マイル王者に輝いたジャンタルマンタル 種牡馬としても魅力的な血統構成とは

2025年11月25日(火) 18:00

血統で振り返るマイルCS

【Pick Up】ジャンタルマンタル:1着

 父パレスマリスは、2024年から日高町のダーレー・ジャパン スタリオンコンプレックスで供用されており、初年度の種付け頭数は262頭、2年目の今年は236頭と、生産者に絶大な人気を博しています。

 今回、4つめのGIを制覇したジャンタルマンタルのほかに、シンザン記念を勝ったノーブルロジャー、東海Sで2着となったインユアパレスなど、わが国で出走を果たした7頭中6頭が勝ち上がっています。アメリカ供用時代は平凡な成績でしたが、日本にやってきた産駒は好成績を挙げています。本質的には芝向きの傾向が見て取れるので、ダート競馬が主流のアメリカでは本領を発揮できなかったのかもしれません。

 母の父ウィルバーンはバーナーディニの仔。バーナーディニを母方に持つ馬はここ最近のアメリカ競馬で目立っており、フィアースネス(米最優秀2歳牡馬、米G1を4勝)、ソヴリンティ(米二冠)、ジャーナリズム(サンタアニタダービーなど米G1を3勝)、イマーシヴ(米最優秀2歳牝馬)、マックスフィールド(米G1を2勝)といった活躍馬が出ています。

 ジャンタルマンタルは魅力的な血統構成なので、いずれ種牡馬となってからも楽しみな存在です。

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【Pick Up】パントルナイーフ:1着

 ダービー卿CTを勝ったパラレルヴィジョンの全弟。母アールブリュットは現役時代に4勝を挙げ、芝1600〜1800mあたりがベストでした。母の父マクフィは優れた血統で構成されており、ブルードメアサイアーとして成功しています。

 母方にダンジグを持つキズナ産駒は、ジャスティンミラノ(皐月賞)、バスラットレオン(ゴドルフィンマイル)、ナチュラルライズ(羽田盃、京浜盃)、シックスペンス(中山記念、毎日王冠、スプリングS)、エリキング(神戸新聞杯、京都2歳S)、リラエンブレム(シンザン記念)、ライトバック(桜花賞とオークスで3着)をはじめ多くの活躍馬が出ています。

 また、本馬と同じくダンジグとサドラーズウェルズを併せ持つパターンは、バスラットレオン、エリキング、リラエンブレム、ライトバックが出ています。今週土曜日の京都2歳Sに登録のあるバルセシートも同パターンです。ヨーロッパのスタミナ血統がベースとなっているので、大レース向きの底力という点では信頼できます。

 パントルナイーフを生産した新冠橋本牧場代表の橋本英之さんは、「幼少期は馬体がちょっと硬めで、正直ダート馬かな、という感じの馬でした」と語っています。父母ともに芝血統ですから、そうした「硬め」の部分が芯となり、強靭なバネを生み出しているのかもしれません。加速ラップを差し切った前走の末脚は見事でしたが、今回も上がり32秒9と鋭く切れました。

 父キズナは2年連続リーディングサイアーへ向けて視界良好。今年に入ってJRAの平地重賞は9勝目で、地方競馬のダートグレード競走は4勝しています。

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【シルヴァーホーク】

 アメリカ産馬ながらヨーロッパを本拠に走ったのは父ロベルトと同じ。現役時代は愛ダービー2着、英ダービー3着と勝ち切れず、重賞勝利はクレイヴンS(英G3・芝8ハロン)のみにとどまりました。

 種牡馬としては成功し、ベニーザディップ(英ダービー)、ムタファーウエク(英セントレジャーなどG1を4勝)、レディインシルヴァー(仏オークス)、ホークスター(セクレタリアトSなどG1を3勝)、ナショバズキー(イエローリボンSなど米G1を3勝)などアメリカとヨーロッパの双方で多くの一流馬を出しました。日本でもグラスワンダー(有馬記念2回、宝塚記念、朝日杯3歳S)、シンコウカリド(セントライト記念)など4頭の平地重賞勝ち馬を出しています。

 芝向きで持続力とスタミナに恵まれたタイプ。89年のジャパンCに出走した産駒のホークスターは、当時の芝12ハロンの世界レコードホルダーで、1200m通過1分10秒5という超ハイペースを2番手で追走し、2分22秒2というレコード決着のなか5着に粘りました。

 父系はグラスワンダーを通じて発展し、現在、モーリスがトップクラスの種牡馬として活躍しています。母の父としてはブラックホークとピンクカメオの兄妹、トウカイトリック、シルバーステートなどが出ています。ブラックホークとピンクカメオを産んだシルバーレーンはホークスターの全姉です。

血統に関する疑問にズバリ回答!

「2026年の種付け料ナンバーワンはどの種牡馬ですか?」

 来年の種付け料は、現時点で日本軽種馬協会を除きほとんど発表されていません。同協会の主だったところは、アメリカンファラオ400万円、カラヴァッジオ300万円、ソットサス250万円、デクラレーションオブウォー230万円です。アメリカンファラオは1年のみの供用です。

 例年通りのスケジュールなら、今週、社台スタリオンステーションの種付け料が発表されるはずです。昨年は、キズナ、キタサンブラック、イクイノックスの3頭が2000万円でトップ。以下、コントレイル1800万円、スワーヴリチャード1500万円、エピファネイア1200万円という順でした。

 単独でトップに立つ馬が現れるのか、あるいは横並びが維持されるのか、注目です。

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栗山求

netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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