「ロードカナロア×サクラバクシンオー」の黄金配合 キープカルムがしらさぎS初代王者に

2025年06月23日(月) 18:00

血統で振り返るしらさぎS

【Pick Up】キープカルム:1着

「ロードカナロア×サクラバクシンオー」というスプリントチャンピオン同士の配合は大成功しており、キープカルムのほかにサトノレーヴ、ファストフォース、テイエムトッキュウ、キルロード、サンキューユウガなど、コンスタントに活躍馬が誕生しています。連対率35.3%、1走あたりの賞金額515万円、という数字は、総出走回数が300回を超える配合としては異例の好成績。ロードカナロア産駒全体は連対率19.6%、1走あたり241万円なので、この配合の優秀さがお分かりいただけると思います。

 キープカルムは今年のオークス馬カムニャックの半兄。カムニャックはキタサンブラックと同じ「ブラックタイド×サクラバクシンオー」で、キープカルムは前述のとおり「ロードカナロア×サクラバクシンオー」。母の父サクラバクシンオーが成功しやすい配合パターンでしっかりと結果を出しています。

 母ダンスアミーガは関屋記念と中京記念で4着。3代母ダンスパートナーはオークスとエリザベス女王杯の勝ち馬で、ダンスインザダーク、ダンスインザムードの全姉。社台ファームの看板牝系です。

血統で振り返る府中牝馬S

【Pick Up】セキトバイースト:1着

 デクラレーションオブウォー産駒は、中山牝馬Sのシランケドに次いで今年重賞2勝目。いずれも牝馬限定の芝1800mハンデ戦です。日曜終了時点で総合種牡馬ランキングは24位。

 母ベアフットレディはアイルランドからの輸入牝馬なのでサンデーサイレンスを持ちません。父デクラレーションオブウォーも輸入種牡馬なのでサンデーサイレンスがありません。デクラレーションオブウォー産駒はサンデーサイレンスを持たない活躍馬が目に付き、他にトップナイフ、ハウゼ、アウトドライブ、オーブルクールなどが出ています。

 2代父ウォーフロントはズバッと切れる脚はないものの、スピードの持続力が持ち味です。他にアメリカンペイトリオット、ザファクターなどがわが国で供用されています。ラストの決め手比べになると厳しくなる血統なので、向正面でじわっと位置取りを上げたのが好判断でした。

知っておきたい! 血統表でよく見る名馬

【ミルリーフ】

 1970年代のヨーロッパを代表する名馬の一頭。英ダービー、凱旋門賞、キングジョージ6世&クイーンエリザベスSなど英仏で14戦12勝(2着2回)と、ほぼパーフェクトな成績を残しました。

 1960年代の半ばから、北米産馬がヨーロッパの大レースを席巻していきましたが、ミルリーフはニジンスキー、サーアイヴァー、ロベルト、ダーリア、アレフランスなどと並ぶその中心的な存在です。

 父はナスルーラ系のスピード型種牡馬ネヴァーベンド。ヨーロッパのクラシックディスタンスでは適性的に心もとない血ですが、母の父プリンスキロからスタミナ、底力、成長力を補いました。

 プリンスキロはアイルランド産の名種牡馬。アメリカ血統に不足しがちな要素を伝える名血で、北米のブルードメアサイアーランキングで8回首位に立ちました。この血のおかげでアメリカ血統はグレードアップし、世界の中心に躍り出たといえるでしょう。なかでも「父がナスルーラ系、母の父がプリンスキロ系」という配合からは、ミルリーフの他にセクレタリアト、シアトルスルー、リヴァーマン(ミルリーフと同じネヴァーベンドを父に持つ)、サンサンをはじめ多くの名馬が誕生しています。

 ミルリーフは種牡馬としても成功し、英・愛ダービーを連勝したシャーリーハイツをはじめ、アカマス、レファレンスポイント、グリントオブゴールド、ラシュカリなど多くの活躍馬を出し、1978年と1987年の二度、英愛リーディングサイアーの座につきました。ナスルーラ系は総じてスピードに特長があるのですが、ミルリーフは芝向きのスタミナタイプでした。

 ミルリーフ→シャーリーハイツ→ダルシャーンのラインが父系をつないだものの、現在は世界的に衰退しています。この系統の種牡馬は日本にも大量に輸入され、ミルジョージが1989年に総合リーディングサイアーの座につき、マグニテュードの息子ミホノブルボンが二冠を制覇しました。

 母の父にミルリーフを持つラストタイクーンは、名種牡馬キングカメハメハのブルードメアサイアーとなりました。したがって、わが国のサラブレッドはミルリーフの血をかなりの割合で持っています。

血統に関する疑問にズバリ回答!

「小倉ダ1700mで買うべき種牡馬は?」

 ラニ、アメリカンペイトリオット、スマートファルコン、ミッキーアイル、サンダースノーは好成績を残しています。

 今週から始まる小倉開催では、土日でダ1700m戦が6レース組まれています。これらの種牡馬を父に持つ馬は要チェックです。

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栗山求

netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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