福島芝2000mで好成績を挙げるスクリーンヒーロー産駒 コスモフリーゲンが重賞初制覇

2025年07月14日(月) 18:00

血統で振り返る七夕賞

【Pick Up】コスモフリーゲン:1着

 スクリーンヒーローは、父がロベルト系のグラスワンダー、2代母が80年代を代表する名牝ダイナアクトレスという血統。現役時代にジャパンCとアルゼンチン共和国杯を勝ちました。種牡馬としてもモーリス(年度代表馬)、ゴールドアクター(有馬記念)、ウインマリリン(香港ヴァーズ)などを出して成功しています。2023年の種付けを最後に引退、現在は生まれ故郷の社台ファームで余生を送っています。

 JRAの重賞勝利は2023年のスワンSを勝ったウイングレイテスト以来1年9ヵ月ぶりです。産駒は福島コースを得意としており、なかでも芝1800〜2000mでは安定した好成績を挙げています。2015年以降、福島芝2000mで産駒が20走以上した49頭の種牡馬のなかで、スクリーンヒーローの連対率24.6%は第4位。七夕賞に出走馬を出している種牡馬のなかではナンバーワンです。

「スクリーンヒーロー×ダンスインザダーク」の組み合わせは成功しており、JRAで出走を果たしたわずか13頭から、コスモフリーゲンの他にクールキャット(フローラS)、ヴァリアント(3勝クラス)、イラーレ(3勝クラス)など7頭が勝ち上がっています。この組み合わせはサンデーサイレンス3×3が自動的に生じます。

血統で振り返るスパーキングレディーC

【Pick Up】フェブランシェ:1着

 7月9日夜、川崎競馬場で行われたスパーキングレディーC(JpnIII・ダ1600m)は、大井競馬所属の2番人気フェブランシェが逃げ切りました。昨年秋に中央から大井に転厩し、すでに東京シンデレラマイル、しらさぎ賞を勝っていますが、ダートグレード競走は初制覇です。

 父リアルスティールは今年、カナルビーグルがユニコーンSを、ヴェローチェエラが函館記念を勝っています。それ以外にも、フォーエバーヤングが海外でサウジCを制覇し、今回、フェブランシェが川崎でスパーキングレディーCを勝ちました。JRAのみを対象とした種牡馬ランキングではその真価が正当に評価されづらいタイプです。

 リアルスティール産駒のグレード制重賞勝ち馬は7頭目。意外にも牝馬はフェブランシェが初めてです。

 母方にデピュティミニスター、シアトルスルー、ミスタープロスペクターを併せ持つリアルスティール産駒なので、フォーエバーヤングと配合構成がよく似ています。母方に芝血統を入れれば芝向きの、パワー型の血を入れればダート向きの一流馬を出せるところがリアルスティールの長所です。

知っておきたい! 血統表でよく見る名馬

【サクラユタカオー】

 日本競馬にスピード革命をもたらした輸入種牡馬テスコボーイは、1970年代に4回リーディングサイアーとなりました。その代表産駒トウショウボーイは、種牡馬として三冠馬ミスターシービーをはじめ中央競馬だけで30頭近い重賞勝ち馬を出しました。しかし、サイアーラインをつなげたのは晩年の傑作サクラユタカオーでした。

 重賞を4勝したサクラシンゲキの半弟で、530kgに達する雄大で均整の取れた馬体と、輝くような明るい栗毛がトレードマーク。1987年の二冠馬サクラスターオーの叔父でもあります。3歳春の骨折を乗り越えて4歳時に本格化を果たし、毎日王冠、天皇賞(秋)と、2戦連続日本レコードを樹立するという偉業を成し遂げました。ただ、2200m以上では一度も勝てず、距離の壁がありました。

 種牡馬としては芝向きで、スピードが活きる条件に強く、ラストの決め手がありました。サクラバクシンオー(スプリンターズS2回)、ウメノファイバー(オークス)、エアジハード(安田記念、マイルCS)、サクラキャンドル(エリザベス女王杯)などが代表産駒。ノーザンテースト牝馬と抜群の相性を示し、その代表格であるサクラバクシンオーは、高松宮記念を勝ったビッグアーサーを出してサイアーラインを繋げています。

血統に関する疑問にズバリ回答!

「キンチェムの直系子孫は存在していますか?」

 1874年にオーストリア=ハンガリー帝国で誕生した牝馬キンチェム(Kincsem)は、2歳から5歳にかけて54戦全勝の成績を残しました。東欧だけのローカルな記録ではなく、英仏への遠征でグッドウッドカップ、ドーヴィル大賞を勝っています。

 その直系子孫はまだ生き残っており、1974年の英オークス馬ポリガミー(Polygamy)、2012年に英2000ギニー、英ダービー、愛ダービーなどを勝ったキャメロット(Camelot)が代表格です。

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栗山求

netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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