世代限定の芝中距離重賞の決着パターンを見ろ

編集下M(以下、M)　今週から秋の東京・京都開催がスタート。先週のスプリンターズSでGIこそ開幕していますが、やはりこの開催が始まると秋到来という感じがします。

立川(以下、立)　わかります。加えて、私が競馬にハマったきっかけが1999年の毎日王冠だったので、そういう意味でも原点回帰みたいな気持ちになりますね。

M　1999年の毎日王冠といえばグラスワンダーが勝ったレースですね。私が最も好きな競走馬はグラスワンダーなのでよく覚えています。1.2倍の断然の支持に応えて、メイショウオウドウの追撃を振り切りました。

立　その日、初めて競馬場に行ったのですが、その時に誘ってきた友人が「グラスワンダーは強い！」「グラスワンダーで鉄板だ！」と連呼していたんです。そうしたら、ハナ差の辛勝じゃないですか。「競馬に詳しい人間があれだけ強いと確信を持っていた馬でも僅差の勝負になるのだから、競馬は穴を狙った方がいいんだな」と。それ以来、穴党になったんですよ。

M　意外な『穴馬トッピング』のルーツですね。そんな縁のある(？)毎日王冠を当てて、波に乗っていきましょう。ということで、『「今週勝つ！」を叶える馬券カレンダー』10月第1週のテーマは『牡馬のクラシック路線の世代レベルは2歳冬〜3歳春の決まり手を見ると判別できる』。サトノシャイニングの取捨を考えるのに絶好なテーマですね。

10月第1週の狙い方。『「今週勝つ！」を叶える馬券カレンダー』(画像は電子版)より

立　古馬混合重賞を考える上で、3歳馬の世代レベルというテーマは避けて通れませんよね。そこで書籍では、世代レベルを大まかに測る視点について解説しています。もちろん、世代レベルは相対比較なので、例えば現役世代が弱くても、その前の世代がもっと弱ければ通用しますし、逆に世代レベルが高くても古馬の壁が高すぎて通用しない場合もあるので、ここでは、3歳世代単体の評価を中心に考えていきます。

M　今の3歳世代のレベルを把握できれば、この秋のGI戦線でも大いに役立ちますよね。

立　結論から言うと、世代の評価は2歳後半〜3歳前半の中距離戦において、“どれだけ差し馬が台頭したか”である程度測ることができます。日本の馬産は大局的に見ればクラシックディスタンス、さらに限定すると日本ダービーに勝てる馬をつくることを目的としています。要するに、日本の上がりの出る馬場で、中長距離の末脚比べに強い馬を生産・育成することを目指しているということですね。したがって、本来スローから末脚勝負になりやすい世代限定中距離戦では、世代をけん引するような差し馬の台頭が見られることが多くなります。当然、そうした馬が多い世代はレベルとして高くなりますし、中距離路線が先行決着ばかりだった世代は、あまり粒がそろわない世代であると考えられます。

M　現3歳牡馬世代の主なレースの決着パターンをまとめてみました。

3歳世代の中距離重賞における上位馬の脚質

立　微妙にハイペース差し決着がノイズではありますが、全体的には上がりを生かす馬が好走しており、能力の高さを証明してきていると言えます。したがって、今年の3歳牡馬世代はレベルが高いと判断してよいでしょう。

M　ちなみに現4歳の世代レベルについてはどうお考えですか？

立　書籍のほうでは2024年の牡馬世代について分析していますが、実は世代限定中距離路線で先行決着が多く、レベルは決して高くないという評価でした。したがって、この秋の古馬混合重賞の3歳馬は高く評価してよいと考えています。

M　ということは、毎日王冠のサトノシャイニングはかなり有力ですね。

立　この馬自体が先行馬なのは微妙ですが、能力的には通用するはず。できればポケット発走のコース形態に沿った内枠に入ってほしいですね。

＜枠順確定後の追記＞
　毎日王冠のサトノシャイニングは残念ながら8枠。開幕週の東京芝1800mでコース形態としてはよくはありませんが、7枠からホウオウビスケッツが、大外枠からシリウスコルトが出していく外枠主導の隊列になるなら、むしろ恵まれる可能性はあり。4歳世代はそれほどレベルが高くなく、5歳世代は世代上位がリタイアしているので、現3歳馬は中距離路線で通用するはず。枠不利を承知でも単勝は押さえておきたいですね。