特殊な条件だから狙い方も特殊な福島ダート1150m

編集下M(以下、M)　先週のエリザベス女王杯は、週中に公開した特別対談でたつDさんが注目馬に挙げたライラックが9番人気3着。たつDさんはエリザベス女王杯的中だけでなく、デビュー週を的中率45％、回収率127％という好発進で、立川サロンの力を証明してくれましたね(たつDさんは立川さんが主宰する『競馬と共に人生を歩むサロン』に所属)。

立川(以下、立)　これで今週からも落ち着いて予想できるでしょう。私もエリザベス女王杯を当てられていれば最高でしたが、3列目のパラディレーヌが抜けてしまいました。

M　今週は両者的中を期待しています。さて、『「今週勝つ！」を叶える馬券カレンダー』11月第4週のテーマは「福島ダート1150mの上級条件ハイペースは波乱のシグナル」。先週とは一転して、GIレースとは全く関係ないテーマですね。

11月第4週の狙い方。『「今週勝つ！」を叶える馬券カレンダー』(画像は電子版)より

立　福島ダート1150m、大好きなんですよ。ほかの競馬場にはない非常に特徴的なコースだけに、ねらい方もまた特徴的。私が得意としているコースの一つです。

M　1150mという時点で尖ってますよね(笑)。福島ダートは1150mと1700mがメインになるので、片方だけでも攻略できるとかなり楽になりそうです。

立　まずは福島ダート1150mの特徴をまとめます。

1.距離としては1200mに近いがレース質は1000mに近く、先行有利が顕著
2.芝発走のため、外枠からのほうが先行しやすい
3.テンの速度重視で、逃げ馬の外枠や周辺枠が恵まれやすい

　したがって、コースがもつレース質は「外枠・先行・延長・ハイペース」となっており、とにかくテンの速度比較で出し切れる馬を探すところから予想が始まります。

　明らかにハナを切れるだけのテンのスピードがある馬が見つかれば簡単で、その馬を軸に、周辺枠で軸馬についてこられる馬をグルーピングするだけでトータルでは勝ち越せます。特に、軸馬が芝発走の外枠だった場合は信頼度が高く、相手には逃げる軸馬の外枠の馬を連れてくることが多くなります。

M　逃げ馬さえ見抜ければ、もう的中は目の前だ。

立　11月8日(土)福島4Rでは、軽量の女性騎手騎乗の逃げ候補である12番枠のハニーローリエが芝発走を生かしてハナを切ることが確定的だったので、相手はその外枠2頭に絞ることができました。このように逃げ馬さえ分かれば、あまりフォーカスの組み方で悩むことがないコースと言えます。

11月8日(土)福島4Rの『ウマい馬券』

M　このレースは過去の戦歴的にも騎手起用的にもわかりやすかったですが、「何が逃げるかよくわからん」というレースもありますよね。

立　確かにそういうレースだと勝負度合いは下がります。ただ、逃げ先行馬が多すぎて「何が逃げるかよくわからん」という場合はむしろ大チャンス。福島ダート1150mは前述のとおり、1000m質の先行有利コースなので、テンに速い逃げ先行馬が集まって人気を背負います。しかし、レースで逃げられるのは1頭だけなので、逃げ馬以外は望む競馬ができずに止まってしまうというケースが多くなります。先行馬が多く、ハイペースになるとなおさらで、先行争いで勝ち残った1〜2頭だけ前で踏ん張り、あとの先行馬が全滅。その結果、ハイペースの高速決着を内枠からラチ沿いピッタリで我慢した差し馬がスルスルと伸びてくるという決着パターンがしばしば見られます。

M　差し馬を軸にして、先行馬にぶつける馬券が有効になりそうですね。

立　お察しの通りです。先ほどの例と同じ11月8日(土)福島8Rは外枠に逃げ候補がズラリとそろって、何が逃げるかは分かりませんがペースが流れて先行馬に苦しいレースになることだけは確信がもてました。そこで、1番枠の短縮差し馬であるシャーンゴッセを軸に外枠の先行勢に流す馬券を推奨。勝ったのは先行した2番人気馬でしたが、シャーンゴッセはラチ沿い3列目から7番人気2着に差してきてくれました。

11月8日(土)福島8Rの『ウマい馬券』

M　エリザベス女王杯は不的中だったとはいえ先週も大幅プラスでしたし、このサンプルはともに2週前のもの。絶好調じゃないですか！

立　今週も期待してください。というのも、ここでタイトルにある「福島ダート1150mの上級条件ハイペースは波乱のシグナル」がかかわってきます。

M　“上級条件”というフレーズがありますが、例に挙がったのはともに1勝クラスのレースでしたよね。

立　紹介した「内差し大穴パターン」は、未勝利や1勝クラスだとかなり先行馬がそろったときにしか起こりませんが、上級条件では話が変わってきます。福島ダート1150mの2勝クラス以上のレースは、年間8レースほどしかありませんが、この上級条件では、自然と時計が速い決着になるため、逃げ先行馬がふるい落とされて、内枠差しが発生しやすくなります。

　例えば、2024年11月2日に行われたフルーツラインC(3勝クラス)では、2番枠の逃げ馬が1番枠の差し馬をつれてくる1枠ワンツー決着。先週行われた2025年のフルーツラインC(3勝クラス)も比較的ラチ沿いを通した差し馬が上位に来ています。私の本命だった3番枠のユスティニアンは内で詰まってしまい勝ち馬と0.4秒差の6着止まりでしたが、16番人気の最低人気ながら、スムースなら3着はあった手応えでした。

M　そして今週土曜10Rに福島ダート1150mで施行される福島放送賞は2勝クラス。

立　楽しみですね。先行馬が並んで入るなど速い流れになりそうで、逃げ候補が分からないというメンバーになったら、内枠短縮差し馬からのアプローチをオススメします。

マイルCSは「外枠・差し・短縮・スローペース」

M　ここからはマイルCSについて伺っていきましょう。

京都芝1600m外の立川式コース図

立　マイルCSがもつレース質は「外枠・差し・短縮・スローペース」。安田記念に比べるとテンにゆったりと入って、上がり3〜4F勝負になることが多かったのですが、改修後の2年は2023年がテン3F34.3、2024年がテン3F33.8と流れての高速決着になっています。それでも直線外の進路を通す馬が恵まれているのは時期的に馬場の内目が荒れているのと、上がりだけは出やすい馬場造成なので、坂の惰性を使って加速し、ブレーキ要素なく伸びてこられる馬が恵まれるため。この兆候はBコース最終週だった先週の時点でも現れており、先行馬はかなり不利で、近走で上がり上位を使っている差し馬の好走が目立っていました。

M　それこそ、エリザベス女王杯では4コーナー16番手のライラックが間に合いましたもんね。ただ、時計自体は速い状態が続いています。

立　そこがまさにポイントで、今年は例年以上に馬場が堅く、おそらく1分31秒台の決着になるはず。少なくとも差し有利は確定で、あとは直線進路を外に取っても時計の速い決着で間に合うかどうか。この点で言えば、Bコース開催だったとは言え、2024年は1.32.0の決着で外枠決着ですし、2023年も1.32.5の決着で内を通した人気馬を大外枠のナミュールが差し切っているので、あまり心配ないと判断します。

M　基本的には外枠に入った差し馬から検討していけばよさそうですね。

立　外枠差し馬をねらうのはレース質どおりですが、近年の高速決着とテンの追走力が求められる流れを考慮すれば、近走である程度位置が取れている上がり上位の馬が理想。今年のメンバーなら、富士Sで先行して上がりも使っているジャンタルマンタルとガイアフォース、ソウルラッシュのうち、末脚性能が最も高いソウルラッシュの逆転は期待したいところ。また、テン3F33.5の速い流れを追走したスワンS組のうち、差して好走しているオフトレイル、ワイドラトゥールは延長で位置が取れるパターンで不気味さがあります。高速上がり巧者ながら、逃げる競馬もできるくらいの行きっぷりがあって決して追い込み馬ではないラヴァンダ、相手が弱かったとは言え、今春のマイラーズCを1.31秒台で差し切っているロングランなど穴馬は豊富ですね。このうち、外枠に入った馬からフォーカスを組むことになりそうです。

＜枠順確定後の追記＞
　注目馬がそろって外枠に入ったことで俄然面白くなりましたね。テンに速いウインマーベルやジャンタルマンタルが外枠に入ったことで隊列面でも外枠主導になる可能性が高く、素直に外枠から3列目付近を追走できる馬が恵まれそう。馬場と隊列面を考慮すれば、17番枠から差しに回れるソウルラッシュは安田記念と富士Sの上位2頭を逆転できると判断します。鞍上強化も心強いですね。

　穴馬の中でも毎日王冠からの短縮差しになるロングランやレーベンスティールが外枠を引きましたし、速い流れのスワンSから延長差しで位置が取れるオフトレイル、ワイドラトゥールも外枠。ギリギリ二桁馬番を引けたラヴァンダを含めて、ソウルラッシュから手広く構えたいところ。

　内枠を引いたアスコリピチェーノとガイアフォースを割り引ける並びになったことでオッズは取れそうなので、あとはCコース替わりの馬場状態を確認しながら微調整しましょう。