レガレイラが直線突き抜け秋の女王に 父スワーヴリチャードの“成功パターン”と言える配合とは

2025年11月17日(月) 18:00

血統で振り返るエリザベス女王杯

【Pick Up】レガレイラ:1着

 昨年のエリザベス女王杯は、最後の直線で馬群を割ろうとするときに他馬と接触する不利があり、実力を出し切れず5着と敗れました。スムーズに走れた今年は楽々と突き抜けました。

 スワーヴリチャード産駒は重賞9勝目。GIは4勝目となります。初年度の種付け料は200万円で、これが4年間続きましたが、初年度産駒がブレイクしたあとの5年目から1500万円に値上げしました。繁殖牝馬の質が劇的に上昇するのは今春誕生した5世代目の産駒からです。2027年にデビューする馬たちが大いに楽しみです。

 母ロカはディープインパクトの姪で、桜花賞馬ステレンボッシュ、菊花賞馬アーバンシックの伯母にあたる良血です。レガレイラの他にドゥラドーレス(オールカマー2着、エプソムC2着、七夕賞2着)を産んでいます。

 菊花賞馬アーバンシックは、レガレイラと父が同じで母同士が全姉妹、という関係です。母の父ハービンジャーはダンジグ系。父スワーヴリチャードは母方にダンジグを持つ配合パターンが成功しており、レガレイラ、アーバンシック、スウィープフィート、コラソンビートという4頭の重賞勝ち馬のほか、レディネス、パワーホール、ショーマンフリートといった活躍馬が出ています。

 昨年と同じく有馬記念を目指すようなら、もちろん中心馬の一頭となるでしょう。ジャパンC組よりも余裕をもったローテーションを組めるのは大きなアドバンテージです。

血統で振り返るデイリー杯2歳S

【Pick Up】アドマイヤクワッズ:1着

 父リアルスティールは、今回の勝利で初年度産駒から4世代連続で重賞勝ち馬を出したことになります。現在、総合種牡馬ランキングは第7位。ただ、フォーエバーヤングが稼いだ海外分の約23億円を足すと41億円あまりとなり、40億円のロードカナロアを抜いて第2位に浮上します。ちなみに、45億円で首位を走るキズナは、リアルスティールと同じ「ディープインパクト×ストームキャット」の組み合わせです。

 母方にデインヒルを持つリアルスティール産駒は、函館記念を勝ったヴェローチェエラが出るなど走っており、連対率25.2%、1走あたりの賞金額233万円、勝馬率51.2%。リアルスティール産駒全体の成績(19.7%、171万円、39.2%)を大きく上回っています。ニックスといえるでしょう。

 母の父ゾファニーは、ディープインパクト系の種牡馬と相性が良く、サンライズジパング(ダート重賞3勝/父キズナ)、リカンカブール(中山金杯/父シルバーステート)、サヴォンリンナ(忘れな草賞/父サトノダイヤモンド)などが出ています。本馬もこのパターンに当てはまり、父リアルスティールと血統構成がよく似たキズナを父に持つサンライズジパングとは全体の血統構成がよく似ています。

 キズナ産駒は、リアルスティールと血統構成が似ているだけあって、母方にデインヒルを持つ産駒がよく走っています。サンライズジパングだけでなく、ジャスティンミラノ、エリキングなどが出ています。

知っておきたい! 血統表でよく見る名馬

【キトゥンズジョイ】

 ダート競馬が主流のアメリカで2つのG1を含めて7つの芝重賞を制覇。種牡馬としても成功し、2013年と2018年に米リーディングサイアーとなりました。父系はエルプラドを経てサドラーズウェルズにさかのぼります。

 産駒もやはり芝向きで、アメリカでステファニーズキトゥン、ビッグブルーキトゥン、オスカーパフォーマンスをはじめ多くの一流馬を送り出しました。それだけでなく、ロアリングライオン、ホークビル、カメコがヨーロッパでG1を制覇し、日本でもジャンダルムがスプリンターズSを勝ちました。

 ロベルトのクロスを持つ活躍馬が目立っており、ステファニーズキトゥン、リアルソリューション、ビッグブルーキトゥン、アドミラルキトゥン、サドラーズジョイ、ヘンリーズジョイといったG1馬がこれに該当します。

 ロアリングライオンは愛チャンピオンSを含めてG1を4連勝し、カルティエ賞年度代表馬に選出されました。しかし、種牡馬として1年間供用されただけで疝痛により死亡しました。わが国のジャンダルムも供用2年で死亡しており、後継種牡馬に不運が続いています。

 芝向きの中距離血統で、瞬発力よりもスピードの持続力を武器とし、成長力があります。

血統に関する疑問にズバリ回答!

「馬体が小さかったにもかかわらず成功した種牡馬は?」

 20世紀最高の種牡馬といわれるノーザンダンサー(1961年生)はまさにこのタイプです。産駒のリファール、ダンジグ、サドラーズウェルズ、ヌレイエフ、ザミンストレル、ノーザンテーストも小さめでした。正確にいえば体高は低いもののボリュームのある身体つきで、筋肉量は豊富です。

 オーストラリアの大種牡馬スターキングダム(1946年生)、イギリスで一時代を築いたゲインズボロー(1915年生)とハイペリオン(1930年生)の親仔なども小柄でした。

 ちなみに、スターキングダムはハイペリオンの直系の孫で、ノーザンダンサーはゲインズボロー4×5でハイペリオンを含んでいます。

 1980年代以降に生まれた名種牡馬では、ラーイとグリーンデザートが体高150cm台と小さめです。

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栗山求

netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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