2025年10月27日(月) 18:00
【Pick Up】エネルジコ:1着
父ドゥラメンテは現3歳がラストクロップ。わずか5世代から3頭目の菊花賞馬を出したことになります。この3頭、タイトルホルダー、ドゥレッツァ、エネルジコは、配合的にほとんど共通点がなく、幅広い配合パターンから一流馬を出していることが分かります。
母エノラは独オークス(G1・芝2200m)の勝ち馬。ドイツの名門レットゲン牧場の生産馬で、初仔キジンゴの娘エルレは2024年に独オークスを勝ちました。母の父ノヴェールはアラジ(カルティエ賞年度代表馬、米最優秀2歳牡馬)の半弟にあたる良血で、ルアーヴル(仏ダービー)の父でもあります。
エノラが日本で産んだフォーテは、ダート短距離でオープンクラスまで出世しましたが、おそらく母エノラがスタミナ型であると見越してスピード型のロードカナロアを交配し、そちらの特長が優勢になったのでしょう。「ノヴェール×ニニスキ×ズルムー」という重厚なヨーロッパ血統ですから、ドゥラメンテとの交配でスタミナに不安のない仔が誕生したのはうなづけます。
もちろん、これまでの蹄跡を振り返っても長距離専用馬ではないので、2400mのジャパンCや2500mの有馬記念でも楽しみです。
【Pick Up】フィロステファニ:1着
母スキアは現役時代にフィユドレール賞(仏G3・芝2100m)を勝ち、繁殖牝馬としても成功しました。フィロステファニ、ソールオリエンス(皐月賞)、ヴァンドギャルド(富士S)と3頭が重賞を勝っています。母の父モティヴェイターは、これらの他にタイトルホルダー(菊花賞、天皇賞(春)、宝塚記念)、ステラリア(福島牝馬S、エリザベス女王杯2着)の母の父となっており、わが国での好成績が目立ちます。
母方にレインボークエストを持つエピファネイア産駒はニックスで、フィロステファニの他にジョバンニ(ホープフルS2着、皐月賞4着)、ニシノラブウインク(フラワーC2着)、オーサムストローク(3勝クラス)などが出ています。14頭中9頭の勝ち上がりは非常に優秀です。
7月の初戦から12kg馬体を増やしてきたのは好印象で、大レース向きの底力を感じさせる配合構成なので、暮れのGIでも楽しみです。
ちなみに、父エピファネイアはJRA2歳種牡馬ランキングで首位を独走しており、残り2ヵ月を残して賞金額は3億円に達しました。2021年から4年連続で2歳リーディング2位に甘んじてきましたが、初の首位が見えてきました。
【レッドランサム】
ミルリーフ、アーツアンドレターズ、キートゥザミント、フォートマーシー、シーヒーローなどと同じく、ポール・メロン氏が所有した米バージニア州のロークビーステーブルで誕生しました。現役時代はアメリカで走り3戦2勝。デビュー戦となった米サラトガ競馬場のダート5ハロンで56秒4/5のレコードタイムを樹立したものの、重賞に出ることなく3歳春に早期引退しました。
競走実績は貧弱ながら種牡馬として大成功。初年度産駒の活躍で1994年の北米ファーストシーズンサイアーチャンピオンとなり、イギリスではスリペカンがシャンペンS、リッチモンドS、コヴェントリーSと短距離重賞を3連勝しました。
父ロベルトは芝・ダート兼用でスタミナ豊富。しかし、レッドランサムは優秀なスピードも持ち合わせており、配合次第でスプリンターから2400m向きの産駒まで出しました。
カジュアルルック(英オークス)、エレクトロキューショニスト(ドバイワールドC、英インターナショナルS)、レッドクラブス(スプリントC)など全世界で100頭以上のステークスウィナーを出し、日本ではロックドゥカンブがセントライト記念とラジオNIKKEI賞を勝ちました。代表的な後継種牡馬のインティカーブは、スノーフェアリー(エリザベス女王杯2回、英オークス、愛オークス、愛チャンピオンS、香港C)をはじめ多くの一流馬の父となりました。
リバティアイランド、ダノンプレミアム、ジャスティンパレス、パレスマリスなど多くの名馬の血統に含まれています。
「アメリカの連続リーディングサイアー記録は?」
19世紀を含めればレキシントンの14年連続(1861〜1874年)が最高記録です。20世紀以降ではボールドルーラーの7年連続(1963〜1969年)が最も優れています。現役種牡馬のイントゥミスチーフは、2019年から2024年まで6年連続リーディングサイアーとなっており、今年も2位ノットディスタイムを引き離してトップの座にあります。このまま年末まで首位を保てばボールドルーラーの7年連続に並びます。
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栗山求
netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG
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