初角までの距離が短いコース

　天皇賞(秋)が行われる東京芝2000mは1コーナーの奥にスタート地点があり、スタートから100m強で2コーナーのカーブを迎える独特の形状をしている。よって、外枠の馬はコーナーで外を回らされて長い距離を走ることに加え、位置取り争いの面でも不利がある。

　2003年のコース改修で形状が改善されたとはいえ、それ以降の天皇賞(秋)でも内枠が優勢。2012年のエイシンフラッシュを最後に2ケタ馬番の馬は勝てていない。

人気の逃げ馬がいるレースの傾向

　今年は皐月賞馬ミュージアムマイルと日本ダービー2着馬マスカレードボールが、菊花賞ではなく天皇賞(秋)に参戦。さらに古馬のGI馬が多数登録し、豪華なメンバーが集まった。中でも注目は、前走の宝塚記念を勝ったメイショウタバル。人気が予想されることに加え、今回も逃げる可能性が高いだけに、展開の鍵を握りそう。ここでは、有力な逃げ馬がレース全体の結果に与える影響を検証してみたい。

　過去10年の芝1600m以上の重賞で、上位人気の逃げ馬がいるレースの成績を見ると、内枠の馬が好成績を残している。ここでは、3番人気以内かつ、前走で3角先頭の馬を「上位人気の逃げ馬」とした。

　有力な逃げ馬がいるレースでは、コーナーを含めた道中のペースが緩みにくいため、距離ロスなく内を立ち回るメリットが大きいと考えられる。また、人気薄の逃げ馬がいるときと比べて、逃げ馬が最後まで止まらずに粘りこむ可能性が高いため、内を通っても直線で前が壁になるリスクも少ない。　

　内枠勢の中でも、前走でメンバー中で上位の上がりタイムを記録した馬はさらに好成績。有力な逃げ馬がいて、しかも賞金の高い重賞となれば、ある程度前がかりの展開になりやすい。そのため位置取りに恵まれて先行馬が好走するケースは少なくなり、逆に脚をしっかり溜めて末脚を伸ばせるタイプが有利になる。

　東京芝2000mのコース形状自体が内枠有利であることに加え、強力な逃げ馬の存在によって、内差し有利の傾向が強まる。よって、「内枠の差し馬」には警戒が必要。