2025年11月12日(水) 12:00
アスコット競馬場のブリティッシュ・チャンピオンズ・デー(10月18日)に続き、デルマー競馬場の「ブリーダーズカップ(10月31日、11月1日)」が終わり、欧米における25年の平地競馬はほぼ終戦ムードである。
11月3日からはケンタッキーで繁殖牝馬を中心としたセールがスタートしており、ブリーディングストックセールのサーキットはこの後、今月下旬からイギリスのニューマーケットに舞台を移す。各国の主だった種馬所からは続々と、繋養馬の来春の種付け料が発表されており、馬産地がダイナミックに動く季節となっている。
その一方で、2026年の競馬へ向けての胎動も既に始まっている。
例えば、来年5月2日にチャーチルダウンズ競馬場で行われるG1・ケンタッキーダービー(d10F)の出走枠を巡る「ロード・トゥ・ザ・ケンタッキーダービー2026」は、9月13日にケンタッキーダービーのお膝元であるチャーチルダウンズ競馬場で行われたG3・イロコイSd8.5F)を皮切りに既にスタートしており、ヨーロッパラウンドを含めれば既に10戦を消化。ケンタッキーダービーを対象とした「フューチャー・ウェイジャー(期間限定のパリミューチュアル方式の前売り)」のプール1も、10月29日から31日の3日間にわたって発売されている。
フューチャー・ウェイジャーのプール1で1番人気に推されたのは、40番枠にフィールドされた「その他の馬」で、オッズは2.2倍だった。
個別の馬で1番人気に推されたのは、オッズ12倍のテッドノフィー(牡2)。トッド・プレッチャー厩舎のイントゥミスチーフ産駒で、発売開始時点での成績は3戦3勝。発売締め切り最終日に組まれたG1・BCジュベナイル(d8.5F)に出走し、1番人気に応えて連勝を4に伸ばした馬だから、日本の競馬ファンにもお馴染みの馬だと思う。
今後はプレッチャー師がフロリダにおける拠点としているパームメドウズに移動。しばしの休養期間を設けた後、春のダービープレップに向けて始動予定となっている。
BCジュベナイルを勝ったことで、同馬の人気はさらに上昇しており、ブックメーカー各社が売るケンタッキーダービーの前売りでは、6〜11倍というオッズになっている。
現段階で、2番手グループを形成するのが、ブラント(牡2)、ボイド(牡2)、ナポレオンソロ(牡2、ファーザーアドゥー(牡2)の4頭だ。
ブラントは、ガンランナー産駒。OBSマーチ2歳セールにて300万ドルでゼダン・レーシングに購買され、ボブ・バファート厩舎に入厩した。デルマー競馬でメイドン(d5.5F)、G1・デルマーフューチュリティ(d7F)を連勝した後、西海岸の代表格として10月31日のBCジュヴェナイルに参戦。果敢に先行して良く粘ったものの、最後に差されて3着となった。
ブラントと同じく、ゼダン・レーシングが所有し、ボブ・バファート師が管理するのがボイドだ。こちらは、ファシグティプトン・ミッドランティック2歳セールにて、105万ドルで購買されたヴァイオレンス産駒。9月7日にデルマー競馬で行われたメイドン(d5.5F)でデビューし、ここを5.3/4馬身差で制し緒戦勝ちを果たした。次走は、11月16日にデルマー競馬で行われるLRボブホープS(d7F)になると言われている。
ナポレオンソロは、チャド・サマーズ師が管理するリアムズマップ産駒。キーンランド・セプテンバー1歳にて4万ドルというお手頃価格で購買されている。8月8日にサラトガ競馬場のメイドン(d6F)を制しデビュー勝ちを飾ると、10月4日にアケダクト競馬場で行われたG1シャンペンS(d8F)を6.1/2馬身差で制し、無敗のG1制覇を果たした。
ファーザーアドゥは、ブラッド・コックス厩舎のガンランナー産駒。OBSエイプリル2歳セールにて55万ドルで購買されている。7月26日にサラトガ競馬場のメイドン(d6F)でデビューし5着。続いて8月30日に同じくサラトガ競馬場で行われたメイドン(d7F)3着の後、10月10日にキーンランド競馬場で行われたメイドン(d8.5F)に出走。ここを勝ってデビュー3戦目にして初勝利をあげたのだが、その時2着につけた着差がなんと20馬身。一躍、戦線の前線に台頭することになった。
まだまだ序盤のダービー戦線が、今後どのように展開していくか。日本から参戦する馬は現れるのか。その動向に注目したい。
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合田直弘
1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。
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