新設アイルランドTはラヴァンダが制覇 「母の父ベーカバド」の活躍に期待

2025年10月14日(火) 18:00

血統で振り返るスワンS

【Pick Up】オフトレイル:1着

 イギリス生まれの外国産馬。レモンポップと同じくゴドルフィンが所有する外国産馬です。

 父ファーは、ピヴォタル→ポーラーファルコン→ヌレイエフとさかのぼる父系に属しています。現役時代に英チャンピオンS(G1・芝10ハロン)とロッキンジS(英G1・芝8ハロン)を勝ちました。2代父ピヴォタルは、仏リーディングサイアー2回のシユーニの父であり、英愛ブルードメアサイアーランキングで3回首位に立ったこともある名血です。

 母ローズトレイルは不出走馬ですが、その兄弟にベニシオ(豪G1ヴィクトリアダービー)をはじめ3頭の重賞勝ち馬がいる良血です。

 ピヴォタルの父系で、デインヒルを抱え、ヌレイエフのクロスを持っているという配合構成は、ヨーロッパでG1を4連勝したパディントンとよく似ています。

 スワンSはダンジグと相性が良く、スタンド改修後に京都競馬場で行われた3年間で、連対した6頭がすべてダンジグを持っています。そのうち4頭はダンジグの息子デインヒルを持っています。スピードの持続力を強化する働きがあるので、それが1400mのスワンSと合うのでしょう。

血統で振り返るアイルランドT

【Pick Up】ラヴァンダ:1着

 父シルバーステートは、今年はすでにランスオブカオスがチャーチルダウンズCを、セイウンハーデスがエプソムCを勝っており、これが3頭目の重賞勝ち馬となります。通算6頭目。これらはすべて種付け料が安かった時代(80〜150万円)の仔なので価値があります。現2歳は600万円の世代。種付け料とともに繁殖牝馬のレベルも上昇しているので、いずれ多くの活躍馬が出てくるはずです。

 2代母ゴッドインチーフは阪神3歳牝馬S(現阪神JF)の3着馬。牝系をさかのぼるとファーガーズプロスペクトに達しますが、このファミリーは他にオークス馬ヌーヴォレコルト、JBCクラシックを勝ったミューチャリーなどを出しています。

 母方に含まれるダンジグとロベルトは父と相性良好。母の父ベーカバドは種牡馬としてはもうひとつでしたが、ブルードメアサイアーとしてはJRAで出走したわずか22頭から、ラヴァンダ、ジュンウィンダム、シュラザックなどの活躍馬が出ています。「母の父ベーカバド」はこれからも活躍馬が出てくるはずなので注目です。

知っておきたい! 血統表でよく見る名馬

【ヒズマジェスティ】

 同じく種牡馬として成功したグロースタークの全弟。北米で22戦5勝という成績は、現代最高クラスの名馬との評価もあった兄に比べると物足りませんが、フロリダのハイアリアパーク競馬場でダート9ハロンのトラックレコード(1分46秒2/5)を樹立しており、平凡な競走馬ではありませんでした。

 種牡馬としては米二冠馬プレザントコロニーをはじめ、タイトスポット、マジェスティーズプリンス、メーメット、セテワヨ、コーモラントなどの活躍馬を出し、1982年に北米リーディングサイアーとなりました。スピードもスタミナもあり、リボーの息子だけあって芝適性や底力も十分でした。

 デインヒル、ダイナフォーマー、リズンスターの母の父。グラスワンダー、ロードカナロア、キンシャサノキセキ、ナカヤマフェスタなどにも含まれています。

血統に関する疑問にズバリ回答!

「ロードカナロアは今年リーディングサイアーになれますか?」

 その可能性は残されています。ただ、ここ数年、春シーズンが好調で秋シーズンがイマイチ、という流れになっており、トップの座を狙うには秋のGIで賞金を積み重ねる必要があります。

 総合種牡馬ランキングは直近の土日月の3日間で1億2000万円以上を上積みしたキズナが40億円を突破。ロードカナロアは37億円でこれを追っています。JRA種牡馬ランキングは春シーズンからずっとトップを守ってきたのですが、この3日間でキズナに逆転を許しました。

 大阪杯を制し、宝塚記念でも2着と頑張ったベラジオオペラが、暮れの香港Cを次走目標に置いているので、国内賞金を獲得できない可能性が出てきました。ロードデルレイ(次走天皇賞(秋))、コスタノヴァ(次走武蔵野S)、カナテープ(次走未定)あたりに期待です。

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栗山求

netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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