【ジャパンC AI予想】来れば高額配当は必至! 波に乗るAIの注目馬がレースの傾向を覆すか

2025年11月25日(火) 18:00

単勝オッズ1.8倍(1番人気)のジャンタルマンタルが優勝(c)netkeiba

netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。

(文・構成=伊吹雅也)

極端な低額配当決着となった年が多い点をどう見るか

AIマスターM(以下、M) 先週はマイルCSが行われ、単勝オッズ1.8倍(1番人気)のジャンタルマンタルが優勝を果たしました。

伊吹 完勝と言って良いでしょう。好スタートを決めてポジションを取りに行き、後続を引き離して逃げたトウシンマカオ(11着)、単独2番手となったエルトンバローズ(5着)に続く3番手で向正面を通過。3コーナーから4コーナーでエルトンバローズに並びかけ、ゴール前の直線入り口で早くもトウシンマカオのすぐ後ろに迫っています。そのまま大外に持ち出して追い出し、残り200m地点のあたりで先頭に立つと、その後は独走態勢に。先団からしぶとく迫ったガイアフォース(2着)、中団から伸びてきたウォーターリヒト(3着)に対してセーフティリードを保ったまま入線しました。川田将雅騎手のレース運びはもちろん、陣営の仕上げも完璧だった模様。実績最上位のチャンピオンマイラーにこんな競馬をされてしまったら、他の馬はなす術がありませんよね。

M ジャンタルマンタルは2023年の朝日杯FS、2024年のNHKマイルC、2025年の安田記念に続く自身4度目のGI制覇。牡馬が出走できる芝1600mのJRAGIすべてで優勝を果たしたのは、史上初の快挙です。

伊吹 既にレジェンドクラスの戦績を収めているうえ、Palace Maliceを父に持つ持ち込み馬ということもあり、現在の日本競馬界においては貴重な血統構成。種牡馬として期待しているホースマンも多いのではないでしょうか。もちろん、まだキャリア10戦の4歳馬ですから、おそらく今後の現役生活でも我々を楽しませてくれるはず。どのレースに照準を定めてくるのかを含め、動向をしっかり注視していきたいと思います。

M ちなみに、このジャンタルマンタルは、前回の当コラムでAiエスケープが注目馬に挙げていました。

伊吹 断然の単勝1番人気とはいえ、これだけ危なげなく勝ち切ったわけですから、意義のある見立てだったと言って良いでしょう。コラムの公開後に注目馬が出走を回避してしまうなど、最近は不可抗力で的中を逃してしまった回もありましたが、そんな中でも秋華賞のパラディレーヌ(3着)、菊花賞のエリキング(2着)など、Aiエスケープに指名された馬がたびたび好走しています。下半期のGI戦線もいよいよ終盤に差し掛かったところ。今週以降も目が離せませんね。

M そんな今週の日曜東京メインレースは、国内外のトップホースが一堂に会する晩秋の最強馬決定戦、ジャパンC。昨年は単勝オッズ2.3倍(1番人気)のドウデュースが優勝を果たしました。ちなみに、その2024年は単勝オッズ26.8倍(8番人気)のシンエンペラーと単勝オッズ16.2倍(7番人気)のドゥレッツァが2着同着。2通りあった3連単の配当は2万2390円と1万8940円です。

伊吹 2024年を除く過去10年、すなわち2015年から2023年までのジャパンCにおける3連単の配当を振り返ってみると、平均値は1万5573円で、中央値は2022年の配当である9850円。ちなみに、中央値を下回った4回は、いずれも3000円未満の配当で決着しています。大きな波乱が起きづらい点だけでなく、極端な低額配当決着となった年が多い点にも注意するべきでしょう。

M 過去10年の単勝人気順別成績を見ると、単勝7番人気以下だったにもかかわらず3着以内となった馬はわずか3頭。しかも、そのうち2頭は昨年のシンエンペラーとドゥレッツァです。

伊吹 残る1頭は2015年2着のラストインパクト(単勝7番人気)。つまり、2016年から2023年にかけては、単勝7番人気以下の馬が一頭も馬券に絡んでいません。なお、より実態に即した区切り方をすると、単勝4番人気から単勝5番人気の馬は2015年以降[2-3-2-13](3着内率35.0%)、単勝6番人気から単勝8番人気の馬は2015年以降[0-3-1-26](3着内率13.3%)となっており、単勝9番人気以下の馬は2015年以降[0-0-0-84](3着内率0.0%)でした。当然と言えば当然の結論になりますが、超人気薄の馬が馬券に絡む確率は低いと見ておくべきだと思います。

M そんなジャパンCでAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、ヨーホーレイクです。

伊吹 かなり意外なところを挙げてきましたね。今回のメンバー構成なら、単勝最低人気となる可能性すらありそう。

M ヨーホーレイクは2022年の日経新春杯、2024年の鳴尾記念、2025年の京都記念を勝っている重賞3勝馬。2020年のホープフルSと2025年の大阪杯で3着に食い込んだ実績もありますから、格の面で見劣りするということはありません。もっとも、まだ東京のレースで3着以内に好走したことがないうえ、既に7歳である点も気掛かり。積極的に狙おうと考えている方はそれほど多くないでしょう。

伊吹 ただ、堅く収まりがちなレースという印象は世間一般の競馬ファンも持っているでしょうから、もしこの馬が馬券に絡んだらインパクトのある配当になるはず。好調なAiエスケープが狙い目と見ているのであれば、一考の余地は十分にあると思います。こうした見立てを踏まえたうえで、好走馬の傾向とヨーホーレイクのプロフィールを見比べていきましょう。

M 真っ先に注目しておくべきポイントはどのあたりですか?

伊吹 まずは実績やコース適性を素直に評価した方が良さそう。2017年以降の3着以内馬24頭中21頭は、東京のビッグレースで馬券に絡んだことがある馬でした。

M はっきりと明暗が分かれていますね。

伊吹 なお、“東京の、GIのレース”において3着以内となった経験がなかったにもかかわらず3着以内となった3頭のうち2頭は、出走数が10戦以内、かつ生産者がノーザンファーム。これらの条件をクリアしていない馬は強調できません。

M 先程も触れた通り、ヨーホーレイクはGI以外のレースを含めても東京で3着以内となった経験がない馬。キャリア15戦である点を含め、この傾向を見る限りだと疑ってかかった方が良さそうです。

伊吹 あとは臨戦過程もしっかりチェックしておきたいところ。同じく2017年以降の3着以内馬24頭中21頭は、前走との間隔が中3週から中8週、かつ前走の出走頭数が10頭以上でした。

M 間隔を詰めて使ってきた馬、その逆に休養を挟んで臨む馬、そして前走が少頭数のレースだった馬は、過信禁物と見ておくべきでしょうね。

伊吹 おっしゃる通り。今年も実績馬の一部がこの条件に引っ掛かっています。

M 残念ながらヨーホーレイクもその一頭。前走との間隔が中9週である点は、不安要素のひとつと見ておくべきかもしれません。

伊吹 さらに、同じく2017年以降の3着以内馬24頭中19頭は、馬番が1番から7番でした。

M 基本的に内枠有利、と。

伊吹 ちなみに、馬番が8番から18番だったにもかかわらず3着以内となった5頭のうち3頭は、父がキングカメハメハ系種牡馬、かつ“JRAの、GIのレース”において1着となった経験があった馬。この条件に該当している馬でない限り、内寄りの枠を引けなかった馬は評価を下げるべきでしょう。

M ヨーホーレイクはGI未勝利ですし、父もキングカメハメハ系に属していないディープインパクト。好枠に入れなかった場合は、さらに減点材料が増えてしまいます。

伊吹 正直なところ、私は無印にする予定でした。もっとも、これだけ注目度が低いわけですから、強調材料が乏しいのは当たり前。細かいことを気にするべきではないのかもしれません。好調なAiエスケープに従ってこの馬から勝負するというのも、それはそれで面白そう。結果を見るのが楽しみです。

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伊吹雅也

競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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