2025年11月05日(水) 12:00
ヨーロッパは芝の平地競馬がほぼ終了し、各種ランキングの行方が気になる季節を迎えている。
今週のこのコラムは、英国と愛国の数字を合算したランキングでも、欧州全域の数字を集計したランキングでも、フレッシュマンサイヤーのテーブルで首位にたっているスターマンをご紹介したい。
愛国のタリホースタッドで供用されているスターマンは、2017年3月31日に英国で生まれた。
父は、G1モルニー賞(芝1200m)、G1ミドルパークS(芝6F)といった2歳G1を制した他、G1ジュライC(芝6F)2着、G1英2000ギニー(芝8F)3着などの実績を残したダッチアート(その父メディシアン)。母ノーザンスター(その父モンジュー)は、イギリスで9戦し、バース競馬場の条件戦(芝10F37y)を制した1勝馬。その母の2番仔として生まれたのがスターマンだ。1歳年上の姉サンデースター(父コディアック)は、英国で17戦2勝、G3オーソーシャープS(芝7F)3着の成績を残している。また、母の半弟に米国で走り、G2タンパベイダービー(d8.5F)を制したキングギレルモ(その父アンクルモー)がいる牝系を背景に持つ。
スターマンは、生産者デヴィッド・ワード氏の所有馬として、ランボーンに拠点があるエド・ウォーカー厩舎に入厩した。馬体の非常に大きな馬で、仕上がりに時間がかかって2歳時は不出走に終わった後、3歳になった2020年はコロナのパンデミック発生で競馬のスケジュールが大いに狂い、スターマンがデビューできたのは、3歳の7月だった。
リングフィールド競馬場のメイドン(AW6F1y)を皮切りに、6F路線で3連勝を飾ったスターマンの4戦目に、陣営はアスコット競馬場のG1英チャンピオンズスプリント(芝6F)を選択。しかし重賞初挑戦がいきなりG1というのは荷が重かったか、ここは14着に大敗して3歳シーズンを終えた。
スターマンが本格化したのは4歳時で、緒戦となったG2デュークオブヨークS(芝6F)を制して重賞初制覇を果たすと、続くニューマーケット競馬場のG1ジュライC(芝6F)を制しG1初制覇。その後も、G1モーリスドゲスト賞(芝1300m)3着、G1スプリントC(芝6F)2着と、短距離G1の最前線で健闘し、この年のカルティエ賞最優秀スプリンターに選出された。
4歳シーズンをもって現役を退き、5歳春にタリホースタッドで種牡馬入り。初年度の種付け料は1万7500ユーロ(当時のレートで約231万円)だった。
23年に初年度産駒が誕生。24年に英国と愛国の1歳市場に上場された初年度産駒は、143頭が平均4万2598ギニー(当時のレートで約880万円)と、種付け料の3倍以上の価格で購買され、上々の売れ行きを見せた。
前述したように、スターマン自身は2歳時の出走がなかったが、25年に2歳になった初年度産駒は、早い時季から続々とデビュー。中でも、3月28日という早期デビューを果たしたレディーアイマン(牝2、母の父コディアック)は、5月18日にネース競馬場で行われたG3フィリーズスプリントS(芝5F205y)を制し、父にとっての重賞勝ち馬第1号となった。
その後も、ヴェネチアンサン(牝2、母の父イフラージ)が、ロイヤルアスコット4日目(6月20日)のG3アルバニーS(芝6F)を、グリーンセンス(牝2、母の父ストリートセンス)が、7月20日にシャンティイ競馬場で行われたG2ロベールパパ賞(芝1200m)を、ノースコースト(牡2、母の父オーストラリア)が、7月24日にレパーズタウン競馬場で行われたG3タイロスS(芝7F57y)を制覇。スターマンの子は走るという評判が広まった。
このうちヴェニシアンサンは、7月11日にニューマーケット競馬場で行われたG2ダッチェスオブケンブリッジS(芝6F)も制し、2度目の重賞制覇。同馬はさらに、8月24日にドーヴィル競馬場で行われたG1モルニー賞(芝1200m)に挑み、ここも制して父にとってのG1勝ち馬第1号となっている。続くカラ競馬場のG1モイグレアスタッドS(芝7F)では3着に敗れたヴェニシアンサンだが、来年春の牝馬三冠初戦G1英1000ギニー(芝8F)へ向けた前売りで、オッズ13〜15倍の3〜4番人気に支持されている。
前述したように、スターマンが本格化したのは4歳時だった。来年春には、成長力を見せて新たに台頭する産駒が出現してもおかしくはない。また、スターマンがG1ジュライCを制した時のニューマーケット競馬場は、「Good to Firm」という硬めの馬場で、日本の競馬への高い適性を示す産駒が現れる可能性もありそうだ。
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合田直弘
1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。
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