2025年11月01日(土) 12:00
こちらのコラムでは、レース質予想のパイオニア・立川優馬氏が著書である『「今週勝つ!」を叶える馬券カレンダー』を基に週末の展望を解説していくものとなります。
人気予想家の見解を、ぜひ予想の参考にお役立てください!
(取材・文・構成=編集下M)
編集下M(以下、M) 菊花賞はこのコラムで「隊列上恵まれることは間違いない」と強調したエキサイトバイオが13番人気で3着に激走。『ウマい馬券』もお見事でした。
菊花賞の『ウマい馬券』。◎→○→△で見事的中
立川(以下、立) エキサイトバイオの好走は運の部分も大きいですが、エネルジコ→エリキングを◎〇で自信をもって出せたことが大きいですね。この1番人気→2番人気の馬連が11倍つく時点で勝てるレースだなと。枠並びと渋った馬場になったことで外枠差し馬がスムーズに走れる下地がそろったので、買い目の決定まで3分くらいで終わりました。当たるときはそんなものですよね。
M そして11月第1週の『「今週勝つ!」を叶える馬券カレンダー』のテーマは「東京芝2000mの傾向の変化と天皇賞(秋)の予想の鍵となるレース」。天皇賞(秋)を占う上で最適な内容で期待できそうです。ただ、東京芝2000mといえば、太古の昔から「内枠有利、外枠不利」で知られるコース。いわゆる“枠ゲー”なのでは?
11月第1週の狙い方。『「今週勝つ!」を叶える馬券カレンダー』(画像は電子版)より
立 おっしゃる通り、東京芝2000mは1コーナーポケットから発走し、2コーナーに直角に入るレイアウトと最初のコーナーまでの距離が約126mという非常に特殊な形態。そのため、内枠の馬が位置を取りやすく、外枠が不利になりやすいコースと言えます。したがって、このコースがもつレース質は「内枠・先行・スローペース」になります。
M そうですよね。コース形態について勉強し始めた際、最初に覚えたのが「中山芝1600mの内枠」「東京芝2000mの内枠」でしたから。ちなみにその次は「阪神ダート1400mの外枠」です。
東京芝2000mの立川式コース図
立 枠の有利不利は、コース形態だけではなく、馬場造成の影響も受けます。東京の芝コースの馬場造成は2021年頃を境に大きく変わっていて、それまでの軽い瞬発力質の馬場から、長く脚が使える馬が恵まれる持続力質の馬場になっています。その結果、2021年以前は内枠有利だった芝1400mでは、2021年以降は明確に外枠有利コースに変貌を遂げました。この傾向は東京の全ての芝コースに及んでおり、芝2000mにも影響を与えています。例えば、瞬発力系馬場全盛期だった2015〜2018年では1枠の成績が飛び抜けてよいのですが、2021年以降は内外がほぼイーブンになっています。
M 2018年までは1枠をベタ買いすれば単複プラスだったのに、2019年以降は先週の競馬まで含めて複勝回収率が66%。
立 コース形態自体は内枠先行有利のまま変わっていないですから、いかに馬場が外枠有利に変わったかが窺い知れますよね。東京芝2000mに限らず、極論すると近年の東京芝コースについては過去10年のようなスパンでデータを取ってもミスリードを誘うだけになってしまいます。
M データの罠、ですか。単行本にできそうなテーマですね。過去データが参考にならないのであれば、何を糸口に予想を組み立てればいいのでしょう?
立 答えは「直近の傾向」です。2024年までは天皇賞(秋)の前週に、山中湖特別(2勝クラス・芝2000m)と甲斐路S(3勝クラス・芝2000m)が行われており、その結果が天皇賞(秋)に直結していました。例えば、2023年は両レースで外から差しが届いており、天皇賞(秋)でも外枠勢が3着までを独占し、2、3着馬は道中二桁通過順の追い込み馬でした。逆に2024年は、両レースとも内枠先行決着しており、天皇賞(秋)でも勝ち馬こそ規格外の末脚で差し切りましたが、2、3着馬は内枠先行馬と逃げ馬でした。
M 2024年の勝ち馬はドウデュースですからね。波乱を演出した2着タスティエーラ、3着ホウオウビスケッツは馬場の後押しを生かし切ったということか。前週の該当レースの結果を見るだけでいいなら楽勝じゃないですか。
立 そう思いますよね。ところがここで悲報です。実は2025年はかなり大幅な日程や条件の変更が行われていて、甲斐路Sは2週前の1800mへ、山中湖特別は前週の1800mへと条件変更されてしまったんです。
M そうだった。『「今週勝つ!」を叶える馬券カレンダー』の制作中にスケジュールが発表になって、大々的に変更されていて頭を抱えた悪夢が蘇りました。
立 開催時期や距離変更の影響について、正直、分からないところはありますが、1800mは2000mに近いポケット発走なので、今年も通用する方向で見ていきたいと思います。
M 今年の甲斐路Sと山中湖特別の結果はこちら。
立 甲斐路Sは、直線追い風の影響こそありましたが人気の先行勢が止まって、外を通したニシノティアモが6番人気で差し切り。3着にも内を突いたとはいえ外枠差し馬の9番人気エバーハピネスが好走。全体としては外枠差し有利と判断してよいでしょう。また、山中湖特別は、渋った馬場で内を空けての追い比べになり、内を突いた3頭が好走しましたが、3頭ともメンバー中上がり上位の差し馬でした。
M 内外の差はあれど、差し馬の健闘が目立ちますね。
立 そうですね。例年、今週のA→Bコース替わりでは大きく傾向の変化が出ないので、今週の東京芝も基本的には差し有利の馬場であると判断できそうです。今年の天皇賞(秋)は少し先行勢が手薄で、逃げるメイショウタバルや番手濃厚なホウオウビスケッツの扱いがポイントになりますが、直近の傾向からは不利と考えたいところ。また、差し馬の中で持続力寄りの馬場やレースに良績があるのは、ジャスティンパレスやタスティエーラ、マスカレードボール辺りになりますね。特に、今年と同じく甲斐路Sと山中湖特別が差し決着だった2年前に2着に好走しているジャスティンパレスは、昨年4着のリベンジを果たしてくれそうです。
<枠順確定後の追記> 逃げ先行したいホウオウビスケッツ、セイウンハーデス、メイショウタバルがそろって外枠に入ったことで、先行しにくい外枠から出していかなくてはならないので、テンが少しタイトに流れるでしょう。そのうえで外枠主導の隊列になるわけですが、馬群が凝縮するので差し馬に有利な形になりそう。解説したとおり、馬場はBコース替わりでも差し有利で見ているので、ねらい馬は絞れてきますね。
金曜夜に大雨が降って、それが乾いて良馬場ということになるでしょうが、芝は内から乾くことも考慮して内枠差し馬が恵まれると見ます。幸運なことに、注目していた持続力系差し馬のジャスティンパレスが3番枠、タスティエーラが5番枠、マスカレードボールが7番枠を引いてくれたので、そのままこの3頭を評価。もう一頭加えるなら、下げ切ってしまう馬は結局外回しになってしまう可能性が高いので、内枠差し馬の中ではアーバンシックやソールオリエンスよりも6番枠のブレイディヴェーグを上位に取りたいところ。外枠有利のマイルCSや新潟記念で1枠から0.4秒差、0.3秒差は強いですし、比較的内目を通した馬が上位にきた安田記念を大外枠から0.3秒差もよい内容。適性距離に戻って、いつもより位置も取れそうなここは厚い印を打つかもしれません。
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人気予想家の立川優馬氏が著者である『「今週勝つ!」を叶える馬券カレンダー』を実践していくものとなります。 その週の重賞で勝つために参考になる情報が満載となるコラムとなっておりますので、ぜひご覧ください!
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