【新潟記念 AI予想】ポイントは脚質!? Aiの注目馬をさまざまな角度から徹底分析

2025年08月25日(月) 18:00

リアライズシリウス(撮影:下野雄規)

netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。

(文・構成=伊吹雅也)

ハンデキャップ競走だった昨年までは比較的荒れやすかった

AIマスターM(以下、M) 先週は新潟2歳Sが行われ、単勝オッズ2.3倍(1番人気)のリアライズシリウスが優勝を果たしました。

伊吹 強かったですね。スタートこそやや遅れてしまったものの、すぐにダッシュがついてポジションを押し上げ、向正面半ばで2番手へ。逃げたフォトンゲイザー(7着)をマークするような形で3コーナーから4コーナーを通過し、単独2番手のままゴール前の直線に入っています。その後、後続勢とともに馬場の外めへ持ち出し、残り400m地点のあたりで離れた内のフォトンゲイザーを捕らえ、単独先頭に。タイセイボーグ(2着)、フェスティバルヒル(3着)、サンアントワーヌ(4着)らが熾烈な2着争いを繰り広げる中、セーフティリードを保ったまま入線しました。結果的に出走メンバー中3位以内の上がり3ハロンタイムをマークした3頭が2着から4着を占めたわけですから、決して先行有利な流れではなかったはず。今回のメンバー構成においては、地力が頭ひとつ抜けていたと言って良いでしょう。

M リアライズシリウスはデビュー戦から2連勝で重賞タイトルの奪取に成功。父のポエティックフレアは現2歳世代が初年度産駒となる新種牡馬です。

伊吹 現役時代のポエティックフレアは、3歳時にイギリス2000ギニーやセントジェームズパレスS(いずれも英GI)を制覇。このシーズン限りで引退し、社台スタリオンステーションで種牡馬入りしました。しかし、残念ながら受胎率が極端に低く、2023年産馬は種付け頭数108頭に対して生産頭数38頭、2024年産馬も種付け頭数66頭に対して生産頭数20頭。既にシンジケートは解散しています。いかにも欧州産馬らしい、日本国内にはあまりいないタイプの血統構成ですから、もし順調に種牡馬生活を送ることができていたら、次の種付けシーズンはかなりの注目を集めていたかもしれません。

M リアライズシリウスをはじめとする数少ない産駒の中から、後継になるような馬が出るといいですね。

伊吹 レース後のコメントによると、陣営はもう少し長い距離も十分にこなせると見ており、今後は朝日杯FSだけでなくホープフルSも視野に入れたうえで調整される模様。2代母のダンスーズデトワールはマルセルブサック賞(仏GI)で2着となった実績のある馬ですし、ビッグレースで再びライバルを圧倒することができれば、リアライズシリウスが種牡馬として供用される可能性も十分にあるのではないでしょうか。こうした背景も踏まえたうえで、今後のレースぶりを見守っていきたいと思います。

M 今週の日曜新潟メインレースは、約2か月に渡って争われてきたサマー2000シリーズの最終戦、新潟記念。昨年は単勝オッズ26.0倍(8番人気)のシンリョクカが優勝を果たしました。なお、その2024年は単勝オッズ4.6倍(3番人気)のセレシオンが2着に、単勝オッズ2.8倍(1番人気)のキングズパレスが3着に食い込んだこともあって、3連単4万4690円とやや低めの配当で決着。ただ、どちらかと言えば波乱含みという印象のあるレースです。

伊吹 過去10年の新潟記念における3連単の配当を振り返ってみると、平均値は20万1203円、中央値は11万8870円。過半数の6回で3連単の配当が10万円を超えていましたし、荒れがちな重賞と言って良いでしょう。

M 過去10年の単勝人気順別成績を見ても、3着以内馬30頭のうち12頭を7番人気以下の馬が占めています。

伊吹 ちなみに、単勝14番人気以下の馬は2015年以降[0-0-0-34](3着内率0.0%)だったものの、単勝7番人気から単勝13番人気の馬は2015年以降[3-3-6-56](3着内率17.6%)、単勝6番人気の馬も2015年以降[2-2-0-6](3着内率40.0%)でした。もっとも、昨年までがハンデキャップ競走だったのに対し、今年は別定戦。今後は傾向が変わってくるかもしれません。

M そんな新潟記念でAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、シランケドです。

伊吹 今回はそれなりに支持が集まりそうな馬を挙げてきましたね。実績上位と言って良い存在ですし、中心視しようとしている方は多いはず。

M シランケドは5歳牝馬。2走前の中山牝馬Sで重賞初制覇を果たし、前走のヴィクトリアマイルでも勝ち馬とタイム差なしの3着に健闘しています。休養を挟みながら使われてきたこともあって、今回がまだ通算12戦目ですから、まだまだ伸びしろはありそう。あとは馬券圏外に敗れたのがデビュー戦(9着)だけである点も魅力のひとつと言えるでしょう。

伊吹 伏兵を狙ってくることも多いAiエスケープがこの馬を推奨してきたということは、堅めの決着となる可能性が高いと見ているのかもしれませんね。この見立てを踏まえつつ、私はレースの傾向からシランケドの信頼度を測っていきたいと思います。

M 真っ先に注目しておくべきポイントはどのあたりですか?

伊吹 まずは臨戦過程をチェックしておいた方が良さそう。2022年以降の3着以内馬9頭中7頭は、前走が今回と異なる距離のレースでした。

M これはちょっと意外な傾向。前走で2000mのレースを使っていた馬が思いのほか苦戦しています。

伊吹 なお、前走の距離が2000m、かつ“同年の、JRAの、2000m超のレース”において5着以内となった経験がない馬は2022年以降[0-0-0-13](3着内率0.0%)と3着以内なし。もう少し長めの距離もこなせるようなタイプでない限り、今回と同じ距離のレースをステップに臨む馬は疑ってかかるべきでしょう。

M シランケドの前走は東京芝1600mで施行されたヴィクトリアマイル。臨戦過程を不安視する必要はなさそうです。

伊吹 あとは血統や直近のパフォーマンスも重要なファクター。同じく2022年以降は、父か母の父にキングカメハメハ系種牡馬を持つ馬が優秀な成績を収めていました。

M なるほど。今年の該当馬からも目が離せませんね

伊吹 一方、父も母の父もキングカメハメハ系以外の種牡馬、かつ前走の着順が2着以下、かつ前走の1位入線馬とのタイム差が0.4秒以上だった馬は2022年以降[0-0-1-20](3着内率4.8%)。この条件に引っ掛かっている馬は、思い切って評価を下げるべきだと思います。

M シランケドは父がデクラレーションオブウォー、母の父がディープインパクトで、いずれもキングカメハメハ系に属していない種牡馬。ただし、先程も触れたように前走の1位入線馬とのタイム差は0.0秒でしたから、ある程度は高く評価して良いのではないでしょうか。

伊吹 さらに、同じく2022年以降の3着以内馬9頭中、前走が競走中止だった2024年1着のシンリョクカを除く8頭は、前走の4コーナー通過順が3番手から13番手でした。

M 極端な競馬をした直後の馬は過信禁物、と。

伊吹 おっしゃる通り。無難なポジションにつけられそうな馬を重視したいところです。

M シランケドは前走の4コーナー通過順が17番手。残念ながらこの傾向を見る限りでは強調できません。

伊吹 正直なところ、私は別の馬を連軸に据えるつもりでした。父や母の父にキングカメハメハ系種牡馬を持つ馬など、魅力的な存在が他に何頭かいますからね。ただ、能力の高さは証明済みですし、Aiエスケープが有力と見ているのであれば、無理に嫌う必要はないはず。実際のオッズも確認したうえで、じっくり買い方を検討しましょう。

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伊吹雅也

競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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