ブリティッシュ・チャンピオンズ・デーの開催迫る ヨーロッパ芝平地シーズンのフィナーレを飾る5つのG1競走

2025年10月08日(水) 12:00

メイン競走の英チャンピオンSで注目の2頭をご紹介

 凱旋門賞ウィークエンドが終わると、ヨーロッパの競馬ファンの目は、10月18日にアスコット競馬場で行われるブリティッシュ・チャンピオンズ・デーに向く。

 今年から、距離15F209y(=約3209m)のロングディスタンスCがG1に昇格。カードには5つのG1が並び、ヨーロッパ芝平地シーズンの実質的なフィナーレに相応しい、超豪華な開催となっている。

 メイン競走のG1英チャンピオンS(9F212y=約2004m)で実現しそうなのが、カランダガンとオンブズマンによる、初の直接対決だ。

 フランスのF・H.グラファール調教師が送り込むカランダガン(セ4、父グレンイーグルス)は、昨年のこのレースの2着馬だ。4歳となった今季は前走まで、12F路線に専念。G1ドバイシーマクラシック(芝2410m)がダノンデサイル(牡4、父エピファネイア)の2着、G1コロネーションC(芝12F6y)がヤンブリューゲル(牡4、父ガリレオ)の2着と惜敗が続いた後、G1サンクルー大賞(芝2400m)を3.1/2馬身差で快勝し、待望のG1初制覇。さらに12F路線におけるシーズン前半の総決算となるG1キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(芝11F211y)も制し、この路線の頂点に立った。

 距離区分で言えば、シーズン後半の目標はG1凱旋門賞(芝2400m)となるところだが、ご存知のように同競走はセン馬を締め出しており、陣営は昨年に続き今年も、ここに照準を絞ってきた。この後、GIジャパンC(芝2400m)参戦も視野に入っているだけに、同馬がどのようなパフォーマンスを見せるか、日本の競馬ファンもしっかり見ておく必要がありそうだ。

 一方、ニューマーケット競馬場に拠点を置くジョン&セイディ・ゴスデン厩舎が送り込むのが、ゴドルフィンのオンブズマン(牡4、ナイトオブサンダー)だ。3歳6月という遅いデビューから、無敗の4連勝でG3プランスドランジュ賞(芝2000m)を制し、3歳シーズンを終えた同馬。今季初戦となったG3ブリガディアジェラードS(芝9F209y)で2着に敗れ、連勝は止まったものの、続くロイヤルアスコット競馬場のG1プリンスオブウェールズS(芝9F212y)では、直線で何度も進路がなくなる不利を克服して2馬身差の快勝。G1初制覇を果たすともに、10F路線の最前線に躍り出た。

 続くG1エクリプスS(芝9F209y)では、ドラクロワ(牡4、父ドバウィ)の鬼脚に屈し2着に終わったが、前走G1英インターナショナルS(芝10F56y)は、そのドラクロワに3.1/2馬身差をつける快勝。2度目のG1制覇を果たすとともに、このパフォーマンスでレーティング128を獲得し、世界ランキングの単独首位に躍り出た。

 この2頭に次ぐ存在と見られているのが、昨年に続くこのレース連覇を狙うアンマート(セ7、父オウタード)だ。今季はここまで3戦し、G1タタソールズGC(芝10F110y)がロスアンゼルス(牡4、父キャメロット)の2着、G1プリンスオブウェールズSがオンブズマンの2着、前走G1愛チャンピオンS(芝10F)がドラクロワの2着と、勝ち切れないながらも、安定した実力を発揮している。

 ブリティッシュ・チャンピオンズ・デーの準メイン競走となるのが、マイル路線の総決算となるG1クイーンエリザベス2世S(芝8F)だ。話題の中心にいるのが、オンブズマンと同じジョン&セイディ・ゴスデンが管理するフィールドオブゴールド(牡3、父キングマン)である。2歳6月にデビューし、2歳時は4戦。G3ソラリオS(芝7F)を含む2勝をあげたが、G1ジャンリュックラガルデール賞(芝1400m)では4着に敗退。世代の最前線に立つ馬とは見られていなかった。だが、ひと冬越して大きな進境を見せ、今季初戦となったG3クレイヴンS(芝8F)を3.1/2馬身差で快勝。1番人気に推されたG1英2000ギニー(芝8F)では、明らかに鞍上の仕掛けが遅れて2着に惜敗したが、続いて出走したG1愛2000ギニー(芝8F)は3.3/4馬身差で快勝。ロイヤルアスコット競馬場のG1セントジェームスパレスS(芝7F213y)も3.1/2馬身差で制し、3歳世代のマイラーとしては傑出した存在となった。

 ところが、古馬との初対決となったG1サセックスS(芝8F)では、全く見せ場のない競馬で4着に敗退。レース後に左後肢のハ行が見られ、戦線を離脱することになった。幸いにして回復は順調で、9月に入ると陣営は、G1クイーンエリザベス2世Sでの戦線復帰を目指すことを表明。管理するのはニューマーケットきっての腕利きだけに、3か月近い休み明けでもきっちりと力を出せる仕上がりで臨んでくるはずだ。

 ブリティッシュ・チャンピオンズ・デーの模様は、グリーンチャンネルで中継されるので、ぜひご覧いただきたい。

バックナンバーを見る

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

関連情報

新着コラム

コラムを探す