エンブロイダリーが秋華賞制覇 相性良好な「アドマイヤマーズ×クロフネ」の配合

2025年10月20日(月) 18:00

血統で振り返る秋華賞

【Pick Up】エンブロイダリー:1着

 3代母ビワハイジは、マンハッタンカフェのいとこにあたり、ドイツ血統にルーツを持つ名血です。現役時代にエアグルーヴを破って阪神3歳牝馬S(現在の阪神JF)を制覇しました。繁殖牝馬としても素晴らしく、年度代表馬ブエナビスタ、阪神JFの勝ち馬ジョワドヴィーヴル、重賞3勝馬アドマイヤオーラなど6頭の重賞勝ち馬を産んでいます。

 2014年4月にサングレアルがフローラSを勝ってから、この牝系の重賞勝ちは10年以上途絶えていましたが、今年に入ってサングレアルの息子メルキオルが船橋のブルーバードC(JpnIII・ダ1800m)を、そしてエンブロイダリーが桜花賞、秋華賞、クイーンCを制覇しました。

 父アドマイヤマーズはダイワメジャーの息子で、現役時代に香港マイル、NHKマイルC、朝日杯FSを勝った名マイラー。初年度産駒からエンブロイダリー、テレサ(ローズS2着)、ナムラクララ(キーンランドC4着)、ルージュラナキラ(現OP)を、2年目の産駒からアルバンヌ(サフラン賞)を出しており成功しています。

 エンブロイダリーと同じ「アドマイヤマーズ×クロフネ」の組み合わせは、出走7頭中4頭が勝ち上がっています。アドマイヤマーズはクロフネの父フレンチデピュティと相性良好です。

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【Pick Up】ガイアフォース:1着

 キタサンブラック産駒はJRA全10場の芝コースのなかで東京コースの連対率が最も優れており、1400mから2500mまでまんべんなく好成績を挙げています。東京芝1600mの重賞勝ちはラヴェルのアルテミスS以来2勝目。

 ガイアフォースは2歳9月の小倉新馬戦(芝1800m)でドウデュース(日本ダービー)の2着となり、3歳7月の国東特別(1勝クラス)では小倉芝2000mで1分56秒8というコースレコードを樹立しました。スピード能力が高い一方、あまり小細工はきかないタイプで、スピードの持続力に秀でています。それゆえにワンターンのマイル戦が合っており、春の安田記念ではジャンタルマンタルの2着と健闘しています。このとき同斤量だったジャンタルマンタルに対し、今回は2kg軽い斤量で出ることができたので、この斤量差が明暗を分けた形です。

 母の父がクロフネで、自身はサンデーサイレンス3×4、という配合構成は、秋華賞を勝ったエンブロイダリーと同じです。

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【ジャイアンツコーズウェイ】

 現役時代はアイルランドのエイダン・オブライエン厩舎に所属し、わずか2ヵ月半の間にG1を5連勝(セントジェームズパレスS→エクリプスS→サセックスS→英インターナショナルS→愛チャンピオンS)。“鉄の馬(アイアン・ホース)”の異名を取りました。

 父ストームキャット、母マライアズストーム(米重賞6勝)という良血で、種牡馬としても成功。2009、10、12年に北米リーディングサイアーとなりました。シャマーダル、ブリックスアンドモルタル、フットステップインザサンド、ガナーティなど、ヨーロッパと北米の双方でトップクラスの産駒を送り出し、日本ではエイシンアポロン(マイルCS)、スズカコーズウェイ(京王杯SC)、エーシンジーライン(小倉大賞典)などが活躍しました。基本的には洋芝向きのマイラー血統で、スピードの持続力が持ち味。配合次第でパワー型に出たり、2000m以上で活躍する仔も出しました。

 産駒のシャマーダル、ノットディスタイムなどを通じてサイアーラインを発展させており、前者はロペデヴェガ、ブルーポイントの父となりました。

 母の父としてはガンランナー、レモンポップなどを出しています。

血統に関する疑問にズバリ回答!

「昨年の新種牡馬の現時点の通算賞金順位は?」

 上位5頭は以下のとおりです(JRA賞金、10月19日まで集計)。

1位サートゥルナーリア 123,538万円
2位アドマイヤマーズ   88,524万円
3位ナダル        81,056万円
4位ルヴァンスレーヴ   79.037万円
5位モズアスコット    77,967万円

 2歳6月に産駒がデビューしたあと1年半近くが経過し、現在3歳10月。ショウヘイやファンダムを擁するサートゥルナーリアが頭ひとつ抜けています。2位アドマイヤマーズは桜花賞と秋華賞の牝馬二冠を達成したエンブロイダリーを出しました。3位ナダルと4位ルヴァンスレーヴはダート向きの種牡馬で、出走回数は前者が440回、後者が667回。ナダルはルヴァンスレーヴの3分の2の出走回数しかありません。5位モズアスコットは10月11日のサウジアラビアRCでエコロアルバ、ガリレアがワンツーフィニッシュを決めて順位を上げました。

 以上の5頭は初年度産駒(現3歳)の勝馬率がすべて40%を超えており、さすがというべき成績です。

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栗山求

netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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