【奥村武調教師】連続在厩500日超は「この馬房を彼の家にしてやろうと」──みやこSで1年ぶり復帰、ノースブリッジの異例“在厩リハビリ”に秘められた陣営の想い

2025年11月02日(日) 18:01

今週のFace

▲ノースブリッジを管理する奥村武調教師にお話を伺いました(撮影:下野雄規)

11月9日、京都競馬場で行われるみやこステークス。競走馬では珍しい「深屈腱支持靱帯の炎症」と診断され、昨年の天皇賞(秋)以来約1年ぶりの復帰戦となるノースブリッジが初ダートでこのレースに挑みます。

「美浦の番人」の異名の通り、在厩での調整で有名な同馬。ケガの療養期間中も陣営は“在厩リハビリ”を選択し、レース当日には連続在厩日数が502日となります。なぜそこまで在厩にこだわるのか──。管理する奥村武調教師にお話を伺うと、そこには師のノースブリッジを思いやる“親心”ともいえる理由がありました。

また、同馬の主戦で奥村厩舎との繋がりが深い岩田康誠騎手についても言及。この期間中も頻繁に馬房に顔を出しに来ていたといい、「彼がいなかったら今の奥村厩舎はない」と絶大な信頼を置きます。そんなタッグが歩んできた軌跡を振り返っていただきました。

(取材・構成=和久時秋)

競走馬にとって異例のケガ「深屈腱支持靱帯の炎症」

──今回、復帰レースとして初ダートとなるみやこSを選択されました。レース選択の理由をお聞かせ願えますか?

奥村 脚元の負担を考えての判断です。損傷している馬の過去の話を聞くと、患部自体は大丈夫でも、休んでいる間に組織が硬くなったりして結局、復帰戦で屈腱を再び傷めるリスクはどうしてもつきまといます。そのため、可能な限り負担の少ない条件を、と考えました。

──初ダートとなりますが、適性に関してはどのように見ていますか?

奥村 ダートの適性がないとは思っていなくて、いつかどこかで試したいなという考えはありました。今回が試すのにちょうどいい機会かな、と。復帰時期や場所は決めずに進め、少しずつ調教を強化してきました。それでも獣医さんの話よりさらに慎重に進めてきましたね。その結果、ダートで斤量を背負い過ぎず、かつあまり小回りではないところと考えたら、みやこSがちょうどいい番組だったのです。

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▲芝で重賞3勝を挙げている(撮影:下野雄規)

──そもそもノースブリッジといえば在厩調整というイメージが定着しています。昨年4月の香港遠征から帰国して、JRAの施設内での連続在厩期間はみやこSの日(11月9日)で502日になるそうです。改めてそのワケを伺えますか?

奥村 きっかけは2歳のときに大きく爪を痛めてしまったこと。そこから・・・

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