【AR共和国杯】例年の“流れ”に変化が 長距離適性がカギに

2025年11月08日(土) 12:00

過去5年、勝ち馬の前走距離に共通点あり

 東京競馬場の直線の坂下に発走地点があり、この坂を2度越えてゴールするというタフな舞台となっているアルゼンチン共和国杯。長距離向きのスタミナが、特にもとめられている。逃げ馬が好走した例は、この10年一度も見たことがなく、だからと言って差し一辺倒がいいとも言いがたく、ある程度の位置につけられた馬の好走が目立つのがこの重賞の特徴と言っていい。これまで長距離重賞として時折その存在を際立たせたことがあった。

 古くはスクリーンヒーローがここを勝った直後にジャパンCをものにしたことがあったが、その産駒のゴールドアクターは、ここを勝って有馬記念馬になっており、アルゼンチン共和国杯というGII戦の存在を大きくしてきた。これに続いて9年前のシュヴァルグランは翌年のジャパンC、8年前のスワーヴリチャードは2年後のジャパンCを勝っており、この流れを受け継いできた。

 毎年レースの勝ち馬にはこうした期待がかけられてきたが、このところこうした流れに変化が見られるようになってきた。そのきっかけとなったのが、5年前の3歳馬オーソリティだった。春に初コースの東京で青葉賞をレースレコードで勝ちながら、骨折で日本ダービーに出られなかった。

 そこで秋の復帰戦に選んだのがこのアルゼンチン共和国杯で、平均ペースの3番手につけ、54キロのハンデを生かした動きで完勝、この3年前、日本ダービー2着以来の休み明けで勝ったスワーヴリチャードほどではなかったが、長距離界に新しい風を吹き込んでくれた。C.ルメール騎手とのこのコンビは、翌年も勝って連覇を達成。アイフル、ミナガワマンナに続く3頭目の快挙を達成している。

 とにかく距離適性があるかどうかが第一で、その点をよく表しているのが、上位に食い込んだ馬の前走の距離。この5年間の勝ち馬の前走は、全て2200米以上だった。昨年10番人気で勝ったハヤヤッコは8歳馬でハンデ58.5キロ。前走札幌のタイランドC2600米も58.5キロを背負って3着、背負い慣れた斤量で左回りもプラスになると国枝調教師は語っていたが、レースでは後方でじっと動かず、直線大外に出してジリジリ伸びて渋太い脚を見せていた。8歳馬39年ぶりの勝利、このハンデでの勝利は35年ぶりで、どちらも2頭目と快挙だった。

 今年はこれを受けてということだが、前走の距離を見て、それにハンデを加えて考えてみることにしたい。

 まず目にとまったのが、ホーエリート。オールカマーではレベルの高いメンバーの中、渋太い脚使っていたが、2走前の目黒記念2着が光っている。それに晩成型で札幌でオープン勝ちしたばかりのスティンガーグラス、距離を延ばしてきて新味が期待できそうなディマイザキッドと、3頭の4歳馬に注目してみた。

「これ次第 仕切り直しの 秋初戦」

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長岡一也

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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