【ローズS AI予想】枠順次第では面白い存在!? Aiがピックアップした穴馬の強調材料をチェック

2025年09月09日(火) 18:00

単勝オッズ24.9倍(7番人気)のケリフレッドアスクが優勝(撮影:下野雄規)

netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。

(文・構成=伊吹雅也)

超人気薄の伏兵が波乱を演出した年も多いレース

AIマスターM(以下、M) 先週は紫苑Sが行われ、単勝オッズ24.9倍(7番人気)のケリフレッドアスクが優勝を果たしました。

伊吹 陣営ならびに手綱を取った西塚洸二騎手はもちろん、この馬から馬券を買っていた方にとっても、大変気持ちの良い勝利だったのではないでしょうか。五分のスタートから押して先手を主張し、サヴォンリンナ(9着)とともに後続を引き離しつつ1コーナーから2コーナーを通過。向正面で単独先頭となり、3コーナーから4コーナーではダノンフェアレディ(3着)、サヴォンリンナ、テリオスララ(13着)がプレッシャーをかけてくるような形になったものの、リードを保ったままゴール前の直線に入っています。残り200m地点を過ぎると、先団のすぐ後ろを追走していたジョスラン(2着)が外から猛追し、最後は並んで入線。際どい争いとなりましたが、結局クビ差だけ先着を果たしました。能力の高さだけでなく、この馬にとって理想的な展開へと持ち込めた点も勝因のひとつと言えそう。本当にお見事です。

M ケリフレッドアスクは重賞初制覇。3歳以上1勝クラスの前走で4着に敗れていましたから、うっかり軽視してしまった方も多かったのではないでしょうか。

伊吹 もっとも、2走前のオークスは勝ったカムニャックと1.0秒差、人気の中心だったリンクスティップ(8着)と0.5秒差の8着。見方によっては実績上位と言える一頭だっただけに、大きく人気を落とした今回は絶好の狙い時だったのかもしれません。私自身はこの馬を買い目に入れていて、ある程度は期待していたのですが、ここまで綺麗に逃げ切るとは思っていなかったというのが正直なところ。展開の読みが甘かったと反省しています。

M トライアル競走を制したことで、ケリフレッドアスクは秋華賞への優先出走権を獲得。本番でも展開の鍵を握ることになりそうですね。

伊吹 積極策が合っているとはいえ、何が何でもハナを切らなければならないというタイプではありませんから、ライバルの出方を見つつ柔軟にポジションを調整してくるでしょう。母のディープインアスクは産駒の大半が勝ち上がりを果たしているうえ、ファンタジスト・ボンボヤージ・アスクワンタイムと重賞ウイナーを立て続けに送り出している名繁殖牝馬。血統的なポテンシャルは非常に高い馬ですし、今後も目が離せません。

M 今週の日曜中山メインレースは、紫苑Sと同じく秋華賞トライアルに指定されている注目の一戦、ローズS。昨年は単勝オッズ4.9倍(2番人気)のクイーンズウォークが優勝を果たしました。なお、その2024年は単勝オッズ26.8倍(7番人気)のチェレスタが2着に、単勝オッズ51.6倍(11番人気)のセキトバイーストが3着に食い込み、3連単19万6350円とやや高めの配当で決着しています。

伊吹 過去10年のローズSにおける3連単の配当を振り返ってみると、平均値は22万3318円、中央値は11万1520円。2020年に3連単113万9000円の高額配当が飛び出すなど、たびたび波乱が起きている印象です。

M 過去10年の単勝人気順別成績を見ると、3着以内馬30頭のうち11頭が7番人気以下。伏兵の一発を警戒しておくべきレースと言えるのではないでしょうか。

伊吹 より実態に即した区切り方をすると、単勝2番人気以内の馬は2015年以降[4-4-3-9](3着内率55.0%)、単勝3番人気から単勝7番人気の馬は2015年以降[5-3-4-38](3着内率24.0%)、単勝8番人気から単勝14番人気の馬は2015年以降[1-3-3-61](3着内率10.3%)、単勝15番人気以下の馬は2015年以降[0-0-0-21](3着内率0.0%)となっていました。上位人気馬を無理に嫌う必要はないと思いますが、買い目を作る際はある程度手広く構えた方が良いかもしれません。

M そんなローズSでAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、アイサンサンです。

伊吹 話の流れ的にもちょうど良いところを挙げてきましたね。人気の中心ということはまずないでしょうし、単勝二桁人気の可能性すらありそう。

M アイサンサンはオークス(12着)以来の実戦となった前走で2勝目をマーク。今回は2度目の重賞挑戦となります。実績上位とは言いづらいうえ、前走は減量ジョッキーを起用しての勝利。積極的に狙おうと考えている方はそれほど多くないでしょう。

伊吹 とはいえ、勢いに乗っている点はある程度高く評価したいところですね。Aiエスケープが狙い目と見ていることを踏まえたうえで、私はレースの傾向からこの馬の好走確率を見積もっていきたいと思います。

M 真っ先に注目しておくべきポイントはどのあたりでしょうか?

伊吹 まずは直近のパフォーマンスを素直に評価したいところ。2021年以降の3着以内馬12頭は、いずれも前走の着順が7着以内でした。

M なるほど。大敗直後の馬は強調できませんね。

伊吹 たとえ格の高いレースから直行してきた馬であっても、前走で大きく崩れてしまった馬は評価を下げるべきだと思います。

M 先程も触れた通り、アイサンサンは前走で2勝目をマークしたばかり。この点は強調材料のひとつと言えそうです。

伊吹 あとは臨戦過程にも注意しておいた方が良さそう。同じく2021年以降の3着以内馬12頭中11頭は、前走の条件がGI、もしくは前走の距離が今回と同じ距離でした。

M 逆に言うと、前走の条件がGI以外、かつ前走の距離が今回と異なる距離だった馬は、ほとんど上位に食い込めていません。

伊吹 今年は阪神芝1800m外が舞台なので、ビッグレースからの直行組と、1800mのレースをステップに臨む馬を重視するべきでしょう。

M アイサンサンの前走は3歳以上1勝クラスのレースで、コースは中京芝1600m。残念ながら、この傾向からは強調しづらい一頭ということになります。

伊吹 さらに、同じく2021年以降の3着以内馬12頭中10頭は、3枠から6枠の馬です。

M 内外極端な枠に入った馬は過信禁物、と。

伊吹 ちなみに、阪神芝1800mで施行された2023年は、3枠から6枠を引いた8頭のうち5頭が1着から5着を占めました。なお、枠番が1枠から2枠ならびに7枠から8枠だった馬のうち、“同年の、JRAの、GIのレース”において7着以内となった経験がなかった馬は、2021年以降[0-0-0-29](3着内率0.0%)と好走例がありません。

M アイサンサンはGI初挑戦だった2走前のオークスが12着どまり。好枠を引けなかった場合は、不安要素がひとつ増えることになりますね。

伊吹 正直なところ、私は他の馬を中心とした馬券で勝負するつもりでした。内外極端な枠に入ってしまったら、おそらくこの馬にはシルシが回らないでしょう。もっとも、好枠を引き当てることができれば話は別。他ならぬAiエスケープが有力と見ているわけですし、オッズも加味したうえで扱いを再考するつもりです。

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伊吹雅也

競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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