2025年07月21日(月) 18:01
▲高田潤騎手と小牧加矢太騎手の対談第2回(撮影:下野雄規)
障害レースに欠かせない調整「スクーリング」。第1回に続き、障害リーディングを走る高田潤騎手と、小牧加矢太騎手がその真相を語ります。
馬に障害の“裏側”を見せる意図や、“逃げ道”を覚えさせないための工夫など──。ジョッキーごとに異なる調教スタイルの違いとは?
前回はこちら▼
(取材・構成=不破由妃子)
──みなさん笑顔で言葉を交わしながら楽しそうにスクーリングをされていましたが、そんななかでも障害を飛ばしている人、飛ばしていない人、コースを逆回りに走らせている人など、本当にさまざまな動きをされていて。それぞれに狙いがあるのかなと思いながら見ていたのですが、やはりほかのジョッキーの動きは気になりますか?
高田 気になりますよ。馬の様子も見ますけど、このジョッキーは何を目的にスクーリングしているのかなって。
加矢太 僕はけっこうみんなと同じというか、むしろみんなに合わせてやっているんですけど、潤さんはひとりだけスクーリングのやり方が違いますよね。
──先ほど、アサクサゲンキのイルミネーションジャンプSのときに「潤さん風」のスクーリングをして結果につなげたというお話がありましたね。一端でもいいので“高田流”のスクーリングを教えていただけますか?
高田 スクーリングだけではなく、トレセンでの調教のときもそうなんですけど、たとえば障害の裏側を馬に見せたりします。大抵のジョッキーは、まず障害を正面から見せて、そのまま飛ばずに障害の脇を通って次の障害に向かって行くんですけど、僕は脇を通ったあとに一度戻って、障害の裏側を見せてから改めて馬の視点を進行方向に向ける。で、ゆっくり歩かせて次の障害に向かいます。
──障害の裏側を見せる…。そこにはどんな意図があるんですか?
高田 レースでは当然障害を飛ぶので、脇から抜けてくるのとでは馬の目に映る景色が違いますよね。だから、最終的にレースと同じ導線を見せたいというのがひとつ。あとは、障害を見せて次の障害に行くときって馬はイレ込みやすいので、そのまま馬主導で行かせるのではなく、こっちの指示に従わせたい。つまり、鞍上に意識を向けさせるためにやってます。
▲障害の裏側を見せることで「鞍上に意識を向けさせる」(撮影:下野雄規)
加矢太 超束縛するタイプです(笑)。
高田 言い方(笑)。でもね、確かに俺はあんまり自由にはさせない。それがいいのか悪いのかはわからないけどね。馬の気持ちを損ねたくないという人は、ある程度好きにやらせてあげればいいと思うけど、俺は跨っている間は常に乗り役に意識を向けてほしい。常に馬と会話をしている状態にしたいんだよね。馬に任せる場面もあるけど、基本的には馬が乗り手に「どうする?」って聞いてくれる、そういう関係でありたいと思って調教してる。
加矢太 それは僕も同じです。
高田 でも、加矢太は障害の裏側は見せへんやん・・・
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小牧加矢太
1996年12月24日、兵庫県生まれ。父・小牧太は現役ジョッキー。一度は競馬騎手を志すも、身長の高さから体重制限が難しく、馬術の道へ進む。数々のタイトルを獲得し、2022年にJRAの障害騎手としてデビュー。2024年にはホッコーメヴィウスとのコンビで新潟ジャンプステークスを制し、重賞初制覇。同年には障害リーディングを獲得、JRA賞最優秀障害騎手にも選出され、異例のスピードでトップジョッキーの仲間入りを果たした。
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