宝塚記念親仔制覇となったメイショウタバル 祖父ステイゴールドの産駒も通算5勝と好相性の舞台

2025年06月16日(月) 19:00

血統で振り返る宝塚記念

【Pick Up】メイショウタバル:1着

 父ゴールドシップは2013、14年に当レースを連覇しているので、親仔制覇となります。その父ステイゴールドは宝塚記念で2、3、4、4着と勝っていませんが、産駒が宝塚記念を通算5勝(ゴールドシップ2勝、オルフェーヴル、ナカヤマフェスタ、ドリームジャーニー)。渋った馬場と阪神コースへの適性はこの系統のストロングポイントです。

 ステイゴールドの直系の孫であるメイショウタバルは、道悪の鬼で、なおかつ阪神芝では3戦全勝。さらに、気性的な難しさがあるという、いかにもステイゴールド系らしい競走馬です。ひとつ前の阪神10R花のみちS(3勝クラス・芝1600m)は、稍重で1分32秒6という速い決着。ただ、宝塚記念のレース後のジョッキーコメントを読むと、緩めの馬場を敗因に挙げる騎手が散見され、少なくとも硬い馬場ではなかったようです。重馬場の毎日杯で後続を6馬身ちぎり、1分46秒0という良馬場並みの時計で駆け抜けた能力は、やはり伊達ではありませんでした。

 母の父フレンチデピュティはパワーを伝える血で、ステイゴールドと相性抜群。「父ステイゴールド系、母の父フレンチデピュティ系」というパターンから、これまでにレインボーライン、マルシュロレーヌ、スルーセブンシーズといった大物が出ています。スルーセブンシーズ(父ドリームジャーニー)は2年前の宝塚記念で10番人気ながらイクイノックスの2着に食い込みました。

 メイショウタバルの通算成績は[5-0-0-6]。1着か大敗か、というタイプなので、今後もコンスタントに上位争いを繰り返すわけではないかもしれませんが、好走条件が揃えば大駆けを果たすはずです。

血統で振り返る函館スプリントS

【Pick Up】カピリナ:1着

 キーンランドCと葵Sを勝ったレイハリアの半妹。母ライトリーチューンはバウンシーチューン(フローラS)の4分の3妹で、現役時代は未勝利に終わりましたが、ブルードメアサイアーとして定評のあるマンハッタンカフェを父に持つ効果か、繁殖牝馬として2頭の重賞勝ち馬を産みました。

 ちなみに、「母の父マンハッタンカフェ」は、タスティエーラ、ソウルラッシュ、メイショウハリオ、テーオーロイヤル、テーオーケインズ、ペプチドナイル、セラフィックコールなど多くの活躍馬が出ており、2024年の総合ブルードメアサイアーランキングは3位、今年は現時点で5位です。タスティエーラとソウルラッシュの海外分の賞金が加算されていれば、今年のランクはもっと上がるはずです。

 父ダンカークはアンブライドルズソングを父に持つ輸入種牡馬。これが初のJRA重賞制覇となります。芝30勝、ダート105勝という通算成績が示すとおりダート向きで、2021年にアイスジャイアントがダートグレード競走のJBC2歳優駿(JpnIII・門別ダ1800m)を勝っています。2024年の種付けを最後に種牡馬生活をリタイアしました。

 カピリナは、母ライトリーチューンが「マンハッタンカフェ×トニービン」という芝血統。こちらの特長が上回っているようです。

知っておきたい!血統表でよく見る名馬

【フランケル】

 イギリスでマイル路線を中心に走り、G1を10勝するなど14戦全勝。2年連続でカルティエ賞年度代表馬に選出されました。過去20年間のワールドサラブレッドランキングでは、フライトラインと並ぶ史上最高の「140」というレーティングを獲得しています。

 種牡馬としても大成功。クラックスマン(英チャンピオンS2回)、アルピニスタ(凱旋門賞)、アダイヤー(英ダービー、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS)、インスパイラル(ジャックルマロワ賞2回、BCフィリー&メアターフ)など、現時点で30頭以上のGI馬を出し、2022年にフランスの、2023年に英愛のリーディングサイアーとなっています。日本でもソウルスターリング(オークス、阪神JF)、モズアスコット(安田記念、フェブラリーS)、グレナディアガーズ(朝日杯FS)と3頭のGI勝ち馬が出ています。

 気難しさゆえに距離がもたない仔も見られますが、基本的には万能型で、配合によってマイラーからステイヤーまで幅広いタイプの活躍馬が出ています。その父ガリレオ(英愛リーディングサイアー12回)、さらにその父サドラーズウェルズ(同14回)と比べ、日本向きの軽いスピードがある、というのが大きな特長です。

 母の父としてはスパークリングプレンティ(仏オークス)、ザリガナ(仏1000ギニー)、リードアーティスト(ロッキンジS)、モズメイメイ(重賞3勝)などが出ています。

血統に関する疑問にズバリ回答!

「ハギノトップレディの直系子孫はいる?」

 6月14日、函館芝1000mの新馬戦で、カイショー(父スワーヴリチャード)が56秒4のコースレコードを樹立しました。旧レコード(57秒2=1979年8月12日)を保持していたのはハギノトップレディ。JRAで現在使用されているコースのなかで最古のレコードでした。

 ハギノトップレディは翌年の桜花賞とエリザベス女王杯を制覇した名牝。宝塚記念を勝ったハギノカムイオーの半姉、スワンSと高松宮杯を勝ったイットーを母に持つ良血です。1957年にイギリスから輸入された名繁殖牝馬マイリーにさかのぼるファミリーは、その華々しい活躍ぶりから“華麗なる一族”という愛称でも親しまれました。

 ハギノトップレディは、ダイイチルビー(安田記念、スプリンターズS)を産み、孫の代からマイネルセレクト(JBCスプリント)を出すなど、ファミリーを発展させました。近年は地方競馬での活躍が目立っています。

 直系子孫の血統登録頭数は、現2歳は4頭、1歳は6頭。直系にこだわらず、マイネルセレクトの血を持つものも含めると、2歳は9頭、1歳は10頭となります。

バックナンバーを見る

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

栗山求

netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

関連情報

新着コラム

コラムを探す