2025年06月30日(月) 18:00
ラジオNIKKEI賞は単勝オッズ7.6倍(4番人気)のエキサイトバイオが優勝(撮影:下野雄規)
netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)
AIマスターM(以下、M) 先週はラジオNIKKEI賞が行われ、単勝オッズ7.6倍(4番人気)のエキサイトバイオが優勝を果たしました。
伊吹 鞍上の荻野極騎手にとっても会心の勝利だったのではないでしょうか。五分のスタートを切ってポジションを取りに行き、道中は最内の8番手前後を追走。馬群の外めを周って早めに仕掛ける馬もいた中、コースロスなく3コーナーから4コーナーを通過し、ゴール前の直線に入っています。残り200m地点を過ぎたところでセンツブラッド(2着)、インパクトシー(3着)、ショウナンマクベス(5着)あたりが抜け出しを図ったものの、そこからインパクトシーとショウナンマクベスの間を突いて鋭く伸び、一旦は単独先頭となったセンツブラッドを急追。決勝線の手前で逆転し、最後は半馬身の差をつけて入線しました。
荻野極騎手は先週の土日だけで計3勝をマークしており、2025年の勝利数(JRAのレースのみ。以下同)が19に到達。キャリアハイである年間47勝を記録したデビュー2年目の2017年ほどではないものの、久々に年間勝利数が30を超えた2024年(33勝)と同じくらいのペースです。ごく一部の例外を除くと、減量制度の対象から外れてしばらく経った30歳前後のジョッキーは、どうしても注目度が落ちてしまいがち。そんな中で顕著に成績が上向いているわけですから、今後も目が離せません。
M エキサイトバイオは重賞初制覇。勝ち上がりに5戦を要したうえ、前走のあずさ賞も2着どまりでしたが、格上挑戦のここで見事にタイトルを奪取しました。
伊吹 1勝馬ということもあって、今回の負担重量は53kg。また、展開や馬場のコンディションを考えると、最内枠もプラスに働いたのではないかと思います。当然ながら、こういったファクターの影響があった点は考慮するべきでしょう。もっとも、2020年のラジオNIKKEI賞を53kgの負担重量で制したバビットは、休養を挟んで臨んだ次走のセントライト記念を快勝。この馬も過剰にフロック視しない方が良いかもしれません。
M 今後は一旦放牧されるとのこと。復帰戦が楽しみですね。
伊吹 母のアニメイトバイオは2010年のローズSを制している重賞ウイナー。2009年の阪神JFと2010年の秋華賞でも2着に食い込みました。本馬の半姉には2018年フローラS2着のパイオニアバイオ、2019年アルテミスS3着のビッククインバイオ、2023年のききょうSを勝ったクイックバイオがいます。これだけポテンシャルの高い血統ですし、まだまだ伸びしろはあるはず。狙い時を逃さないよう、今後もしっかり動向を注視しておきましょう。
M 今週の日曜小倉メインレースは、サマースプリントシリーズの第2戦となるハンデキャップ競走、北九州記念。昨年は単勝オッズ7.3倍(3番人気)のピューロマジックが優勝を果たしました。なお、その2024年は単勝オッズ15.7倍(9番人気)のヨシノイースターが2着に、単勝オッズ91.1倍(16番人気)のモズメイメイが3着に食い込んで、3連単79万8750円の高額配当が飛び出しています。
伊吹 過去10年の北九州記念における3連単の配当を振り返ってみると、平均値は28万5350円、中央値は9万6685円。堅く収まった年も少なくないとはいえ、やはり基本的には波乱の決着をイメージしておくべきでしょう。
M 過去10年の単勝人気順別成績を見ると、単勝1番人気の馬は優勝例なし。単勝2番人気から単勝3番人気の馬も3着内率は35.0%どまりで、やや物足りない水準です。
伊吹 より実態に即した区切り方をすると、単勝2番人気から単勝5番人気の馬は2015年以降[5-4-4-27](3着内率32.5%)、単勝6番人気から単勝10番人気の馬は2015年以降[4-1-3-42](3着内率16.0%)、単勝11番人気以下の馬は2015年以降[1-1-2-69](3着内率5.5%)となっていました。上位人気グループの馬を無理に嫌う必要はありませんが、妙味ある伏兵を積極的に狙っていくべきレースだと思います。
M そんな北九州記念でAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、ヨシノイースターです。
伊吹 話の流れからすると少々意外なところを挙げてきましたね。おそらくですが、今回はかなりの人気を集めそう。
M ヨシノイースターは7歳馬。先程も触れた通り、昨年の北九州記念で2着に健闘しました。前走の春雷Sを完勝していて、加齢の影響はまったくなさそう。素直に中心視しようと考えている方も多いのではないでしょうか。
伊吹 重賞未勝利ではあるものの、能力の高さは十分過ぎるほどに証明済み。Aiエスケープも、今回のメンバー構成なら信頼して良いと見ているようです。この見立てを踏まえたうえで、私はレースの傾向からヨシノイースターの好走確率を見積もっていきたいと思います。
M 真っ先に注目しておくべきポイントはどのあたりでしょう?
伊吹 近年は先行力の高い実績馬が優勢。2021年以降の3着以内馬12頭中11頭は、“JRAの、重賞のレース”において“着順が4着以内、かつ4コーナー通過順が5番手以内”となった経験のある馬でした。
M はっきりと明暗が分かれていますね。
伊吹 この条件をクリアしていなかったにもかかわらず3着以内となったのは、2022年1着のボンボヤージのみ。オープン特別や条件クラスのレースを主戦場としてきた馬、そして末脚を活かす競馬しかできないタイプは過信禁物です。
M ヨシノイースターは昨年の北九州記念で4コーナー2番手のポジションから2着を確保。先行力の高い実績馬とみなして良いでしょう。
伊吹 あとは直近のパフォーマンスも素直に評価したいところ。同じく2021年以降の3着以内馬12頭中10頭は、前走の着順が5着以内でした。
M 大敗直後の馬はあまり上位に食い込めていませんね。
伊吹 ちなみに、前走の着順が6着以下だったにもかかわらず3着以内となった2頭は、いずれも性が牝、かつ前走の馬体重が460kg未満。小柄な牝馬は一変を警戒しておくべきかもしれませんが、基本的には前走好走馬が強いレースと言えます。
M 前走の春雷Sを勝って臨むヨシノイースターにとっては、こちらも心強い傾向です。
伊吹 さらに、同じく2021年以降の3着以内馬12頭中11頭は、前走が今回と同じ距離のレースでした。
M なるほど。1200m以外のレースをステップに臨む馬は強調できませんね。
伊吹 おっしゃる通り。今年はこの条件に引っ掛かっている馬が例年よりも多いので注意しましょう。
M ヨシノイースターの前走、春雷Sは中山芝1200m外で施行されたレース。好走馬の傾向からも強調できる一頭ということになります。
伊吹 オッズや枠順を見たうえで最後にもう一度検討しますが、私は今のところ◎を打つつもりです。これといった不安要素が見当たらないので、今回は無理に逆らうよりも素直に買った方が良いと判断しました。Aiエスケープも有力視しているのならば心強い限り。高額配当決着にも対応できるよう、買い目作りや相手選びを工夫したいと思います。
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伊吹雅也
競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。
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