【無料・京成杯AH予想】「中山芝1600mの内枠有利」を解剖する

2025年09月06日(土) 12:00

こちらのコラムでは、レース質予想のパイオニア・立川優馬氏が著書である『「今週勝つ!」を叶える馬券カレンダー』を基に週末の展望を解説していくものとなります。

人気予想家の見解を、ぜひ予想の参考にお役立てください!

(取材・文・構成=編集下M)

当日の時計や傾向の見極めが重要

編集下M(以下、M) 今週からいよいよ秋競馬がスタート。しかもいきなり4重賞! …なのはいいのですが、京成杯AHが土曜開催というのは、何か調子が狂いますね。

立川(以下、立) 札幌との3場開催というのも不思議な感じですね。ただ、夏を挟んで4回中山開幕という日割は例年通りなので、レース質が大きく変わりはないでしょう。

M ということで『「今週勝つ!」を叶える馬券カレンダー』9月第1週のテーマは『中山芝1600mの内枠有利傾向の強さを判別する方法』。土曜メインの京成杯AH以外に、土日の第2Rに1600m戦が組まれていますね。

立川優馬

9月第1週の狙い方。『「今週勝つ!」を叶える馬券カレンダー』(画像は電子版)より

立 テーマは中山芝1600mですが、近年の傾向変化とそのメカニズムについて触れているため、馬券の地力を強化するのに適した内容だと思いますよ。

 中山芝1600mは、数年前は内枠有利傾向が非常に強かったのですが、近年は内外の有利不利の振れ幅は小さくなってきていました。そして、2024年の秋以降は再び内枠有利が強くなってきています。これはどういうことなのか?

M 内枠が有利なのは開幕週で馬場が良いこと、そして最初のコーナーまでの距離が短いからですよね?

立 ほぼ正解です。中山芝1600mは1コーナー横のポケットから発走して、外回り2コーナーまでの距離が約239m。ほぼ直角に2コーナーを曲がるため、外枠勢は位置取りを悪くしやすいことに加え、2コーナー頂上から下り続けるレイアウト上、中盤で緩むラップにもならないため、外からの押し上げが利きにくいのが特徴です。つまり、外枠先行馬はうまく先行できず、外枠差し馬は間に合う位置で直線を向けないので、結果的に内枠の馬が恵まれる。つまり、中山芝1600mの内枠有利は「外枠不利」を要因としているということです。

M これは単行本に掲載している立川式コース図をみたらわかりやすいですね。

立川優馬

中山芝1600mの立川式コース図。『「今週勝つ!」を叶える馬券カレンダー』(画像は電子版)より

立 ではなぜ、近年の中山芝1600mの内枠有利が薄れてきていたのか? それはこの「外枠不利」が薄れてきたためであり、その理由の一つとして外枠先行馬がテンに主張できるようになったことが挙げられます。外枠勢が出し切って内枠に被せてしまうことでペースアップを防ぎ、外枠先行馬でも末脚を残して直線を向けるケースが増えてきたのです。つまり、中山芝1600mの内枠有利の度合いは、直近の開催で外枠勢がどれだけ先行できていたかである程度測ることができるということです。

M しかし、2024年秋を契機に再び内枠有利に振れていると。

立 2024年の秋の中山開催以降は、急激に内枠有利傾向が強くなってきており、それに合わせて外枠から先行できるパターンが減ってきています。これは、2024年の秋開催以降、中山芝の時計が非常に速くなっているためです。例えば、2024年の紫苑Sは先行したクリスマスパレードが上がり3F33.9を使って1.56.6というレコードを記録しました。そのほかにも、初日の芝1200m2勝クラスで1.06.8、これはロードカナロアのレコードと0.1秒差でした。芝ダート問わず、高速馬場ほど内枠有利になりやすく、内枠が先行しやすくなるので、ここまでの超高速馬場になると必然的に外枠勢は不利。特に、元々が外枠不利のレイアウトである中山芝1600mではそれが顕著に出てしまっているのです。

M 土曜日はメインレースまでに芝のレースが5鞍あるので、ここで時計や傾向を見極めて、昨年同様に速い時計が出ていたら内枠重視で良さそうですね。

立 木金の雨予報がどの程度影響してくるか分かりませんが、高速馬場であればあるほど外枠不利による内枠有利が強く出るでしょう。2024年秋以降の中山開幕週の芝はことごとく上がりが出る超高速馬場だったので、今年もそうなる可能性が大きいと睨んでいます。そうであれば、先行馬のうち、外枠に入った馬は無条件で軽視してもよいでしょう。逆にねらいになるのは、高速上がり巧者の内枠差し馬。今年のメンバーなら、昨年の再現があり得るタイムトゥヘヴンや、前走中京記念で高速上がり馬場に対応しているジューンオレンジは面白そう。大穴なら末脚性能だけはトップクラスのホウオウラスカーズ。人気を背負いそうなエリカエクスプレス、シヴァース、コントラポスト、タガノエルピーダ辺りはある程度先行して立ち回りで勝負する馬なので外枠に入ったら軽視します。

M この延長で紫苑Sの注目馬も挙げていただけますか?

立 日曜の紫苑Sまでには確実に馬場が乾いているはずなので、近年の上がりが出る馬場造成であれば、先行有利になりやすい中山芝2000mであることは無視して、末脚性能が高い馬を軸にするのをオススメします。このメンバーなら、まずエストゥペンダの末脚性能が抜けているはず。折り合いに難がある馬なので、時計が速い競馬になるのは望むところでしょう。ジョスランは末脚性能が高く、位置を取る競馬もできるので枠を問わず評価できそう。

 世代限定戦かつトライアル戦の早仕掛けでタイトな競馬になるので、決着時計が速くなれば単純に内枠は有利。近走上がり上位を使っている内枠の馬をねらうだけでもだいぶ絞れるのではないでしょうか。

<枠順確定後の追記>
 京成杯AHは、枠順で結構明暗が分かれましたね。正直、雨の影響が結構強く残りそうなので、その辺りは未知数ですが、外枠先行馬が有利になることはないので6枠を引いたエリカエクスプレスや8枠を引いたタガノエルピーダは人気でも割り引きたいところ。

 雨で渋った高速馬場だと、上がりは出ないが時計は速いという馬場になりやすいので、中山芝1600mのコース形態を加味してもラチ沿いの立ち回り戦にはなるはず。普通であれば、前走前受けして今回短縮になるコントラポストが条件ベストではあるので、ここは評価せざるを得ないでしょう。また、位置が取れるシヴァースもこの枠なら。あとは上がりが出るレベルまで回復するなら4番枠のダイシンヤマト、1番枠のホウオウラスカーズをケアしておきたいですね。大穴であれば、実は近走不利ばかりの2番アスコルティアーモの短縮先行でしょう。

 紫苑Sは回避馬が何頭かいて、結局13頭立ては昨年と同様ですね。上がりが使える馬として注目馬に挙げた2頭が4枠に並んでくれて、その外枠に先行馬がずらりと並ぶ形になったので、控えても外に持ち出すこと自体は難しくないはず。どの程度縦長になるかですが、ロートホルンが飛ばすと離し逃げの番手グループが恵まれる可能性はなくはないというのが悩ましいところ。それでも上がりが出る馬場でさえあれば、差し馬の席は一つ空くと思うので、4枠2頭から内枠を拾うフォーカスは買っておきたいです。

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立川優馬

人気予想家の立川優馬氏が著者である『「今週勝つ!」を叶える馬券カレンダー』を実践していくものとなります。 その週の重賞で勝つために参考になる情報が満載となるコラムとなっておりますので、ぜひご覧ください!

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