も「外枠差し有利」重視で良いような…。

 問題は先週日曜が明白に内枠有利だった点で、4Rに行われた未勝利芝1600mでは内枠先行馬のワンツー決着でした。本来外枠差し有利になる東京芝1600mが内枠先行決着になったわけですから、ほかのコースは内枠先行有利に傾いて当然。ダービーでショウヘイの評価を4番手まで上げたのもこの傾向を踏まえてのものです。

 もし、今週末も内枠先行有利の傾向が続いているならば、安田記念がもつレース質である「外枠・差し・短縮」と、直近の馬場傾向が反する可能性があります。その場合は、直近の傾向を重視して、思い切って内枠ねらいにシフトするのも一つの手。例えば、内枠巧者であるサクラトゥジュールが1、2枠を引くパターンや、マイルでも先行できる追走力があるジャンタルマンタルが内枠からラチ沿いを先行するパターンなどは、ほかの人気馬が外から末脚を伸ばしたいタイプの差し馬であることを考慮すると面白そうです。

M 土曜は5Rと7Rに芝1600m戦が組まれているので、まずはその結果に注目ですね。

<枠順確定後の追記>

 これは極端な枠順になりましたね。1番人気想定のシックスペンスが1枠1番で、残りの人気上位馬は外枠にズラっと並びました。例年どおり「外枠・差し・短縮」のレース質であれば、1番人気馬を軽視して外枠勢で馬券を組むことになりますし、その場合は短縮で出走してくるソウルラッシュが軸に最も近いでしょう。また、外枠必須だったジュンブロッサムも17番枠を引いて、外枠差し馬の中で最も末脚性能が高いこの馬は人気以上に走ってくるはず。

 逆に、先週の内枠有利を引き継いで、今週も「馬場状態=直近の傾向」が内枠先行有利なのであれば、軸はシックスペンスで決まりですし、外枠勢の差し損ねをねらって内枠に手広くというフォーカスも考えられます。その場合は、距離延長ローテでGI3着、GII1、2着歴があり、ラチ沿い逃げか番手が濃厚な4番枠のウインマーベルが相手筆頭になるでしょう。

 どちらに傾くか、土日のレースを確認しておきたいところ。東京芝1600mの傾向を見ることはもちろんですが、東京芝1800〜2000mも参考になります。この2コースは、ポケット発走のためにコースが持つレース質を「内枠・先行・スローペース」で取っています。つまり、これらのコースで外枠差し馬が走るような場合は、芝1600mは外枠差し有利で間違いないということです。この点にも注意してレースをご覧ください。

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立川優馬

人気予想家の立川優馬氏が著者である『「今週勝つ!」を叶える馬券カレンダー』を実践していくものとなります。 その週の重賞で勝つために参考になる情報が満載となるコラムとなっておりますので、ぜひご覧ください!

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