2025年09月22日(月) 18:00
単勝オッズ3.3倍(1番人気)のレガレイラが優勝(撮影:下野雄規)
netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)
AIマスターM(以下、M) 先週はオールカマーが行われ、単勝オッズ3.3倍(1番人気)のレガレイラが優勝を果たしました。
伊吹 オッズを見る限りでは混戦模様でしたが、順当な結果だったと言って良さそうですね。スタートこそあまり良くなかったものの、中団の各馬に離されないくらいのポジションをキープし、単独8番手で2コーナーを通過。すぐ後ろにいたドゥラドーレス(2着)が向正面で先に仕掛け、一気に先団の各馬を捕らえにかかりましたが、レガレイラも遅れてこれに付いて行き、4コーナーで先行勢を射程圏内に捉えています。そのまま残り200m地点を過ぎたところでドゥラドーレスをかわし去り、先に抜け出していたフェアエールング(4着)を急追。こちらも決勝線のかなり手前で捕らえ、レガレイラにかわされた後もしぶとく伸びていたドゥラドーレスに対して1馬身1/4のリードを保ったまま入線しました。出入りの激しい展開となった分、レガレイラの横綱相撲ぶりがより際立った印象。「単純に競走能力が頭ひとつふたつ抜けていた」と評価せざるを得ません。
M レガレイラにとっては昨年末の有馬記念以来となる勝利。中山のレースに限ればこれまでのところ4戦3勝です。
伊吹 内回りコースのホープフルS・有馬記念を快勝しているうえ、外回りコースのここでも素晴らしいパフォーマンスを披露。単純に、中山芝のコース形態が合っているのだと思います。前走の宝塚記念は11着どまりだったものの、先行したベラジオオペラ・メイショウタバルが後続を完璧に封じ切る苦しい展開でしたし、この馬自身は勝負どころで果敢に仕掛けていましたから、着順以上に高く評価するべき内容だったと言えるでしょう。状態面などを不安視している方も少なくなかった今回は、絶好の狙い目でしたね。
M 陣営のコメントによれば、次走は天皇賞(秋)・エリザベス女王杯・ジャパンCあたりが選択肢となっているようで、その後にまた有馬記念を使う見込みだそうです。
伊吹 これだけ能力の高い馬ですし、中山でしか持ち味を生かせないということはないはず。次走がどこであれ、引き続き相応に高く評価するべきだと思います。また、ディフェンディングチャンピオンとして臨む有馬記念でもそれなりの注目を集めそうですが、その度合いは次走の内容次第。場合によっては妙味あるオッズがつくかもしれません。それぞれのレースで的確な評価を下すべく、今のうちにこれまでの走りを復習しておきましょう。
M 今週の日曜中山メインレースは、下半期のスプリント王決定戦と位置付けられている大一番、スプリンターズS。昨年は単勝オッズ28.5倍(9番人気)のルガルが優勝を果たしました。なお、その2024年は単勝オッズ9.6倍(5番人気)のトウシンマカオが2着、単勝オッズ8.2倍(4番人気)のナムラクレアが3着という結果で、3連単29万9070円の好配当決着となっています。
伊吹 過去10年のスプリンターズSにおける3連単の配当を振り返ってみると、平均値は13万8009円、中央値は7万2390円。半数の5回が4万円未満だった一方で、残る5回はいずれも10万円超でしたから、波乱度の見極めがひとつのポイントと言えそうです。
M 過去10年の単勝人気順別成績を見ると、3着以内馬30頭中11頭が7番人気以下。伏兵の台頭が目立つレースと言って良いのではないでしょうか。
伊吹 ちなみに、単勝7番人気から11番人気の馬は2015年以降[2-3-5-40](3着内率20.0%)で、単勝4番人気から単勝6番人気の馬よりも堅実。一方、単勝12番人気以下の馬は2015年以降[0-0-1-48](3着内率2.0%)でした。買い目を手頃な点数に抑えるならば、中位人気の取捨も重要になってくると思います。
M そんなスプリンターズSでAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、カピリナです。
伊吹 なかなか興味深いところを挙げてきましたね。人気の中心ということはまずないはずで、単勝4番人気から単勝6番人気、もしくは単勝7番人気から11番人気のカテゴリに入ってきそう。
M カピリナは4歳牝馬。自身3度目の重賞挑戦となった前走の函館スプリントSでレコード勝ちを果たしています。もっとも、GIやGIIに出走した経験はまだなく、現役トップレベルのスプリンターを相手にどこまでやれるかは未知数。取捨に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
伊吹 ただ、4走前の南総Sを快勝しているように、コース替わり自体は問題なさそう。もともとダートを主戦場としていたこともあり、芝のレースを使うのは今回がまだ8回目ですから、伸びしろがありそうな点も考慮しなければなりません。こうした背景や、Aiエスケープが有力視しているという事実を踏まえたうえで、私はレースの傾向からこの馬の好走確率を見積もっていきたいと思います。
M 真っ先に注目しておくべきポイントはどのあたりですか?
伊吹 近年のスプリンターズSは、約半年前の高松宮記念に出走していた馬が優勢。2020年以降の3着以内馬15頭中10頭は、同年の高松宮記念において11着以内となった経験がある馬でした。
M この経験がない馬はあまり強調できませんね。
伊吹 ただし、同年の高松宮記念において11着以内となった経験がない、かつ馬齢が4歳以下、かつ父にサンデーサイレンス系以外の種牡馬を持つ馬は2020年以降[2-2-0-10](3着内率28.6%)。こちらの条件をクリアしている馬であれば、大きく評価を下げる必要はないでしょう。
M カピリナは今年の高松宮記念に出走していないものの、馬齢が4歳で、父がサンデーサイレンス系に属していないダンカーク。新興勢力の中では魅力的な一頭と言えます。
伊吹 あとは脚質もひと通りチェックしておきたいところ。同じく2020年以降の3着以内馬15頭中13頭は、前走のコースが“国内、かつ新潟芝1000m直以外”で、なおかつ前走の4コーナー通過順が2番手から10番手でした。
M 逃げ馬や追い込み馬は、扱いに注意した方が良さそうですね。
伊吹 おっしゃる通り。極端な競馬をした直後の馬を信頼し過ぎてしまわないよう心掛けましょう。
M カピリナは前走の4コーナー通過順が6番手。脚質に不安はありません。
伊吹 さらに、同じく2020年以降の3着以内馬15頭は、“同年の、中央場所ならびに中京のレース”において“入線順位が1位、もしくは1位入線馬とのタイム差が0.0秒”となった経験のある馬でした。
M はっきりと明暗が分かれていますね。
伊吹 年明け以降にローカルのレースでしか勝ち負けできていない馬は過信禁物。例外視して良いのは高松宮記念が施行される中京だけです。この条件に引っ掛かっている馬は、思い切って評価を下げるべきでしょう。
M カピリナは今年に入ってから中央場所ならびに中京のレースを2戦していますが、3走前のシルクロードSは勝ち馬と0.4秒差の4着、2走前の愛知杯は勝ち馬と0.2秒差の3着。この傾向を見る限りだと、疑ってかかるべきなのかもしれません。
伊吹 正直なところ、私は他の馬に重いシルシを打つつもりでした。想定以上に支持が集まってしまった場合は無印にする可能性もあります。もっとも、他ならぬAiエスケープが狙い目と見ているわけですし、現在の雰囲気なら無理に嫌う必要はなさそう。実際のオッズを確認したうえで、慎重に最終的な判断を下すつもりです。
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伊吹雅也
競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。
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