【新潟2歳S AI予想】あとは枠順次第!? AIが最有力と見た連軸候補の信頼度をチェック

2025年08月18日(月) 18:00

単勝オッズ25.6倍(10番人気)のトップナイフが優勝(撮影:高橋正和)

netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。

(文・構成=伊吹雅也)

堅く収まりがちであることを前提に予想へ臨みたい

AIマスターM(以下、M) 先週は札幌記念が行われ、単勝オッズ25.6倍(10番人気)のトップナイフが優勝を果たしました。

伊吹 お見事と言うほかありませんね。スタート直後にややゴチャついたこともあってか、序盤の先行争いには加わらず、後方を進みながら1コーナーで最内へ。2コーナーから向正面にかけて少しずつポジションを押し上げ、5番手で3コーナーに入っています。その後も内ラチ沿いを通って先頭との差を詰め、ゴール前の直線に入ってすぐ2番手へ浮上。先に抜け出したケイアイセナ(4着)を決勝線の手前で捕らえ、最後の最後に後方から伸びてきたアラタ(3着)、ココナッツブラウン(2着)の追撃も凌ぎ切り、先頭で入線しました。変則的なレース運びを成功させた横山典弘騎手も凄いのですが、鞍上のプランニングに完璧な走りで応えたトップナイフもさすがです。両者の個性が噛み合い、その相乗効果がパフォーマンスに表れていましたから、馬券で狙っていた方にとっても気持ちの良い勝利だったのではないでしょうか。

M トップナイフは待望の重賞初制覇。2歳時のホープフルSで2着となるなど、長く重賞戦線で注目を集めてきましたが、なかなか勝ち切ることができませんでした。

伊吹 札幌記念は3度目の参戦で、馬場状態が良だった昨年は6着に敗れてしまったものの、今回と同じ稍重だった一昨年は2着に健闘。こういった路面やコースに対する適性の高さも、勝因のひとつだと思います。もちろん、現在のトップナイフがGIIのタイトルに相応しい実力の持ち主であった点も重要なポイント。一時的な不振からしっかり立て直した陣営にも拍手を送りたいです。

M もともと実績がある馬ですし、完全復活を遂げたとなれば、今後も目が離せませんね。

伊吹 ジョッキーのコメントによれば、膝蓋の手術を経てスタートが改善されたとのこと。実際、2走前のエプソムC(11着)や前走の函館記念(10着)ではスムーズに先行していましたし、その一方で今回のような競馬もできるわけですから、この自在性は大きな武器になるでしょう。2000mのレースを中心に使われてきたとはいえ、この距離しかこなせないということはないはず。どこを目標とするかにもよりますが、当面は可能な限り激走を警戒しておきたいと思います。

M 今週の日曜新潟メインレースは、1マイルのコースを舞台に争われる2歳重賞、新潟2歳S。昨年は単勝オッズ11.7倍(6番人気)のトータルクラリティが優勝を果たしました。ちなみに、その2024年は単勝オッズ2.6倍(1番人気)のコートアリシアンが2着、単勝オッズ9.0倍(5番人気)のプロクレイアが3着という結果で、3連単の配当は2万2180円。どちらかと言うと、堅く収まりがちなイメージのあるレースです。

伊吹 2023年に3連単18万1860円、2015年にも3連単26万1060円の好配当が飛び出しているとはいえ、過去10年の新潟2歳Sにおける3連単の配当は、平均値が6万2374円、中央値が1万9065円。大きな波乱は起きづらいと見るべきでしょう。

M 過去10年の単勝人気順別成績を見ても、上位人気馬がそれなりに優秀な成績を収めています。

伊吹 より詳しく見てみると、単勝7番人気から単勝12番人気の馬は2015年以降[0-2-3-51](3着内率8.9%)、単勝13番人気以下の馬は2015年以降[0-0-0-16](3着内率0.0%)でした。少頭数になりがちなレースですし、今後もあまり手を広げない方が良いかもしれません。信頼できる連軸候補を的確に見極め、可能な限り買い目を絞り込みましょう。

M そんな新潟2歳SでAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、サンアントワーヌです。

伊吹 話の流れ的にもちょうど良いところを挙げてきましたね。今回のメンバー構成なら、かなりの支持が集まりそう。

M サンアントワーヌはドレフォン産駒のノーザンファーム生産馬。前走のデビュー戦で2着馬に4馬身の差をつけています。単勝1番人気となるかどうかは微妙なところですが、もともと中心視するつもりだった方も多いのではないでしょうか。

伊吹 あとはコース替わりや乗り替わりの影響をどう見るか――といったところ。少なくともAiエスケープは、どちらもまったく問題ないと見ているようですね。この見解を踏まえたうえで、好走馬の傾向とサンアントワーヌのプロフィールを見比べていきたいと思います。

M 最大のポイントはどのあたりでしょう?

伊吹 まずは臨戦過程をチェックしておきたいところ。2019年以降の3着以内馬18頭中16頭は、前走の距離が1400m超でした。

M 今回より短い距離のレースをステップに臨んだ馬は、あまり上位に食い込めていませんね。

伊吹 ただし、前走の距離が1400m以下、かつ生産者がノーザンファームの馬は2019年以降[1-1-0-2](3着内率50.0%)。2019年2着のペールエール、2023年1着のアスコリピチェーノと、ノーザンファーム生産馬の2頭が1400mのレースをステップに連対しています。今後も同様の傾向が続くと見ておきたいところです。

M サンアントワーヌの前走は東京芝1400mの新馬でしたが、先程も触れたようにこの馬はノーザンファーム生産馬。評価を下げる必要はないでしょう。

伊吹 あとは馬格も素直に評価した方が良さそう。同じく2019年以降の3着以内馬18頭中16頭は、前走の馬体重が450kg以上でした。

M 小柄な馬は過信禁物、と。

伊吹 前走の馬体重が450kg未満だったにもかかわらず3着以内となったのは、2022年1着のキタウイングと、2024年2着のコートアリシアンのみ。それぞれ後の重賞でも善戦した実力馬ですし、基本的には馬格のある馬を重視するべきだと思います。

M サンアントワーヌは前走の馬体重が452kg。合格ラインを大きく上回っているわけではありませんが、強調材料のひとつと見て良さそうです。

伊吹 さらに、同じく2019年以降の3着以内馬18頭中16頭は、馬番が6番から18番でした。

M こちらもなかなか興味深い傾向。内枠不利なレースと言って良いのではないでしょうか。

伊吹 今年は特別登録を行った馬が11頭しかいませんから、半数くらいの馬がこの条件に引っ掛かる見込み。馬番5番あたりの馬に関しては、ある程度柔軟に判断して良いかもしれません。もっとも、基本的に外枠有利であることは明らか。極端に内寄りの枠を引いてしまった馬は、疑ってかかるべきでしょう。

M 無難な枠を引き当てることができたら、サンアントワーヌは有力候補の一頭と見て良さそうですね。

伊吹 前出の条件をクリアしている馬は他にも何頭かいるので、私はサンアントワーヌを含むそれらの馬の中から、外寄りの枠に入った馬を狙うつもりでした。ただし、単純にこれまでのレースぶりを見る限りだと、もっとも魅力を感じるのはこのサンアントワーヌ。Aiエスケープの評価も高いようですし、たとえ好枠を引けなかったとしてもマークしておこうと思います。

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伊吹雅也

競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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