2025年10月29日(水) 12:00
米国競馬の祭典ブリーダーズカップの開催が、今週の金曜日(10月31日)と土曜日(11月1日)に迫っている。
今回のこのコラムは、「フューチャー・スターズ・フライデー」というタイトルで行われる初日(10月31日)の開催に組まれた、5つの2歳戦を展望する。
スタート順に見ていくと、最初に行われるのは現地14時45分(日本時間1日7時45分)に発走する、芝5FのBCジュベナイルターフスプリントだ。
中心視されているのは、愛国のA.オブライエン師が送り込むトゥルーラヴ(牝2、父ノーネイネヴァー)である。今年5月にデビューし、初戦、2戦目といずれも2着に敗れた後、ロイヤルアスコット開催のG2クイーンメアリーS(芝5F)に挑み、そこを制して重賞で初勝利を挙げた同馬。続くカラ競馬場のG2レイルウェイS(芝6F)も5馬身差で快勝。欧州の2歳G1では開催時期が最も早い、8月9日にカラで行われたG1フェニックスS(芝6F)では、パワーブルーの2着に敗れたものの、続くニューマーケットのG1チェヴァリーパークS(芝6F)を制し、G1初制覇を果たした。スピード能力は非常に高いが、デルマー競馬場のタイトなコーナーをどうこなすかがポイントになる。
迎え撃つ地元勢の代表格が、W.ワード厩舎のシュワルツェネッガー(牡2、父ノットディスタイム)だ。8月29日にサラトガ競馬場のメイドン(芝5.5F)でデビューして2着になった後、10月5日にーンランド競馬場で行われたLRインディアンサマーS(芝5.5F)を制し、初勝利をあげての参戦となっている。
続いて、現地15時25分(日本時間1日8時25分)に発走する、牝馬によるダート8.5FのBCジュベナイルフィリーズ。
中心は地元・西海岸の伯楽B.バファート師が送り出すエクスプローラ(牝2、父ブレイム)か。ファシグティプトン・ミッドランティック2歳市場にて35万ドル(当時のレートで約5492万円)で購買された同馬。8月17日にデルマー競馬場のメイドン(5.5F)を制しデビュー勝ち。続くG1デルマーデビュタント(d7F)はボトルオブルージュ(牝2、父ヴィーノロッソ)の2着に敗れたが、10月4日のG2オークリーフS(d8.5F)を4.1/4馬身差で制し、重賞初制覇を果たした。
言うまでもなく、G1デルマーデビュタントでエクスプローラを破っているボトルオブルージュが、強敵の1頭。
10月3日にーンランド競馬場で行われたG1アルシビアデスS(d8.5F)を、2着入線後に繰り上がりで優勝となり、デビュー3連勝を果たしたトミージョー(牝2、父イントゥミスチーフ)が、3番手評価。
続いて、現地16時05分(日本時間の1日9時05分)に発走する、これも牝馬による芝8FのBCジュベナイルフィリーズターフ。
実績最上位なのが、愛国から遠征してきたプリサイス(牝2、父スタースパングルドバナー)だ。
A.オブライエン調教師の競馬組織ウィスパービュートレーディング社による生産馬で、G1愛ダービー(芝12F)2着、G1ゴールドC(芝19F210y)2着などの成績を残したキングフィッシャーの姪にあたる同馬。今年8月にコーク競馬場のメイドン(芝7F)を制しデビュー2戦目で初勝利。続くグッドウッド競馬場のG3プレスティージS(芝7F)を制し重賞初制覇を果たすと、カラ競馬場のG1モイグレアスタッドS(芝7F)を制し、3連勝でG1初制覇。
さらに10月10日にニューマーケット競馬場で行われたG1フィリーズマイル(芝8F)を3.1/4馬身差で快勝。この結果を受け、ブックメーカー各社は同馬を、来春のG1英1000ギニー(芝8F)へ向けた前売りで、オッズ4〜6倍の1番人気に支持している。フィリーズマイル直後は、その一戦をもって春まで休養とされていたが、馬の調子が良いことから、もう1戦することになった。
ここに日本から挑むのが、世界の矢作芳人調教師が送り込むスウィッチインラヴ(牝2、父コントレイル)だ。自身は海外に出たことがなかったコントレイルだが、早くも産駒の海外初参戦が実現する。どのようなパフォーマンスを見せるか、非常に興味深い。
続いて、現地時間16時45分(日本時間1日9時45分)に発走する、ダート8.5FのBCジュベナイルだ。
ここも抜けた1番人気になりそうなのが、T.プレッチャー厩舎のテッドノフィー(牡2、父イントゥミスチーフ)だ。
母がG2ブエナビスタS(芝8F)2着など2重賞で好走したストリートオブラックで、キーンランド9月市場にて65万ドル(当時のレートで9394万円)で購買された同馬。8月2日にサラトガ競馬場のメイドン(d6.5F)を制しデビュー勝ちを飾ると、続くサラトガ競馬場のG1ホープフルS(d7F)を8.1/2馬身差で制しG1制覇、10月4日にキーンランド競馬場で行われたG1ブリーダーズフューチュリティ(d8.5F)も2.3/4馬身差で制し、無敗の3連勝を果たした。好位から抜け出す競馬は安定しており、初めてとなる西海岸への遠征さえ苦にしなければ、大きく崩れる姿は想像しがたい。
西海岸で、G1デルマーフューチュリティ(d7F)を含めて2戦2勝のブラント(牡2、父ガンランナー)が2番手評価。
最後に、現地時間の17時25分(日本時間1日10時25分)に発走する、芝8FのBCジュベェナイルターフ。
A.オブライエン師がここに送り込むのが、グスタード(牡2、父スタースパングルドバナー)だ。今年5月にデビューすると、ナヴァン競馬場のメイドン(芝6F)、ロイヤルアスコット開催のG2コヴェントリーS(芝6F)を連勝。その後は、欧州の主要2歳G1を3戦。G1モルニー賞(芝1200m)、G1ヴィンセントオブライエンナショナルS(芝7F)、G1デューハーストS(芝7F)で、いずれも僅差の2着となっている。能力が高い馬であることは確かだが、デルマーのタイトなコーナーこなせるか、大外枠を克服できるかなど、越えなければならないハードルもある。
東海岸のこの路線で2戦2勝なのが、M.クレモン厩舎のボタス(牡2、父ヴェコマ)だ。8月30日にサラトガ競馬場で行われたメイドン(芝8.5F)を2、1/4馬身差で制しデビュー勝ちを飾ると、10月3日にアケダクトで行われたG2ピルグリムS(芝8.5F)もクビ差でモノにしている。
2歳戦に強いW.ワード厩舎が送り込むのがアウトフィールダー(牡2、父スパイツタウン)だ。5月2日にチャーチルダウンズのメイドン(芝5F)を制しデビュー勝ちを果たすと、欧州遠征を敢行。仏国のドーヴィル競馬場を舞台としたG1モルニー賞(芝1200m)に挑み、勝ったヴェネチアンサンから4.3/4馬身差の4着に健闘した。帰国して出走したのが10月4日にキーンランド競馬場で行われたダート6Fの一般戦で、ここを2馬身差で制しての参戦となる。距離延長が課題だが、母はマイルまではこなしている他、祖母は9Fの重賞2着馬で、ある程度のスタミナの裏付けはある馬だ。
フューチャー・スターズ・フライデーの模様は、11月2日にグリーンチャンネルで放送されるブリーダーズC生中継の中で紹介される(VTR放映)ので、ぜひご覧いただきたい。
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合田直弘
1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。
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