ミステリーウェイがAR共和国杯V 父母から受け継いだ成長力と底力が開花

2025年11月10日(月) 18:00

血統で振り返るアルゼンチン共和国杯

【Pick Up】ミステリーウェイ:1着

 父ジャスタウェイは現役時代、鋭い末脚を武器に天皇賞(秋)で女傑ジェンティルドンナに4馬身差をつけ、芝1800mのドバイデューティーフリーでは6・1/4馬身差で圧勝。このときは従来の記録を2秒以上更新する大レコード(1分45秒52)でした。

 ただ、種牡馬としてのジャスタウェイは芝だけでなくダートでも良績を残しており、テオレーマ、マスターフェンサー、ヤマニンウルス、ジェイパームスといった砂巧者を送り出しています。また、芝・ダートともに長めの距離で良績を残しており、芝2500〜2600mでは連対率27.7%と抜群の成績です。現役時代と産駒の姿にややズレが見られるのがジャスタウェイといえます。

 ミステリーウェイは、アマルフィコースト(阪神牝馬S2着、京都牝馬S3着、ファンタジーS3着)、イティネラートル(フィリーズレビュー5着)をきょうだいに持つ良血。母の父ハイシャパラルはサドラーズウェルズ系のスタミナ型で、成長力と底力があり、エリキング、ユニコーンライオン、シゲルピンクダイヤとシゲルピンクルビーの姉妹など、ブルードメアサイアーとして優秀な成績を残しています。

 もともとジャスタウェイは芝2500〜2600mに強いタイプですが、母の父ハイシャパラルの影響もあって、長丁場での粘り強さという特長を獲得したのでしょう。

血統で振り返る京王杯2歳S

【Pick Up】ダイヤモンドノット:1着

 23年ダービー卿CTで3着となったゾンニッヒの半弟。母エンドレスノットはダービー馬マカヒキの全姉にあたる良血です。

 父ブリックスアンドモルタルは現役時代にアメリカで年度代表馬に選出された芝馬で、先日、船橋競馬場で行われたJBCレディスクラシック(JpnI・ダ1800m)では、産駒のアンモシエラが2連覇を果たしました。

 気性に難しさがあり、小回りコースの窮屈な競馬が良くないせいなのか、広くて直線の長い東京芝コースや、京都・阪神の芝外回りコースの成績が優れています。一昨年秋にはゴンバデカーブースが東京芝1600mの2歳重賞サウジアラビアRCを勝ちました。ダイヤモンドノットとゴンバデカーブースはいずれも「ブリックスアンドモルタル×ディープインパクト」という組み合わせです。

 ダイヤモンドノット自身は気性面の成長が見られ、今回もすんなり2番手から突き抜けたように競馬ぶりに癖がありません。小回りコースにも問題なく対応できそうです。

知っておきたい! 血統表でよく見る名馬

【ホッコータルマエ】

 3歳の1月から7歳の11月まで大きな故障をすることなく39戦を戦ったタフネスで、東京大賞典と帝王賞を2回ずつ、川崎記念を3回、JBCクラシック、チャンピオンズC、かしわ記念などを制覇しました。その父キングカメハメハは芝・ダート双方で一流馬を出しましたが、ダート向きの代表格といえばこの馬の名が挙がります。

 種牡馬としては、ブリッツファング、ブライアンセンス、レディバグ、メイショウフンジン、ゴライコウ、リュウノフライトなど多くの活躍馬を送り出し、初年度に80万円だった種付け料は、2025年には300万円に上昇しています。

 母方にパワー型の名血であるアンブライドルドを抱えていることが血統的なセールスポイントです。アメリカンファラオ、アロゲート、シスキンなどの直系先祖で、3年連続米リーディングサイアーとなったタピットの母の父。日本でもコントレイル、スワーヴリチャード、グランアレグリアなどに含まれています。

 全日本ダート種牡馬ランキング(中央ダート+地方競馬)は、2023年5位、2024年4位、2025年は11月9日現在で3位。ダート界の頂点を狙えるポジションまで上昇してきました。

 成長力とスタミナに優れ、直線の短いコースがベスト。昇級戦を苦にしません。気難しさがなく、四肢が頑健で長く使えるところがランキング上位を保つカギとなっているのではないかと思います。

血統に関する疑問にズバリ回答!

「寒い時季に強い血統は?」

 近年、日本の気候が亜熱帯化しているといわれ、暖かい時季が長くなる一方、寒い時季が短くなっています。ただ、さすがに11月に入ると日本列島を寒さが覆ってきました。

 11月から2月までの4ヵ月間の成績(以下冬場)を調べると、この時季に成績が上昇する種牡馬、下降する種牡馬が見えてきます。

 上昇する種牡馬の代表はルヴァンスレーヴ。冬場は連対率20.8%で、それ以外は17.6%。11、12月の成績はとくに優秀です。

 下降する種牡馬の代表はサートゥルナーリア。冬場は連対率15.3%、それ以外は22.1%。ただし、11月は成績が悪いわけではなく、12〜2月に落ち込みが見られます。

 リーディング上位種牡馬のなかで、冬場のほうがベターな種牡馬は、ロードカナロア、ドレフォン、リアルスティール。一方、それ以外の季節がベターな種牡馬は、エピファネイア、モーリス、リオンディーズ、レイデオロ。ほとんど変わらない種牡馬は、キズナ、キタサンブラック、ドゥラメンテです。

 もちろん、レース条件や相手関係によって好走凡走はありますから、馬券検討で迷った際の最後のひと押しのファクターとして使うぐらいがちょうどいいかもしれません。

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栗山求

netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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