2025年09月01日(月) 18:00
【Pick Up】シランケド:1着
父デクラレーションオブウォーは、日本軽種馬協会静内種馬場に繋養されています。今年に入って重賞4勝目。シランケドが中山牝馬Sと新潟記念を、トップナイフが札幌記念を、セキトバイーストが府中牝馬Sを勝ちました。
2025年の種牡馬別JRA平地重賞勝利数は、1位ロードカナロア=9勝、2位キズナ=6勝、3位レイデオロとデクラレーションオブウォー=4勝、という順位。デクラレーションオブウォーはこれまで社台グループの繁殖牝馬とほとんど交配しておらず、とくにノーザンファーム生産馬はわずか1頭しかデビューしていません。それを考えればきわめて立派な数字であり、前述の重賞勝ち馬はすべて日高の生産馬です。
先々週、日高郡新ひだか町で開催されたサマーセールでは、ハクレイファーム生産のデクラレーションオブウォー産駒「マーレグリーンの2024」が5000万円(税抜)の最高価格で落札されました。ヨーロッパやオーストラリアでもビッグレースの勝ち馬を出してきた実力派種牡馬が、ようやく日本でも正当な評価を獲得しつつあるのは喜ばしいことです。
デクラレーションオブウォー産駒の成績は、芝50勝、ダート54勝とほぼ拮抗。芝・ダート兼用タイプといっていいでしょう。ただ、シランケドと同じく母の父にディープインパクトを持つ産駒は、芝14勝、ダート2勝と芝向きとなる傾向が見て取れます。この配合は芝2000mに限ると連対率40.0%(35戦14連対)と圧倒的。この先も芝2000m戦では目が離せません。
【Pick Up】キャンディード:1着
トーセンラー産駒の重賞勝ちは、ザダル(エプソムC、京都金杯)、ドロップオブライト(CBC賞)に次いで3頭目。同産駒の2歳戦連対率はわずか6.9%と、決して早くから活躍するタイプではなく、2歳戦だけで2勝を挙げた馬はこれまでいませんでした。
新馬-中京2歳Sを連勝したキャンディードは、母の父スパイツタウンの影響が強いと思われます。アメリカで供用された仕上がり早のスピード血統です。現役時代、BCスプリント(米G1・ダ6ハロン)など4つの重賞を制覇。引退後は種牡馬として大成功しました。日本ではモズスーパーフレア(高松宮記念)、リエノテソーロ(全日本2歳優駿)、マテラスカイ(プロキオンS、クラスターC)などの父として知られています。
本馬はマイル前後で本領を発揮するタイプで、朝日杯FS→NHKマイルCの路線がベストでしょう。
【クレヴァートリック(Clever Trick)】
アメリカで走り、短距離戦を中心に29戦18勝。ただし重賞は勝っておらず、G3で2着、G1で3着という成績があります。
父アイスカペイドは、大種牡馬ノーザンダンサーと同じく「ニアークティック×ネイティヴダンサー」という組み合わせで、悲劇の名牝ラフィアンの半兄にあたる良血。クレヴァートリックのほかにワイルドアゲインの分枝が発展しています。
母カンカキーミスは、「ベタービー×ジェダー×ワイズカウンセラー」という優れた非主流血統。これがクレヴァートリックの種牡馬能力のアクセントになったと思われます。一本調子ながら優れたスピードとタフさを伝えました。
通算成績10戦9勝で種牡馬としても成功したフォーントリック、本邦輸入種牡馬ビショップボブ、米重賞を4勝したトリッキークリーク、英G3を勝ったハーディフといった重賞勝ち馬を出しました。
現役種牡馬だった当時は、いかにもアメリカ血統らしいパワー型のスピード種牡馬、という印象しかなく、個人的に何か特別なものを秘めていると感じたことはありませんでしたが、時間が経ってみると血統全体に大きな影響を与えています。トリッキークリークがイントゥミスチーフ(北米で6年連続チャンピオンサイアー)の母の父となり、孫のローミンレイチェルは年度代表馬ゼンノロブロイ、ダート王フォーエバーヤング、米3歳牡馬チャンピオンのシエラレオーネの牝祖となっています。先週土曜日の名古屋城Sを楽勝したテーオーパスワード(ケンタッキーダービー5着)や、イエスイッツトゥルー、ルッキンアットラッキー、ケイムホームといった種牡馬にも含まれています。
「超大穴でケンタッキーダービーを勝ったリッチストライクのその後は?」
20頭立ての最低人気、そして大外20番枠という圧倒的な不利をはねのけ、2022年のケンタッキーダービーを制覇しました。その後は6戦して勝ち星はなく、3歳秋のルーカスクラシックS(G2)で2着となったのが最高着順です。
2025年に種牡馬入りを果たしました。繋養先は馬産の中心地から遠く離れたペンシルベニア州のマウンテンスプリングスファーム。種付け料はわずか6500ドル(日本円で100万円弱)。
自身はスマートストライク3×2という強度のインブリードに加え、ミスタープロスペクター=サーチフォーゴールド4×3・4という全兄弟クロスを持つので、血統的にはエッジがきいています。
低評価を覆し、自身と同じようなビッグレースの勝ち馬を出すことができればドラマです。期待して待ちたいと思います。
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栗山求
netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG
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