セール出身馬が世界各地のG1で活躍 「タタソールズ・オクトーバーセール・ブック1」開催迫る

2025年08月20日(水) 12:00

注目馬の一部を紹介

 欧州の1歳馬マーケットでは最高の品揃えを誇る「タタソールズ・オクトーバーセール・ブック1」が、10月7日から9日まで、英国における馬の街ニューマーケットで開催されるが、537頭の上場馬が既に発表になっている。

 上場馬の質が高い市場だけに、出身馬の活躍は相変わらず顕著だ。ここ1年ほどの活躍馬を紹介すると、まず今年の3歳世代で言えば、昨年秋にG1ジャンリュックラガルデール賞(芝1400m)を制し、今年春にG1ジョッケクルブ賞=仏ダービー(芝2100m)を制したカミーユピサロ(父ウートンバセット)が、23年のこのセールにて125万ギニー(当時のレートで約2億4196万円)で購買された馬だった。同年のこのセールでは、昨年8月にG1モルニー賞(芝1200m)を制したホイッスルジャケット(父ノーネイネヴァー)が50万ギニー(約9678万円)で、昨年9月にG1ヴィンセントオブライエンナショナルS(芝7F)を制したスコルシーチャンプ(牡3、父メーマス)が15万5千ギニー(約3007万円)で購買されている。

 今年の4歳世代では、今年6月6日にサラトガ競馬場で行われたG1ジャストアゲームS(芝8F)を制したダイナミックプライシング(父ナイトオブサンダー)が、22年のこのセールにて17万ギニー(約3007万円)で購買された馬。あるいは、8月9日に同じくサラトガ競馬場で行われたG1ソードダンサーS(芝12F)を制したエルコルドベス(父フランケル)が、同じく22年のこのセールにて200万ギニー(約3億2078万円)で購買されていた。

 さらに今年の5歳世代では、昨年8月にG1ベルリン大賞(芝2400m)を制したアルリファ(父ウートンバセット)が、21年のこのセールにて15万ギニー(約2439万円)で購買された馬。6歳世代では、今年3月8日に豪州のロイヤルランドウィック競馬場で行われたG1カンタベリーS(芝1300m)を制したロイヤルパトロネージュ(父ウートンバセット)が、20年のこのセールにて6万2千ギニー(約918万円)で購買されている。

 タタソールズ・オクトーバーといえば、馬が高い、という印象を持たれている方も少なくないと思う。ここまでご紹介した馬たちでは、確かに、カミーユピサロやエルコルドベスは高かったが、前者はG1コモンウェルスC勝ち馬ゴールデンホルデの半弟で、後者はG1スプリントC勝ち馬タンテローズの甥と、高い血統背景を持った馬だった。

 しかし、G1勝ち馬たちの購買価格を、もう一度ご覧いただきたい。それほど高くはない、日本円で3千万前後、もしくはそれ以下の価格帯からもG1勝ち馬が多数出ていることには、ぜひご注目いただきたい。

 また、地元ヨーロッパのみならず、米国、豪州など、世界の様々な地域で活躍馬が出ていることも、特筆モノである。

 今年の上場馬も、非常に豪華だ。フランケル産駒が30頭も上場されるのに加え、キングマンが27頭、ウートンバセットが30頭、ナイトオヴサンダーが34頭など、トップサイヤーの産駒たちが大挙エントリーしている。

 これに加え、今年の1歳世代が初年度産駒となる若手種牡馬では、22年の欧州年度代表馬バーイードの産駒が23頭上場を予定している他、現役時代にG1ミドルパークS(芝6F)、G1モルニー賞(芝1200m)を制したブラックベアード、G1プリンスオブウェールズS(芝1990m)やG1コックスプレート(芝2040m)など4つのG1を制したステートオブレスト、長距離路線で7つのG1を制したストラディバリウスらの初年度産駒も上場を予定している。

 目玉商品をあげると切りがないのだが、ほんの一部をご紹介すると、上場番号20番の父フランケルの牡馬は、G1凱旋門賞(芝2400m)など6つのG1を制したアルピニスタの全弟だ。上場番号71番の父ドゥバウィの牝馬は、G1愛チャンピオンS(芝10F)など5つのG1を制した欧州年度代表馬セントマークスバシリカの半妹だし、上場番号302番の父トゥーダーンホットの牡馬は、G1コックスプレート(芝2040m)など9つのG1を制している女傑ヴィアシスティーナの半弟だ。

 これらを含め、兄姉、もしくは母がG1勝ち馬という血統の馬が68頭も上場を予定しているという、超高品質のカタログとなった「タタソールズ・オクトーバーセール・ブック1」。果たしてどのようなマーケットが展開されるか。見逃せないセールとなりそうだ。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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