来年の英G1戦線の前売りオッズに変化 アイルランドでニューヒロインが台頭

2025年09月17日(水) 12:00

英1000ギニーと英オークスの前売り1番人気が入れ替わり

 9月2番目の週末にアイルランドで行われた競馬を経て、来年の英1000ギニー(芝8F)とG1英オークス(芝12F6y)に向けた、前売りの1番人気が入れ替わった。新たな牝馬のヒロインが2頭、立て続けに誕生したのである。

 まずは、アイリッシュ・チャンピオン・フェスティバル初日の舞台となったレパーズタウン競馬場の、第一競走に組まれていたのが、2歳牝馬によるLRインガベルS(芝7F)だ。

 10頭立てとなった中、オッズ1.5倍の圧倒的1番人気に推されたのが、エイダン・オブライエン厩舎のダイヤモンドネックレス(牝3)だった。

 父は、同じくエイダン・オブライエンが管理した22年の欧州年度代表馬で、今年の2歳が初仔となる新種牡馬セントマークスバシリカだ。13歳年上の半姉にG1愛オークス(芝12F)勝ち馬チキータ、8歳年上の半姉にG1マッキノンS(芝2000m)を制したマジックワンドがいるという超良血馬で、昨年8月にドーヴィル競馬場で行われたアルカナ8月1歳市場にて170万ユーロ(当時のレートで約2億7991万円)でクールモアに購買されていた。

 今年8月にカラ競馬場の一般戦(7F)でデビュー。10頭立てとなった中、オッズ10倍の5番人気だったダイヤモンドネックレスは、道中中団のラチ沿いを追走。残り400m付近から進路を捜して徐々に馬群真ん中に移動したダイヤモンドネックレスは、進路が開いた残り300mから一気に脚を伸ばし、残り170mで先頭に立つと、そこから1.1/2馬身抜け出して快勝。デビュー勝ちを果たしていた。

 同馬の2戦目になったのが13日のインガベルSで、ここでのダイヤモンドネックレスはオッズ1.5倍の1番人気に推された。ここでは8頭立ての6番手に控えたダイヤモンドネックレスは、直線に向くと馬群外を通って脚を伸ばし、残り100mで先頭に立つと、そこから2.1/4馬身抜けだす完勝となった。

 この結果を受けブッグメーカー各社はダイヤモンドネックレスを、26年6月6日にエプソム競馬場で行われるG1英オークスへ向けた前売りで、13倍前後のオッズを提示し1番人気に浮上させている。

 続いて、翌14日にカラ競馬場の第3競走に組まれていたのが、2歳牝馬によるG1モイグレアスタッドS(芝7F)だった。過去3年の勝ち馬を並べても、タヒーラ、レイクヴィクトリア、フォールンエンジェルと、その後も複数のG1制覇を重ねた名牝ばかりが並ぶ、出世レースである。

 7頭立てとなった中、このうち3頭はエイダン・オブライエンの管理馬で、実際の結果も、オブライエン厩舎の1・2フィニッシュとなった。

 勝ったのは、オッズ6.5倍の3番人気だったプリサイス(牝2、父スタースパングルドバナー)だ。管理調教師のファミリーが運営するウイスパーヴュー・トレーディング社の生産馬で、G1愛ダービー(芝12F)2着、G1ゴールドC(芝10F200y)2着などの成績を残したキングフィッシャーの姪にあたる。

 今年6月にデビューしたプリサイスは、8月にデビュー2戦目となったカラ競馬場の未勝利(芝7F)を制し初勝利。続いて出走した8月24日にグッドウッド競馬場で行われたG3プレステージS(芝7F)を制し、重賞初制覇を果たしていた。

 モイグレアスタッドSでのプリサイスは、7頭立ての大外枠から出て、そのまま馬群外側後方を追走。中間点辺りから徐々に番手を上げていった同馬は、残り2Fで鞍上のゴーサインが出ると弾け、先行馬を3/4馬身交わして優勝。前走に続く重賞連勝を果たすとともに、G1初制覇を果たした。

 これを受け、ブッグメーカー各社は26年5月3日にニューマーケット競馬場で行われるG1英1000ギニー(芝8F)へ向けた前売りでプリサイスを、オッズ9.0〜11倍の1番人気に浮上させている。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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