ケリフレッドアスクが逃げ切り重賞初V ドゥラメンテのラストクロップ3頭目のJRA重賞勝ち馬誕生

2025年09月08日(月) 18:00

血統で振り返る紫苑S

【Pick Up】ケリフレッドアスク:1着

 母ディープインアスクは現役時代に未勝利でしたが、繁殖成績は素晴らしく、ファンタジスト(京王杯2歳S、小倉2歳S)、ボンボヤージ(北九州記念)、アスクワンタイム(小倉2歳S)、そしてケリフレッドアスク(紫苑S)と、計4頭の重賞勝ち馬の母となりました。これらの他にコロラトゥーレ(オープン)やアスクビギンアゲン(3勝クラス)も産んでいます。現代を代表する名繁殖牝馬の一頭といっていいでしょう。

 ディープインアスクの引退レースの馬体重は460kg。ディープインパクト産駒の牝馬の平均馬体重は442kgなので、平均よりも20kgほど馬体が大きく、ディープを父に持つ繁殖牝馬にありがちな“産駒のサイズが小さめ”という懸念が小さかったこともプラスに作用したと思われます。

 父ドゥラメンテは2023年の総合リーディングサイアー。すでにタイトルホルダー、リバティアイランド、スターズオンアース、ドゥレッツァ、ルガル、シャンパンカラー、ドゥラエレーデなど多くのGIホースを誕生させています。ケリフレッドアスクは「ドゥラメンテ×ディープインパクト」なのでマスカレードボール(共同通信杯、日本ダービー-2着、皐月賞-3着)と同じ組み合わせで、サンデーサイレンス3×3を抱えています。ドゥラメンテのラストクロップからマスカレードボール、エネルジコ、ケリフレッドアスクと3頭の重賞勝ち馬が誕生していますが、そのうち2頭が「ドゥラメンテ×ディープインパクト」の組み合わせです。ドゥラメンテがもっと長く生きていれば、この組み合わせの活躍馬が増えていたかもしれません。

血統で振り返る札幌2歳S

【Pick Up】ショウナンガルフ:1着

 ハービンジャー産駒の札幌2歳S制覇は2018年のニシノデイジー以来2頭目。ほかにプロフェット、アルマヴェローチェが2着となっているので、得意レースといっていいでしょう(連対率33.3%)。ハービンジャー自身はイギリスの12ハロン路線で活躍した馬だけに、少し時計のかかる洋芝は向いています。ショウナンガルフ自身、時計の掛かる馬場だった水曜日の本馬場調教で、古馬顔負けの好時計をマークしていました。

 2代母ミスエーニョはアメリカで走り、2歳の9月にデビュターントS(G1・オールウェザー7ハロン)を勝ちました。子孫はJRAで14頭デビューし、12頭が勝ち上がるというハイアベレージを記録しています。

 母ミカリーニョは芝1600mで2勝。その兄弟にミスエルテ(ファンタジーS)、ミアネーロ(フラワーC)、ショウナンザナドゥ(フィリーズレビュー)と、2〜3歳春の重賞勝ち馬が3頭います。早めに動けるスピード血統です。自身が「ハービンジャー×ハーツクライ」というスタミナと成長力に秀でた血を重ねているので、こうした血が入るのは効果的です。

 前出のニシノデイジーは札幌2歳Sを勝ったあと、東京スポーツ杯2歳Sも勝ちました。中央開催の高速馬場をこなすことができれば楽しみが広がります。

知っておきたい! 血統表でよく見る名馬

【ブレイヴェストローマン】

 アメリカでホープフルS(現G1)を勝ったプラウデストローマンの全弟。G1に出走歴はなかったものの、1975年のサラナクS(米G2・ダ8ハロン)でこの年の米3歳牡馬チャンピオンに選出されることになるワジマを破りました。

 アメリカで4年間供用されたあと輸入され、浦河地区を代表する名種牡馬としてマックスビューティ(桜花賞、オークス)、トウカイローマン(オークス)、オグリローマン(桜花賞)、ランドヒリュウ(高松宮杯、日経新春杯、京都4歳特別)など多くの活躍馬を出しました。これらはいずれも芝馬ですが、ダートの成績がきわめて優秀で、メイショウホムラ、ローマンプリンス、オサイチブレベスト、フジノマッケンオー、マルブツスピーリア、ソダカザン、カガヤキローマン、キャニオンロマン、グレートローマンといった優れたダートホースを送り出しました。スピードとパワーを兼備し、先に行って粘り強く、底力もありました。

 エスポワールシチー、マルシュロレーヌ、ナミュール、スリーロールスといったGI馬は母方にブレイヴェストローマンを抱えています。

血統に関する疑問にズバリ回答!

「凱旋門賞の単勝オッズは?」

 今年の凱旋門賞は10月5日(日)に行われます。残り1ヵ月を切りました。イギリスの「bet365」というブックメーカーが出している最新オッズは以下のとおり(9月8日付、上位のみ)。

ミニーホーク    5倍
アヴァンチュール  5.5倍
ビザンチンドリーム 13倍
クロワデュノール  13倍
ソジー       13倍
カルパナ      15倍
クアリフィカー   17倍
ゲゾラ       21倍
アロヒアリイ    21倍

 1番人気ミニーホーク(英オークス、愛オークス、ヨークシャーオークス)、2番人気アヴァンチュール(ヴェルメイユ賞、凱旋門賞-2着)はいずれも牝馬です。

 上位人気9頭までに日本馬が3頭入っているのは画期的で、フォワ賞を勝ったビザンチンドリームと日本ダービー馬クロワデュノールが13倍で並んでいます。ギヨームドルナノ賞を勝ったアロヒアリイはそれより下の21倍ですが、もちろん争覇圏内です。

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栗山求

netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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