ヨーロッパシーズンのクライマックス G1ゴールドCのカギとなるレースをご紹介

2025年11月26日(水) 12:00

ブックメーカーの前売り上位馬とは

 先週末のヨーロッパでは、スティープルチェイス3マイル路線におけるシーズンのクライマックスとなる、チェルトナム競馬場のG1ゴールドC(芝26F70y、3月13日)へ向けて、カギとなるレースが3つ行われた。

 まず、22日に英国のアスコット競馬場で行われたG2・1965チェイス(芝21F13y)。

 このレースを、1番人気(3.25倍)に応えて快勝したのが、ジャンゴベイ(セ6、父タイガーグルーム)だ。道中4番手追走後、17ある障害の第13号障害付近から進出を開始し、16号障害手前で逃げていた2番人気(3.75倍)のギドリーパーク(セ7、父ウォークインザパーク)を交わすと、そこから9馬身抜け出す快勝となった。

 ジャンゴベイは仏国産馬。愛国でポイントトゥポイント競走を1戦した後、タタソールズ・チェルトナム2月セールにて17万ポンド(当時のレートで約2849万円)で購買され、英国の伯楽ニッキー・ヘンダーソン師の管理下におかれた。23/24年はハードルを5戦し、G1トルワースハードル(芝16F103y)を含む2勝をマーク。24/25年からスティープルチェイスに転向。このシーズンは4戦し、G1アークルチャレンジT(芝15F199y)を含む2勝をあげている。昨シーズンの最終戦となったG1マニフェストノーヴィスチェイス(芝19F200y)で3着となった後、喉鳴りの手術を受けたり、脚部不安を発症したりとアクシデントが続き、ここは7か月半ぶりの復帰戦だった。久々をモノともせずに楽勝した同馬の次走は、スティープルチェイス3マイル路線における前半戦の最高峰となる、ケンプトン競馬場のG1キングジョージ6世チェイス(芝24F、12月26日)の予定。ブックメーカーの前売りではオッズ4.5〜5.0倍の2番人気に推されている。

 続いて、同じく22日に英国のヘイドック競馬場で行われたG1ランカシャーチェイス(芝25F125y)。

 ここも、1.91倍という被った1番人気に推されたグレイドーニング(セ8)が、ファンの期待に応えて快勝している。

 このレース3連覇を狙っての出走だったロイヤルパガーイ(セ11、父ブルーブラゼル、19倍の5番人気)が、道中2〜3番手追走から、19ある障害の15号障害飛越後に先頭へ。これを最終障害飛越後に交わしたのが、前半5番手追走から、じわじわと番手を上げていたグレイドーニングで、同馬がそこから2.3/4馬身抜け出しての優勝だった。

 愛国産馬で、3歳夏に上場されたタタソールズ愛国ダービーセールにて4万ユーロ(当時のレートで約509万円)で購買され、英国のダン・スケルトン厩舎の一員となったのがグレイドーニングだ。

 22/23年にハードルデビュー。このシーズンは5戦し、G2リーミングトンノーヴィスハードル(芝21F)を含む3勝を挙げている。翌23/24年からスティープルチェイスに転身。このシーズンは、G1ゴールデンミラーノーヴィスチェイス(芝19F168y)を含む3勝をあげた。24/25年は4戦。ケルソー競馬場のLRプレミアチェイス(芝23F96y)を勝利したものの、昨年のこのレースや、G1エイントリーボウルチェイス(芝24F210y)では2着に惜敗。メジャーなタイトルには手が届かなかった。今季緒戦のここを制し2度目のG1制覇を果たした同馬。今後は、1月24日にチェルトナム競馬場で行われるG2コッツウォルドチェイス(芝25F56y)から、G1ゴールドCという路線が予定されている。

 そして、11月23日に愛国のパンチェスタウン競馬場で行われたG1ジョンダーカンメモリアルパンチェスタウンチェイス(芝19F150y)。ここは、オッズ2.375倍の1番人気に推されたファクトトゥファイル(セ8、父ポリグローテ)と、オッズ2.625倍の2番人気に推されたゲーリックウォリアー(セ7、父マクシオス)という、人気を分けあったウイリー・マリンズ厩舎の2頭による、大接戦となった。ハナに立ったのがゲーリックウォリアーで、昨年のこのレースの勝ち馬で、昨季のチェルトナムフェスティバルではG1ライアンエアチェイス(芝20F127y)を9馬身差で快勝していたファクトトゥファイルが2番手を追走する展開となった。ゲーリックウォリアーがペースを上げ、一時は後続との差が20馬身ほど開く大逃げになった後、15ある障害の9号障害付近から差を詰めはじめたファクトトゥファイルが、14号障害飛越後にゲーリックウォリアーを捉え、2頭の併走に。

 しかし、そこから渋太かったのがゲーリックウォリアーで、ゴールまで続いた2頭の競り合いは、ゲーリックウォリアーがファクトトゥファイルにクビ差先着して優勝を飾った。ニアルコス家による独国における生産馬がゲーリックウォリアーだ。仏国でハードルを3戦して未勝利に終わった後、大手馬主のリッチ・リッシ氏に購買され(名義は夫人のスザンヌ・リッシ)、愛国の名門ウイリー・マリンズ厩舎に移籍した。

 22年/23年はハードルを5戦し、G1アイリッシュミラーノーヴィスハードル(芝23F180y)を含む4勝を挙げた後、23/24年からスティープルチェイスに転身。このシーズンは5戦し、G1アークルチャレンジT(芝15F199y)など2つのG1を含む3勝をあげた。24/25年は4戦し、G1エイントリーボウルチェイス(芝24F210y)を含む2勝をあげている。今季初戦のここで通算5度目のG1制覇を果たした同馬の次走は、G2・1965チェイス勝ち馬ジャンゴベイも目標にしているケンプトンのG1キングジョージ6世チェイスの予定で、オッズ2.375〜2.75倍の前売り1番人気に推されている。

バックナンバーを見る

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

関連情報

新着コラム

コラムを探す