イングランドアイズが重賞初制覇 母譲りの勝負強さを発揮

2025年07月21日(月) 18:00

血統で振り返る小倉記念

【Pick Up】イングランドアイズ:1着

 母ヌーヴォレコルトは2014年のオークス馬。それ以外にも中山記念、ローズS、芝11ハロンの米G3レッドカーペットHを勝っています。

 初仔のロードカナロアの仔を受胎したあとイギリスへ渡り、4シーズン滞在したあと日本に帰国しました。現在は生まれ故郷の社台ファームで繁殖生活を送っています。

 これまで競走年齢に達した5頭の仔のうち、4頭が勝ち上がる好成績。わが国のトップクラスの種牡馬を相手にしているわけではなく、今回勝ったイングランドアイズの父キングマンもそうですが、3頭はイギリス繋養の種牡馬を父としており、繁殖牝馬としての能力は非凡です。

 今年の1月、凱旋門賞馬ソットサスを父に持つセナスタイルが新馬戦を勝ちました。いまのところ日本でソットサス産駒は4頭デビューしましたが、勝ち上がったのはこの馬だけです。

 父キングマンはイギリスのスピード型種牡馬。シュネルマイスター(NHKマイルC)、エリザベスタワー(チューリップ賞)など日本でも実績を挙げており、イギリスの種牡馬のなかでは日本向きの特長を備えているといえるでしょう。気性の悪さが玉に瑕ですが、スピードの出る芝でも問題なく走れるところはセールスポイントです。

 今回は51kgの軽ハンデがモノを言った部分もありますが、ここ一番の強さはさすが良血馬といったところです。

血統で振り返る函館2歳S

【Pick Up】エイシンディード:1着

 父ファインニードルは、現役時代にスプリンターズS、高松宮記念をはじめ5つの芝短距離重賞を制覇しました。セイウンコウセイ、ハクサンムーンなどと並ぶアドマイヤムーンの代表産駒です。種牡馬としても好成績を挙げており、すでにカルチャーデイ(ファンタジーS)、エイシンフェンサー(シルクロードS)、アブキールベイ(葵S)が重賞を勝っており、エイシンディードが4頭目となります。

 今年はすでに重賞3勝。ロードカナロア(9勝)、キズナ(6勝)、キタサンブラック(5勝)、レイデオロ(4勝)に次ぐ5位タイです。今年の芝1200mの勝ち星は、ロードカナロア(15勝)、ビッグアーサー(11勝)に次ぐ第3位(9勝)。その3分の1にあたる3勝が重賞勝ちなので中身が濃く、今後、繁殖牝馬の質が上がることが予想されるので、産駒の質はさらに上がるでしょう。

 父が芝向きのファインニードルで、母エーシンエムディーは現役時代に芝1200mで3勝、2代母エイシンルーデンスはチューリップ賞と中山牝馬Sの勝ち馬ですから、血統的に芝適性は問題ありませんが、門別のダートで2戦1勝という成績で、今回が初芝。JRA勢との比較がまったくつかないので、9番人気で単勝48.7倍と人気がなかったのも致し方ないところでしょう。

知っておきたい!血統表でよく見る名馬

【バゴ】

 ヌレイエフ、ミエスク、キングマンボ、マキャヴェリアンなど、20世紀後半に宝石のような名馬群を生み出したニアルコスファミリーの生産馬。凱旋門賞、パリ大賞、ガネー賞など5つのGIを制覇し、カルティエ賞最優秀3歳牡馬に選出されました。

 日本で種牡馬となり、クロノジェネシス(有馬記念、宝塚記念2回、秋華賞)、ビッグウィーク(菊花賞)、ステラヴェローチェ(神戸新聞杯、サウジアラビアRC)、トロワボヌール(クイーン賞2回、スパーキングレディーC)など多くの重賞勝ち馬を誕生させました。

 2代母は仏2歳牝馬チャンピオンのクードジェニー、その全兄に名種牡馬マキャヴェリアン、牝系をさかのぼるとノーザンダンサーの母ナタルマに到達するという名門牝系に属しています。父ナシュワンはディープインパクトと同じ牝系から誕生した英二冠馬。バゴはそのスタミナを受け継いでおり、基本的には2000m以上を得意としています。スピード勝負や決め手比べに弱みがあるものの、タフな条件で発揮される底力は非凡です。

 アベレージの高い種牡馬ではありませんが、ノーザンファーム生産馬の成績は素晴らしく、クロノジェネシス、ステラヴェローチェ、トータルクラリティ、ブラックバゴなど出走12頭中8頭が勝ち上がり、3頭が重賞を勝っています。

血統に関する疑問にズバリ回答!

「セレクトセールの歴代落札価格ベストテンの競走成績は?」

 歴代1位のディナシーから10位タイの2頭まで、計11頭のうち出走を果たしたのは5頭。不出走が1頭、未デビューの馬が5頭です。

 デビューを果たした5頭の価格は以下のとおり。

3位アドマイヤビルゴ(5億8000万)
6位ショウナンアデイブ(5億1000万)
8位ザサンデーフサイチ(4億9000万)
9位リアド(4億7000万)
10位ダノンエアズロック(4億5000万)

 アドマイヤビルゴは京都新聞杯4着。ショウナンアデイブは小倉大賞典2着。ザサンデーフサイチは準オープン馬。リアドは毎日杯5着。ダノンエアズロックはプリンシパルSの勝ち馬。

 現時点で重賞を勝った馬はいないものの、箸にも棒にも掛からないような馬はなく、いずれも準オープン以上には出世しています。5頭中4頭は重賞入着またはオープン勝ちの実績があります。

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栗山求

netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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