2025年11月01日(土) 12:00
京都競馬場で開催される秋のGI競走の始まり、3歳牝馬三冠の最終戦・秋華賞は見応え満載の一戦でした。オークス馬カムニャックか、桜花賞馬エンブロイダリーか、はたまた紫苑SやローズSから勝ち上がってきた馬たちか、本命に悩みながら久々に京都競馬場へ行ってきました。カメラを持っていきましたがさすがはGI。人の波に押され、優勝馬の写真を撮ることはできませんでした。
結果はルメール騎手騎乗のエンブロイダリーが二冠制覇。関係者の皆様おめでとうございます。ルメール騎手は、カムニャックをマークしていたようですが、ハナを切って追走する武豊騎手騎乗のエリカエクスプレスに切り替え、最後交わしてゴール板を通過するルメール騎手。その素晴らしい手腕に脱帽です。あのレジェンド騎手も「ルメール騎手上手いなぁ」と絶賛されていました。また、敗れはしたもののエリカエクスプレスも力を発揮していましたし今後が楽しみです。
▲エンブロイダリーが二冠達成(c)netkeiba
さて、僕も強い馬たち、上手い騎手を見習い、障がい者馬場馬術の特訓中です。9月にドイツへ強化合宿に行き、10月20日〜22日には御殿場市馬術・スポーツセンターで行われたJRAD馬術主催の強化合宿に参加しました。
そこでは立命館大学乗馬クラブの指導者、篠宮寿々海先生による指導を受けてきました。昨年に続き今年も篠宮先生に分かりやすく的確に指導していただけてよかったです。私は、左半身麻痺があるので脚も手も力が入りません。が、意識して左脚をしっかり使って馬を動かすことが大事とアドバイスをいただきました。そうすることで隅角が曲がりやすくなるので、普段の練習の時も意識するようにと言葉をいただきました。
▲JRAD馬術主催の強化合宿に参加しました
2日目は軽速歩の始動です。軽速歩とは騎乗者が馬の動きに合わせて、「立つ」「座る」を繰り返す乗馬の技術です。篠宮先生からは「しっかり座りなさい。その形では馬と繋がっていかない」という指摘を受けたので、正反動で乗る練習をしました。脚に踏ん張りがきかず、前かがみ気味になるので「踵を下げて背筋をピンと伸ばし、後ろに重心をのせるイメージで」とアドバイスをいただきました。初めは体が前に突っ込む感じで綺麗にできなかったですが、背筋を伸ばして後ろに下げるとうまくできました。それを見て「よし! それでいいんだよ」と褒めていただき「やった! このスタイルをしっかり覚えておこう」と思いました。馬をしっかり動かしていける自信がつきました。
3日目も同じ姿勢を保つ練習をしっかりしました。「上手くなったね」と篠宮先生から言っていただき嬉しかったです。参加者が4人と少なかったことで、練習時間がたっぷりあったこともよかったです。
▲「上手くなったね」と篠宮先生から言っていただき嬉しかったです
座学では競技の審査員である木村氏が、審査の時に何を見ているのかなどの話をして下さいました。
1. 馬のリズム 2. 輪乗りや隅角通過の時も直線と同じリズムで歩けているか 3. スピードやリズムを崩していないか
上記のポイントを意識して、「乗馬は世界中一緒なので自分に合う良い馬を見つけて普段の練習をしっかりしてミスを無くすように。審査のポイントをきちんと覚えておくように」とアドバイスもいただきました。御殿場市馬術・スポーツセンターは、富士山のふもとでとても綺麗な場所なので気持ちよかったです。
僕の愛馬も少し小さい馬ですが馬体がきれいで、まとまった形をしています。12月4〜6日に三木ホースパークで開催されるJRAD馬術国内大会には、この馬と挑みます。この大会は、2026年世界馬術選手権の選考に向けての大事な大会になります。気合いを入れてどっしり座って挑みたいと思います。
滋賀県では『わたSHIGA輝く国スポ・障スポ2025』が開催。車いすバスケットボールの試合が滋賀ダイハツアリーナで行われていたので応援に行ってきました。私も中学生の時バスケット部に所属していたのでとても面白かったです。選手のパワーに圧倒されました。スピードも速く、車いす同士をぶつけて相手の動き止めるなど息を呑む場面もたびたび。車いすごと転んでしまうのですが、くるりと回転して起き上がったり、相手チームがガードしているので手を貸してくれる場面もあり、とてもいい試合でした。人馬一体ではなく、まさに人車一体でした。
競技用の車いすにのって1度だけ競技に参加したことがありますが、車輪がハの字型になっていて車体を回転して止める必要があります。タイヤも細く競輪の自転車のタイヤみたいな造りをしています。左手に麻痺があり両手で車輪を動かせずその場でくるくる回ってしまい、前に進まず苦労したことを思い出しました。動かすだけでも大変なのに、相手の動きを観察して動いたり、チームとの連携もこなしていて選手たちは凄いなと思いました。
チームの中には1人女性選手もいて、男性選手と同じように動き回る様は、ハラハラドキドキ。しかし彼女がボールを持つと「頑張れ! 行け! シュート!」と応援に熱が入りました。応援専用のはりせんを持ち、みんなで一緒に「滋賀チャチャチャ」と叫びました。僕も現役の時、ファンの方の応援がとても嬉しかったことを思い出しました。
観戦した東京代表との試合で、滋賀県代表は惜しくも負けてしまいましたが、互いに握手を交わして応援団に向かってお礼をする姿は頼もしかったです。お疲れ様でした。とてもいい試合を見ることができ、パワーをもらいました。
車いすに深くどっしり座り背筋を伸ばすことで安定したプレーができる。乗馬と一緒だと見ていて感じました。ただ、更にそこからリーチを長くしてボールをキャッチしたり、シュートを打つのは至難の業だと思いました。あの強さとパワーに感動です。次は僕の番です。車いすバスケの“人車一体”と同じようになれるよう、人馬一体で頑張るぞと決意を固めました。
オカン ダイハツアリーナは、とってもきれいなお洒落な建物。コートも3面あり、客席が全体をぐるっと囲むようにあるので見やすかったです。車いすバスケの選手の迫力とパワーに感動しました。転んでも転んでも器用に起き上がる姿に、生きることの強さを見たような思いです。まさに“人車一体”。スポーツを生で観戦する醍醐味を感じました。息子よ今度はあなたの番だよ。いただいたパワーを発揮するときです。がんばれ──。
つねかつこと常石勝義&オカン
(文中敬称略、次回の更新は12/1(月)を予定しています)
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常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っている。
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